「戸隠」の記事一覧
2018年1月10日
| 活動内容:農地活用 |
新しい年が明けて早10日、昨年は戸隠の地元の方々をはじめ、農業を応援して下さった方々、サポートの方々、本当に多くの方のご支援のもと、活動を進めることができました。誠にありがとうございます。本年も精一杯取り組んで参ります。
さて、今年の農業はブラッシュアップの1年と考え、特に微生物の世界の探求を目指します。冬の農閑期は次年度に向けて英気を養い、振り返り、計画を立てる大切な時間です。圃場で取り組みたい具体的なアイデアも練っていきます。
長野北信の有機農家の大先輩と南信で取り組む同世代の尊敬する友人から推薦してもらった書籍「土と内臓ー微生物がつくる世界」。半分ほど読んだところですが、もの凄く面白く、止まりません。
デイビッド・モンゴメリー+アン・ビクレー著 片岡夏実訳 築地書館
微生物というと馴染みが薄いという人も多いことかと思いますが、私達がメインで取り組む高原花豆は成長に不可欠な元素である窒素を微生物が大気中から供給してくれるお蔭で生育が促されます(根粒菌の窒素固定)。昨年、厳密な検査・分析までは出来ないにしても、視覚で確認できるほどの菌叢が無数に誕生していました。
2017年12月 7日
| 活動内容:農地活用 |
戸隠地区の水谷です。師走に入って早1週間。みるみる自然の景色は移り変わっていきます。本格的な冬に移行しています。一晩で一面雪化粧に覆われる日が既に数回、夜中は氷点下になることが普通になってきました。昼夜間の寒暖の差の大きさを特に感じるこの頃です。
今年のまとめとして、1年間を振り返り戸隠の自然が与えてくれた学びを農業を中心に書いていきたいと思います。
この図は戸隠公民館さん、戸隠中学校さんで講演をさせて頂いた時、最後に使用したスライドです。農を中心を展開されていく分野を表現しました。もちろんこれだけではありませんが、私が農業に携わる中で特に感じたものです。
農業は実際大変なことが多いです。始めばかりだとなおさらで、これで生活が成り立っていくのか?と自問する回数は数え切れません。誰もが通る結構キツイ期間でもあります。でも、それ以上に縦横無尽な可能性に満ちていると感じていて、それが推進力になっています。何と言っても現場で作業している時間はもの凄く面白い。そして、農業を通じて自然と直に関わることで得る学びはプライスレスです。
2017年10月 6日
| 活動内容:農地活用 |
こんにちは、戸隠地区の水谷です。戸隠で迎える秋もこれで2回目となります。紅葉と肌寒さが季節の移り変わりを教えてくれます。冒頭の写真は四季が豊かな日本ならではの農村の一枚、早朝6時前に撮影したものです。夏よりも光がグっと突き抜けてくるような感覚があります。
今回の記事は、秋の自然風景を写真でご紹介しながら、季節の移行に伴い感じている学習意欲の高まりに焦点を当てました。標高と身体のバイオリズムは深い関わりがありそうなのです。
さて、まずは戸隠の年間平均気温の推移を見ていきたいと思います。下記の表をご覧ください。
2017年9月 7日
| 活動内容:農地活用 |
鮮やかな猩々緋の花が咲き乱れる7月中旬の高原花豆
一つの株から2,000~4,000もの花が咲くと言われています
戸隠地区の水谷です。朝夕は冷えを感じる季節になってきました。先月、戸隠は大豪雨を受け、60以上も災害箇所に指定される大ダメージを受けました。それから数週間、普及作業が進行する中、平常のムードにようやく戻ってきました。「雨」には様々な意味があると古来から信じられています。大豪雨も大局的に見れば、浄化・転換期・生命の再構成といった意味があったのかもしれません、、、。
さて、昨年何十種類もの品目の試験栽培を試みた中で、標高1,000m前後に位置する火山灰土が主体の丘陵地帯・戸隠高原の気候環境に適合し、耕作放棄地対策の作物として最も有力候補に思えたのがメキシコ高原原産の高原花豆です。
今年、花豆栽培に特化しようと決め、昨年から優良な種豆、資材、圃場整備、有機肥料作り、花豆生態の情報収集、良品栽培のための技術の研鑽等の準備を進めてきました。この1年は花豆を軸に農業・活動を展開してきたと言えます。
今年の作付けは約1,000株、面積的には約3反(3,000㎡)で、標高約820mと850mの2つの圃場に分かれます。いずれも耕作放棄地を再生した圃場であり、栽培用のアーチ支柱を約600m、垂直支柱を約150m設置しました。成育状況の比較検討のために株間は70~120cm程度の異なった間隔をもうけ、播種時期は3週間ほどズラしていきました。花豆は密植すると花付きが悪くなり結果として莢の結実率が低下するため、アーチ支柱の両面ではなく片面にしか花豆は植えず、かなり贅沢な使用方法をしています。
そんな花豆は5月下旬に播種を行い、約95日のサイクルを経て、9月上旬、いよいよ収穫が始まりました!多くの方々からエールとご支援を頂き、ようやくここまで来れて喜びがこみ上がります。これから降霜まで(10月下旬~11月上旬頃)は収穫&乾燥作業に忙しくなりますが、ここで写真にて5月下旬から9月上旬までの花豆の生育の様子をご紹介させて頂きたいと思います。
2017年8月 7日
| 活動内容:農地活用 |
戸隠の遠景(円内が大凡の戸隠エリア)*Google Mapを元に作成
戸隠地区の水谷です。戸隠の特徴的な丘陵地帯についてはこれまでのブログ記事にも度々書いてきましたが、地形を意識しつつ今回は「水」に焦点を当てたいと思います。豊かな伏流水や綺麗な湧水が生まれる背景には、この複雑な山並みと地形との関連を考えざるを得ません。そして、戸隠は山岳信仰が盛んです。その中でも、水神・九頭龍信仰が際立っていると感じます。
江戸時代の古い巻物に描かれた九頭龍権現
以前の記事で戸隠は3つの巨大な構造線に囲まれた大地の新陳代謝が激しいフォッサマグナ地帯であることに触れました。こうした特徴ある地形で生活する人々には、物理面と精神面の双方に有形無形に関わらず相応な影響を与えていることは間違いないと思います。
戸隠の信仰を記した古い文献を紐解けば、こうした言葉が残っています。
"ここに九頭龍権現は龍王にましませば、雲を起こし雨を降らし給ふ神力自在なり"
(「戸隠詣」善光寺別当権僧正孝寛より)
"注連(しめ)張たる小樽を負ひ、忙し気に走り行く人は、九頭龍王に願い奉り、種ヶ池の水を拝借し、雨を乞うなる由。道にて休息する時は、其処へ雨降りて、願う所に験なしとて、遠国の村は手分けをなし、途中宿々に待ち受け、手渡しに持ち返るに、必ず雨を降し給ふとぞ。"
(「戸隠山往来」より)
今なお地区に住む人々の間で信仰心が脈々と受け継がれている趣を感じることがあります。農業・生活という面からは雨乞い、戸隠スキー場は雪乞い、10月下旬は新そばのシーズンを迎えることから、自然の恵みへの感謝の意も込めて戸隠そば祭り(献納祭)など、他にも数多くの神事やお祭りが催されています。
★戸隠そば祭りの様子はこちら