土壌の生物多様性(soil biodiversity)【戸隠地区・水谷】
2019年1月25日 | 活動内容:農地活用 |
「soil biodiversity and human health」
土壌の生物多様性と人間の健康の相関関係に言及していく内容で、数年前にNature誌に掲載された論文です。
今、農業の世界を見ているとAI&ICT技術の流れが急速に勃興してきており、今後はさらに盛り上がっていくはずですし、必要なことだと思います。
2年前に農業EXPO(幕張メッセ)に足を運んだ時に見た、農業先端機器の数々。
触れて良いもの、体感して良いもの、実際に自分の手でやらせていただくと、「こんなに便利で優れたものをよく開発されましたね!」と驚きました。
ドローン、農業用パワードスーツ、農業用光学機器、水質浄化装置、植物工場システム、微生物活性農業資材etc,,,
技術進化に伴って、農業が豊かになっていく側面を感じられました。
これからも科学技術×農業の流れを追っていきたいですね。
一方、農業を大型化ではなく、自然生態系との繋がりに軸足を置き、展開しようという動きが、特にヨーロッパやインド、キューバ等では盛んなようです。
随分前からこの流れはあるようです。
それがAgroecology(アグロエコロジー)という分野です(Agro:農業の、ecology:生態学)。
農業に生態学の知識を導入し、生態系の持続可能性に立脚して農業を推進するアプローチです(ただ世界の様々な地域によって定義・概念が一様ではないようです)。
ここでキーポイントになってくるのが、土壌の生物多様性(soil biodiversity)であると感じています。
土壌は本当に魅力的で面白い物質です。
超複雑な生命発生現象が、ミクロ領域で断続的に繰り返されている環境が土壌だからです(人間の身体もですが)。
土壌というと、表土層30㎝くらいをイメージすることが多いかと思います。
しかし、近年の調査では、もっと深い地層に生命資源(バイオマス)が、莫大な量で包蔵されていることがわかってきているようです。
それは地球地表上の生物の重さ・量をはるかに超えていくほどだと言います。
地下生物圏は3~5兆トンらしいです(人間は3億トン)。※諸説有り
▶地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される(NewsWeek日本版 2018.12.13)
"地球の深部には、まるで"ガラパゴス"のように様々な生命体が無数に存在し、その生物量(バイオマス)は全人類の245倍から385倍に相当する"(リンク先より)
だそうです。びっくりしました。
農業と言うと、収量と高品質のためのメソッドを求める気持ちが強くなりがちですが(もちろん大事なことで、農業で食おうとしたらこれは避けては通れない)、自然生態系と人間の繋がりを知る上でこの上ない方法だとも感じています。
具体的にどう繋がりがあって、どうすると自然と人間にとって良いのか?
圃場で作業をしていると、突然アイデアが生まれることも多々あります。
土壌の持っている力って凄いんですよね。
面白い!と思ったことはすぐに実践しやすいのも、農業の魅力の一つです。
良策か奇策か悪策かはすぐにはわからずとも、一つひとつ自分の身でやっていくことが豊かな暮らしにも繋がることだと思います。
この面白さを知ると農業はやめられなくなるんですよね。
ただ、時間はかかりますね。
1年や2年では到底できません。すぐにお金になるかと言われれば、それも難しいです。
でも、そうでもして続けていきたい魅力が自然にはあると思うんですよね。
根気よくやり続ければ、きっと面白い世界が見えてくると楽観的に進むことも大事なような。
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こうやって年始に考えていることが、今後の方向性に影響していくのかなと振り返りながら迎えている2019年の年頭です。
今年も沢山の方々とのご縁や展開に期待したいと思います。
また、日頃からお世話になっている方々には、まだまだ至らぬ身ですが、引き続きお付き合いいただきたく思います。
素敵な一年にしたいですね!
皆さんにも元気と喜びが溢れますように。
本年もよろしくお願いいたします。
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トップ写真は新年初めて自分で作った味噌汁です。
地物の野菜と手作り味噌&お餅。やっぱり美味しいです。
味噌だって一見すると茶色の粘性ある何の変哲もない物質ですが、人体に良い影響を与える様々なの機能性成分に富んでおり、何と言っても微生物の宝庫です。
土壌も似たようなところがありますよね。
生命力を養うための要素は、ごく身近なモノの中に見出されます。
そして、食べ物は生きた土であるほど良質なものがつくられるはずです。
土作りを行って、大豆を育てて、脱穀して、味噌を仕込んで、それで味噌汁を飲んで―。
この昔からあるサステイナブルな営みがやっぱり趣深いなぁと感じます。
※本記事はここのえブログにも掲載されています(2019/1/4)