食べれるお花・エディブルフラワーは栄養満載!(戸隠地区・水谷)
2017年6月 8日 | 活動内容:農地活用 |
摘みたての食べれるお花・エディブルフラワーは華やかな彩りと栄養価が特徴
皆さん、こんにちは。戸隠地区の水谷です。突然ですが、エディブルフラワーをご存知でしょうか?私は今年から何種類か圃場で共同栽培をはじめ、その魅力に引き込まれています。何と言っても色鮮やかな見た目と、香り漂う繊細さと力強い味わいに驚いています。
お花を食べるというと意外に思われるかもしれませんが、ブロッコリーや最近人気のスティックセニョール、菜花などは花芽を食用にする品目として馴染がありますし、食用菊は比較的よく知られています。
スティックセニョール
ただそれ以外のお花の食用となるとまだ日本では一般的ではありません。しかし、都内のレストランや高級食材を扱うスーパー等では、たまに見かけるようになってきており、ケーキの食べられるデコレーションとしても使われるケースが増えてきてきると聞きます。また、海外のヘルシー志向の人達(ローフード等)の間ではブームになってきているようです。
エディブルフラワーとは?
【エディブルフラワーとは「edible」=食べられる「flower」=お花、のことです】
食べれるお花、観賞用とは違い野菜と同じように、安心して食べるためにつくられたお花です。エディブルフラワーには品種もたくさんあり様々なカラーが楽しめて、バランス良く多くの栄養素が含まれている事がわかってきました。
世界各地、特にヨーロッパを中心にオランダなどは、日常的にエディブルフラワーを使った料理が食べられていますハーブもその一種です。 料理方法は様々あり、オランダの人々は見て楽しみ食べて楽しんでいます。
歴史的からみても、身近なところにエディブルフラワーがこっそりと繁栄していて、菜の花や食用ギク、シソの花は古くから日本人に好まれて食べていました。 近年では、日本でも大手百貨店、大手スーパーマーケットにも見かけるようになりましたが、まだまだご存知ない方が多いのが現状です。
野菜や果物と同じ様な感覚で日常の食生活に、エディブルフラワーを食べてみて知って楽しんでいただきたいと思います。(http://www.villagestore.jp/edibleflower/flower/より)
農林水産省のWEBサイトにもエディブルフラワーについて触れられています。
「花を食べる」なんて、あまり馴染みのないことと思われるかもしれませんが、皆さんの食卓に登場しているカリフラワーやミョウガも、花。
西洋では食用花のことを、「エディブルフラワー」と呼び、料理の彩りや香りづけに利用するのはもちろん、ビタミンなども豊富とあって、野菜や果物と同じ感覚で食べられていると言います。
見るだけでなく、食べものとしての可能性もまだまだ広がりそうな、花の世界。花たっぷりの食卓で、春の訪れを感じてみませんか?(http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1004/spe2_01.htmlより)
以下は私達の圃場で今年試験的に栽培している品目のご紹介です。
ボリジ(ルリジサ)
星型の花は数センチと小さいですが、淡い紫色から高貴な印象を受けます。キュウリのような爽やかな青々しい風味があります。16世紀のハーブ療法士が、野生のボリジは悲しみや憂鬱な気分を取り去り、人を快活にし、明るい気分にさせるという記述を残しています。
【利用する部位】花、葉、種子
【有効成分】葉には粘漿剤だけでなく、ミネラル、サポニン、タンニンも豊富です。種子には脂肪酸の豊富なオイルが含まれ、GLA(ガンマリノレン酸)もたっぷり含まれています。
【作用】葉―鎮静作用、強壮作用 種子―ホルモン調整作用
【効能と用法】精神的ストレスによる消化不良には、生の葉と花の浸剤を1日2~3回飲めば、不安を和らげ、消化を促します。皮膚の炎症、敏感肌には、生の葉と花の浸剤を冷やせば、沈静効果のある洗浄剤となります。ホルモンバランスの乱れ、PMS、更年期障害には、オイルカプセルを指示どおり飲めば、月経周期を整え、気分のむらやのぼせを和らげます。(『ハーブ図鑑』ジェニー・ハーディングより)
ナスタチウム
食べるとふんわりとした密のような甘い香りと味わいが口内に拡がり、最後には少しピリっとしてきます。サラダで食べると彩り豊かになり、食欲もかき立ててくれます。花だけでなく葉の栄養価も高いので重宝しています。
ナスタチウムの葉
【利用する部位】種子(※私見ですが、花、葉、茎も食べられます)
【有効成分】脂質油、たんぱく質、揮発性油分
【作用】強力な殺菌作用、皮膚軟化作用
【効能と用法】喉の痛み、気管支炎には、つぶした種子で作った浸剤を1日2~3回飲めば、感染症を起こしている細菌を強力に殺菌します。うがい薬としても使えます。(同著より)
カレンデュラ
この花は比較的いろんな場所で栽培されているのを目にしますが、花を食べることができると知っている人は少ないと思います。私もそうでした。カレンヂュラは花そのものを全て食べると苦いので、花びらをサラダやケーキにちらして食べる方がベターな気がします。
【利用する部位】花
【有効成分】苦味成分、フラボノイド、粘漿剤、樹脂、揮発性油分
【作用】殺菌、収瞼、苦味、浄化、発汗、利尿、創傷治癒
【効能と用法】傷、切り傷、皮膚の炎症には、軟膏かクリームを1日2~3回塗布すれば、患部を洗浄し、皮膚の回復を促します。消化不良、肝機能低下には、生か乾燥させた花の浸剤を1日2~3回飲めば、特に脂っぽい食べ物の消化を促します。インフルエンザには、生か乾燥させた花の浸剤を1日2~3回飲めば、発汗を促すことで体を冷やし、毒素を排出させます。脚の痛み、静脈瘤には、クリームか軟膏かオイルで1日2回やさしくマッサージすれば、痛みとかゆみを和らげます。(同著より)
ヴィオラ
ヴィオラはパンジーと見た目が似ており、少し小さめです。実はパンジーも食用可能です。花に複数の色が混ざっているので、料理に添えると栄えます。
現在花が咲いている4種類をピックアップさせて頂きましたが、引用書籍の成分等をご覧いただけばわかる通り、栄養価に優れています。エディブルフラワーとして新しい切り口で最近好まれている動向がありますが、起源を辿れば古くからハーブとして身近な存在でもあったことが伺えます。
栄養価の面で話しをさらに進めたいと思います。そのビビットな色合いにまず関心が行きますが、これはビタミンカラーとも呼ばれています。ビタミンは広く知られているように生命維持に不可欠な成分ですが、現代の食生活において摂取不足であると指摘されるケースも多いかと思います。そんな中、エディブルフラワーの役割は今後大きくなっていくのではないかと感じます。
彩りは豊富なビタミンの目印、その他の有効成分に富むことも多い
ビタミンの食品機能について、今年4月から受講している信州大学・ながのブランド郷土食のテキストをベースに簡単ではありますがまとめたいと思います。
➀体内で合成できず食品から摂取しなければならない必須の有機化合物
②タンパク質と相互作用してタンパク質の働きを助ける
③補酵素の多くはビタミンを原料とする
④ビタミンは基本的に生命維持に必要不可欠な食品一次機能
注目したいのは、③の補酵素の多くはビタミンを原料とするという点です。酵素はあらゆる生体機能に関与し、酵素無しに生きることはできません。生命情報の大元であるDNAの配列や損傷時の修復等にも酵素は関与しているというのは驚きです。補酵素というのは、酵素の働きを助ける補因子のうち有機化合物であるものとされています。詳しい補酵素の反応については省略しますが、ビタミン不足の結果として現れる症状について一部触れたいと思います。
ビタミン 主な欠乏症
ビタミンB1 脚気
ビタミンB2 口角炎、皮膚炎
ビタミンB6 皮膚炎、貧血
ビタミンC 壊血病
ビタミンE 神経障害
ビタミンK 骨祖しょう症、血液凝固障害
逆に過剰摂取によっても障害が発生する場合もあるので注意を要します。例えばビタミンCを多く摂りすぎると、吐き気、下痢、腹痛の症状が出るとされています。
こうしてプラス面と注意点を念頭におきつつも、やはりビタミン豊富と考えられるエディブルフラワーの食用としてのポテンシャルは大きいと思われ、今後の可能性に期待しながら栽培しています。現在、最も力を入れている高原花豆とコンパニオンプランツで何種類か試みており、今年の生育状況の観察も楽しみの一つです。
さて、肝心の料理への活用について最後に書かせていただきたいと思います。何と言っても料理は新鮮さが第一なのでサラダで食べることが多いです。葉野菜と花の香り・食感のミックスが個人的には大ヒットしており、最近はほぼ毎日美味しくいただいています。
圃場で栽培しているお花と野菜で作ったサラダです。色鮮やか&華やか!
ナスタチウム、カレンデュラ、ボリジ、スイスチャード、ナスタチウムの葉、からし菜、ルッコラ等が入っています。戸隠のように標高が高い場所で栽培された野菜は昼夜間の寒暖の差が大きいため、味わい深くなり、しかも採れたての新鮮なうちに食べるのは最高の贅沢です!日々のハードな農作業も食を整えることでエネルギッシュに乗り切れていると思います。今年はエディブルフラワーも食のラインナップに加わってくれたため、体調の爽快さを一層実感しています。
トマトパスタに乗せて頂きました
ボリジを手作りケーキに乗せて
ピザトーストへのトッピング
農と食のつながりが食材の機能性成分の理解の深まりと共により実感している度合が大きい今日この頃です。日本では古くから身心一如(禅)という言葉ありますが、自分の手で手間暇かけて栽培した野菜を食べる度にそうだそうだと納得しています。農と食の可能性はまだまだ大きく、これからも楽しみにながら色々とチャレンジしていきたいと思います。