大岡 農の暦 #season2
2015年12月 8日 | 活動内容:文化・行事 |
大岡地区の稲作担当、鈴木です。
大岡に来て季節が一巡し、二度目の季節を巡っているところ。
種をまくタイミングや、その時にしか採れない山のもの、先の季節のための準備など、すべてが初めてだった去年は、知った時にはすでに遅し、という事も多々。
今年は地元の方々にこまめに聞いて、何とか大岡の暦どおりにやっています。
先日、毎年12月の最初の日曜にある、注連縄(しめなわ)作り講座が行われました。
その年の米作りを終え、もみを取り終わったわらでしめなわを作り、新年を迎える準備をする恒例行事です。
[昨年の注連縄作りの様子]
https://nagano-citypromotion.com/local_pr/2014/12/post-45.php
農村の暮らしは、季節に沿った、規則正しい時間が流れています。
人間の予定や都合ではなく、気候やその時採れる作物や野山の恵み、それに沿った自然と神様に感謝する行事、神事の数々。
春、雪が解けたら畑を起こし、空気を取り入れ微生物を目覚めさせます。
種もみを蒔き、苗を育て、田植えをする。
各地区で豊作祈願の祭礼が行われます。
野菜の種を蒔き、それが採れるまでは、芽吹いた山菜や筍を食べます。
(苗を育てる苗代作り。種籾を発芽させて田植えができるよう育てるまで、40日前後かかります。)
夏、動植物が一番元気な季節。
日が長いので、みんな朝から晩まで働きます。
お勤めしてる人も、早朝や帰宅後の農作業しなくては終わりません。
日照りや長雨、作物の生長に一喜一憂。
地区によっては、台風が来ないよう祈念する行事(風祭)があります。
(北三ヶ村地区の念仏構、数珠回し)
秋は実りの季節。
稲刈りと脱穀に追われつつ、秋野菜を収穫し、越冬野菜の植え付け。
野菜や果物、山にはきのこと、美味しいものが食べきれないほどあります。
収穫の感謝の祭礼が行われます。
(長野の人はキノコが大好き、尋常でなく忙しいのに、スキップして採りにいっちゃいます。井戸端会議の話題は、マツタケ何本とった等々‥)
晩秋は田畑を片付け、穀類や豆を保存、保存野菜や水回りが凍らないよう、冬支度に忙しい季節。
秋に収穫した野沢菜や大根などの漬物や干し柿を作ります。
冬は田畑や山の作業はできないので、コタツにあたって保存した野菜や漬物などを食べつつ、農繁期で疲れた体を休めます。
豆や雑穀の選別、裁縫仕事や保存食を作ったりしながら、静かに春を待つのです。
(凍み豆腐は厳冬期の手仕事。凍った豆腐とわらをかじかむ手で編みます。)
今年もあっという間だったなー、と一年を振り返り、私も自分の作った稲わらで、しめなわを作ります。
そして年明け1月7日には、各家のしめなわを持ち寄り、芦ノ尻集落にある、道祖神を飾り付け、古い飾りを燃やし、その年の豊作と無病息災を願うのです。
(昨年の様子。2時間以上かけて飾りつけ。難しいパーツは作れる人が限られています。)
毎年そんな繰り返し。日々が飛ぶように過ぎていきます。
東京で仕事に忙殺されている頃、これでいいのかな、と漠然とした不安を感じる時がありました。
今は、すべてが自分がこの地で生きていくのに必要なことをしている、毎日大変だけど、心は爽やか。
季節やその土地の性質に逆らわず、自然のままに。
生きてる、という実感が、確かにあります。
去年より充実した今年、今年より来年はもっと楽しくなる。
どんな一年がやってくるのか、わくわくしています。
※しめなわ作り教室あります※
12月12日 午前 @大岡公民館(026-266-2413)
午後 @Aコープ ファーマーズ南長野店(026-214-8877)