地域の社会実験「いもいリビングらぼ」
2022年12月27日 | 活動内容: |
こんにちは、芋井地区の地域おこし協力隊の岸豊です。
今回は、芋井地区ならではの住民自治の取り組み「いもいリビングらぼ」についてご紹介させていただきます。
さてさて、長野市には、全国の他市町村とは異なり、特殊な自治活動の仕組みがあります。住民自治協議会という組織です。十数年前に作られた長野市の独自自治システムで、市のお金と権限を地域に委ねるので、地域住民が主体となって、より地域にマッチした住民自治を行おうというものです。
↑いもいリビングらぼの会合の様子
長野市には、芋井地区を含め、全部で33地域の住民自治協議会が存在します。
ですので、長野市の公助(税金を使った行政サービス)は、市役所&支所に加えて、住民自治協議会が提供する福祉サービス(福祉自動車の配車)などを含めて提供されています。
ところがです。日本の社会構造は、65歳まで働くことが当たり前に。すると、先の住民自治の仕組みは、60歳退職組の活躍を前提としていたことから、特に中山間地域は、恒常的な人材不足を抱えていることから、折角の仕組みも当初の目論見通りには機能しないジレンマを抱えるようになりました。
こうした地域事情をとらまえて1年前に芋井地区で発足したプロジェクトが、「いもいリビングらぼ」です。
「リビングらぼ」は、1990年代に米国で発祥したものとされ、「Living(生活空間)」と「Lab(実験場所)」を組み合わせた概念で、生活者視点に立って新たなサービスや商品を生み出す場所であったり、一連の活動の事を指すそうです。2006年以降に西欧で活動が広まり、国内でも、行政、研究機関、企業が運営主体となった取り組みが生まれているそうです。
芋井地域の自治活動をより活発に推進するためには、従来の定年退職組の世代に住民自治活動を委ねていたのでは限界がある。もう少し、現役世代の人たちが住民自治活動に介入してもらう必要があるとの判断があったようです。
実際、「いもいリビングらぼ」では、何が行われているというと言いますと、2カ月1回程度の会合と、地域に必要な生活のミニ実験のようなものが催されています。
これまでで最も華々しかった活動の一つは、6月に開催された「草刈りバスターズ」というイベントです。これは、地域の共助(相互扶助)で行う地域の草刈り行事の維持が困難になっているのを、域外の人たちに手助けしてもらえないかーという試行実験でした。
実際には、芋井地区住民自治協議会で草刈機を用意し、座学で草刈機のイロハを勉強していただいた後に、広瀬ふれあい公園の草刈りを域外の転勤族のサラリーマンの皆さんなどに手伝っていただきました。
草刈りを終えた後には、淡竹の味噌汁やキッチンカーによるカレーの振る舞いなども行われ、N H Kさんにも取材していただき、全国放送にも紹介されました。
らぼでは、いろいろな事が話題になり取り上げられていますが、最近は、中山間地域の最大の課題である過疎対策として、芋井小学校の存続問題に取り組もうかという動きも出て来ています。
小学校が無くなってしまうと、子育て世代の人たちの居住場所として敬遠される地域になってしまうという危機感があるからです。既に、芋井地域には中学校は閉校となり、小学校も複式学級になっています。芋井小学校が存続して地域の活力を維持して行くためには、小規模特認校(特色ある教育を展開して、学区外からでも通学できる制度)の導入なども期待されます。
いもいリビングらぼは、域外の方でも参加できる自治活動です。興味のある方は、芋井地区住民自治協議会にお声をかけていただければ、飛び入りの参加もウェルカムです。