りんごの共選所を訪ねて
2022年11月24日 | 活動内容: |
芋井地区担当の岸豊です。今回は前回に続いてりんごの流通について投稿させていただきます。
いきなりマニアックな話題になりますが、りんご農家の販路先には、贈答用(自身のお得意さんに宅配)、JA・市場・青果業者に青果品、もしくは加工品を含めて出荷する、直売所に出品、りんごジュースにして販売−といった選択肢があるようです。
このうち一番メジャーな販売先はJAと言っていいでしょう。芋井地区のりんごは、かつては地元の共選所で仕分けされていましたが、現在は、長野市若槻にある「JAながの中部営農センター丸長(まるちょう)荷造所」に持ち込まれ、そこで共選され県外へ流通しているそうです。
丸長(まるちょう)とは、とてもインパクトのある響きの名称です。地元のりんご農家さんと接するにつけ、一度同所を訪ねてみたいと思っていたところ、この度、訪問の希望を叶えることが出来ました。事前に所在地をグーグルマップで確認したところ、施設の大きさに驚きました。敷地が野球場のように広く、建屋も大きくビックリです。
いざ、同所を訪れ、所長さんにお話を伺うと、この施設は、芋井、若槻、浅川の3エリアの専用共選所とのこと。長野市内の篠ノ井や若穂といったりんごの一大産地の共選所は、また別に存在するというからこれまた驚きです。長野県のりんご産業がいかに巨大なものかを実感することとなりました。
この施設では、総勢約50人の方が働いているそうです。選果ラインが2系統あり、りんごの玉が1個ずつ、人手と機械設備を介して選別された後、「JAながの」と書かれた段ボール箱に梱包されてトラックに運ばれて行きます。
所長さんによると、若槻に集まるりんごの販路先は、岐阜、奈良、大阪、横浜市の4エリアに運ばれ消費されるとのこと。例年、この販路先は変わらないそうです。昨年は、凍霜害で品物が少なく単価は良かったそうですが、今年は豊作で価格は比較的安価とのことでした。
共選所は、機械設備を中心にかなり立体的に構成されており、オートメーション化されています。梱包する段ボール箱は、トラックからフォークリフトで2階に搬入され、段ボール箱がタイムリーに選果ラインに降りて来るなど、そのシステマチックさにとても感心させられます。ラインの長さは50m以上あるように見えました。
選果は大まかには、ベテランの女性の目利きと機械センサーの2種類で判別されます。女性は、形、色合い、りんごの欠点が無いかなどを瞬時に判別した上で、等級ごとに色分けけされた受け皿にりんごを配置します。その後、機械センサーが、りんごの色や糖度、蜜の入り具合を見分けるそうです。
その後、受け皿の上で判定されたりんごは、更にラインの後方で、りんごの等級と大きさごとに機械と人の手によって明確に仕分けられます。りんごのグレードは4段階。最高が特秀、次いで、秀、丸秀、赤秀の順。ここに玉の大きさの判別が加わり、4等級×玉の大きさごとに段ボールに梱包されます。
同所の共選を経て梱包されたりんごは、JAながのの「サンふじりんご」のブランドの価値をまといつつ、後は、4等級×大きさのカテゴリー別に市場に出回ることになります。
そこには、農家の顔や細かな産地の区別は無くなることが理解出来ました。そして、岐阜、奈良、大阪、横浜という、JAさんが構築した特殊な流通網の先で消費されるとの事。
最後に、尻切れとんぼになってしまうかも知れませんが、今回、りんごの荷造所=共選所を訪ねて強く思ったのは、農産物流通というのは、とても不可思議な世界なのだなあということです。