芋井の棚田とはぜかけの風習
2022年9月28日 | 活動内容: |
芋井地区担当の岸豊です。今回は、芋井地域の棚田の米づくりについてご紹介させていただきます。
9月中旬、芋井地区でも、例年より早く実った稲刈りが始まりました。急斜面の地帯が多く、ほ場整備(農地の区画整理)がなされていないため、ほとんどの稲刈りがバインダーで行われ、はぜ掛けされます。
未だに残る芋井地域の古い風習が残っていることに、それを知った際は、大変驚きました。世の中は、コンバインで稲刈りから脱穀まで行い、畦際に乗り付けた軽トラの専用機にコンバインから揉を投入するのが当たり前の時代と思っていたからです。
今年の2月ぐらいだったでしょうか−。9年ぶりに長野に戻り、芋井地域の特産品に何が良いだろうと、長野市在住のアイデアマンの方にアドバイスを求めたところ、第一に棚田米を挙げられました。
芋井地域は海抜が高く、軍足(ぐんだり)地域だと800mを超えます。昼夜の寒暖差があり、低地に比べてお米の甘みが増すようです。南斜面で日当たりも良く粘土質。水もきれいなため、高冷地ではあきたこまち、海抜が低いところではコシヒカリが栽培されています。
芋井地域の特性を踏まえ、地元の米農家の方に、棚田米のはぜ掛け米は、コンバイン+機械乾燥のお米より美味しそうですよとお伝えしたところ、そうか、それなら仲間を募って、芋井の棚田米を売り込もうという話も上がりました。
その一方で、県の農業農村支援センターに出向き、はぜ掛け米は本当に美味しいのかどうか尋ねたところ、最近は、お米の乾燥技術が向上し、遠赤外線方式の乾燥機だと、米の食味は、はぜ掛け米を上回るのが定説ですと教えられました。うむむ、となりました。
果たして、県のお役人さんが言うことが本当なのかどうか、最寄りのJAの職員さんに掛け合い、米の食味度調査を実施することにしました。
地元から集めて来たお米は全部で6サンプル。品種はあきたこまちとコシヒカリ3種ずつ。その結果は、コシヒカリ2品種とあきたこまち1品種が、飯山みゆきの米のコシヒカリに匹敵する、総合スコアで87点を獲得しました。
全ての農家のお米が一律にというわけではありませんが、芋井のあきたこまちも特A米並みに美味しいものがあることが分かりました。
上記を踏まえ、5月下旬には、お米農家さんの田植えを手伝いました。1枚の水田について、機械乾燥とはぜ掛けによる自然乾燥で2等分し、あらためてお米の美味しさを確かめる企画です。
天候に恵まれた9月中旬の3連休には、芋井のあちこちで、故郷に帰省し、一族の水田ではぜ掛けを手伝う光景が見られ、とても微笑ましく感じると同時に、芋井地域の血縁者がこれだけいるのかという潜在力を実感しました。