えごま油に対抗するわけではありません(鬼無里地区 木原)
2021年9月15日 | 活動内容: |
作業場で一人焼肉している協力隊員は一体誰か。そう、私です。
6月末からちょっと新しいことを始めました。
それは後で書くとして、、、その作業をするうえで暑い中なのに薪を焚いているのですが、焼けた炭を見ていると何か焼いて食べたくなってきます。
先日は市街地のスーパーに買い物に行ったときに焼き魚が食べたくなり、珍しく魚を買って帰りました。
夕方、自宅からその魚を持ってきて残っていた炭火で焼いて夕飯のおかずにしたのですが、久々の焼き魚はとても美味しかったです。
その数日後、またスーパーへ行ったときにタレ付きで焼くだけで良いお肉が安売りしていたので思わず買ってしまいました。
普段あまりお肉は食べなくて、食べるとしても少量のひき肉を炒め物に入れる程度です。
猪肉や鹿肉をくれるという話もよくあるのですが、独り者の私は美味しく調理できるような腕は持ち合わせていないので、折角のご好意ではあるのですが心苦しくゴメンナサイと遠慮させてもらっています。。。
でも、その時はなぜかやたらとお肉が食べたくなって、翌日のお昼は一人焼肉を堪能しました。
(予想よりも煙がすごくて作業場が焼肉臭くなりそうだったので、このあと外に移動して食べました。。。)
6月末から始めた新しいことというのは精油を抽出することです。
精油というよりはエッセンシャルオイルといったほうが馴染みがあるでしょうか?
アロマオイルと混同されがちですが、エッセンシャルオイルは植物から抽出される天然成分100%の液体で、アロマオイルはエッセンシャルオイルにアルコールや人工香料などを加えて薄められたものです。
精油を抽出する際にはもちろん材料が必要なわけですが、主に支障木として伐採された、もしくは伐採予定の枝葉を使っています。
理由は人間の都合で支障木と名付けられ伐られてしまう可哀想な木から、価値ある恵みのしずくをいただいて汚名返上してあげるためです。
この日に材料として使ったのは、作業場にある空き家裏の法面にある倒木の危険があるスギの枝葉です。
高枝ノコで枝葉を落として集め、粉砕機にかけ細かくし、ドラム缶で作った蒸留器の中に入れて薪を焚いて蒸し上げます。
材料を入れてフタをし、薪を焚いて待つこと約3時間。
ドラム缶から出てきた水蒸気に精油成分が含まれているため、塩ビ管と蛇腹の水道用パイプで作った冷却器で水蒸気を液体に戻し、オイルセパレーターを使って水と油を分離させます(写真の上澄みが精油です)。
それから約1時間が精油を抽出できるピークタイムで、それ以降抽出できる量はどんどん減っていきます。
1回の作業で約50kgのスギの枝葉を入れるのですが、抽出できる精油の量は牛乳瓶1本分にも満たないです。
スギの場合は枝よりも葉に多くの精油成分が含まれているようなのですが、葉だけだと粉砕機にもかかりにくく青臭さが強くなることから、ある程度枝も入れてあげる必要があり、その加減次第で香りも抽出量も変わるためなかなか難しく奥が深いです。
火力と冷却水の温度だけこまめに気にしてあげればあとはひたすら待つだけなので、今は林業関係の本を読む時間に充てています。
電気ヒーターを使えば安定してドラム缶内の水を沸騰させることができますが、作業場には電気がないですし、そもそも私のミッション「薪を活用した地域循環の仕組みづくり」なので、ここにたくさんある薪を使わなければ何の意味もありません。
広葉樹の薪はトロトロ燃えるため薪ストーブには適していますがこの作業には全然向いていません。
針葉樹の薪はすぐ燃え尽きてしまうため薪ストーブにはあまり使われずたくさん余っているのですが、火力が強いのでむしろこの作業には適しています。
火力と冷却水の温度だけこまめに気にしてあげればあとはひたすら待つだけなので、今は林業関係の本を読む時間に充てています。
この日抽出できた精油は材料が少な目だったのと、枝を大分多く入れすぎてしまったため110ml程度でしたが、精製して遮光瓶に詰めるとさらに量が減るので30mlと10mlが2本ずつしかできませんでした。
材料調達から抽出後の片付けまで1回の作業に大体10時間近くかかり、その後丸1日置いて精製してから瓶詰とラベリングを行います。
実作業は1日ですが、量が少ない分1本あたりの値付けが難しく、販売価格がいくらなら採算ベースに乗るのか生産コストの算出に頭を悩ませています。
精油を抽出すること自体にもはまだまだ課題はありますが、それよりも今後どうやってブランディングし販路拡大していくかが大きな課題で悩みの種です。。。