35歳 単身移住 ~耕作放棄地 開墾はじめました その2~(篠ノ井信里地区 木村)
2020年11月 5日 | 活動内容: |
よく会話の中で「農業は草との戦い」という言葉を聞いたり、私自身もそう思ってしまうこともありますが、雑草があるから作物が育つのです。
慣行栽培であっても、有機栽培であっても、自然栽培であっても、草がなければ作物は絶対に育ちません。土の中に腐植がなければ作物を育てる微生物は生存できないのだから。
雑草たちが、土の中に微生物を増やし、有機物を増やし、腐植という栄養分を増やしてくれているのです。人間はそれを利用することで作物を栽培している。
この当たり前の事実を知っていれば、戦う相手などどこにもいないと思うのです。
ここ信里に移住してきて2カ月が経ちました。
改めて思うことのひとつが"大規模化"という謎。大規模農業が日本の食を支えているといわれていますが、本当にそうなのでしょうか。
農業人口が減ってきているといわれて久しく、高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など、課題は加速度的に大きくなっている一方なのだということを、移住してきてから体感として感じます。
もちろん国は、何とかしようとしていますが、農業を強くすることが大規模化だと思っています。
でも、戦後の農政で取り組んできたことも、大規模化と効率化です。
高度経済成長のなかで、農業は多収、大規模化、効率化が求められてきました。戦後復興に向けた、食糧不足の解決を託され、そして大量の肥料と農薬が輸入されてきました。
しばらくして、米国の食糧が大量に輸入されるようになると、日本の食卓は変化し、国内では減反政策が行われました。お米の価格を維持するために。
農薬と肥料の輸入、そして輸入食材と減反政策。
やがて、農業は食べていけない職業になりました。小規模農家は経済メリットがないと切り捨てられ、大量生産を善とし、大量に出荷をしなければ生活が成り立たないような農政が作り上げられてきました。
もちろん、大規模農業も不可欠です。安定的な供給という面では、確かな農業です。でも、いざという時に、家庭の食料を支えるのは、小規模農家なのではないかと思うのです。
コロナ禍で、出荷先を失った大規模農家は多いと聞きます。ある農業法人では180トン(約900万円相当)のタマネギを畑で廃棄せざるを得なくなった、という記事も読みました。各地で多くの作物が出荷先を失ったのは事実です。
でも、それだけの量を廃棄しても、市場には食材があり、家庭での食料不足は起きていません。
大規模化とは結局、農業人口を減らすことで、食を他人任せにすることだと思うのです。農業人口を増やすために大事なのは、ローカリゼーションな農業ではないかと。。。
やっぱり、まずは「自分が百姓をやってみよう」、そこに行きつくのです。
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11月に入った途端、一気に冬を感じさせる外気になりました。
まだ暖房器具を使うほどではないですが、石油ストーブを稼働させる日も近いかもしれません。
「玄関先に新米と、余った苗を置いといたから」と電話をいただいたり、
草刈りした帰り道、「りんご採ってきたから持っていきな」と声をかけていただいたり、
本当に、有り難い日々の積み重ねです。
夜は常備菜作りと柿仕事。
柿を吊るし終えると、いよいよ冬が来る、そんな気になります。