本当に信じるモノに向かって(戸隠地区・水谷)
2018年11月26日 | 活動内容:農作業 |
先日「農家民泊」のミニ講演をさせていただきました。行ってびっくり、大きなビル。いきなりの大舞台感でした。
民泊の講演と言っても、正式オープンからわずか2カ月ちょっと。事例もそんなに数は多くありません。「それでも」ということで、ご依頼を頂いた主催者の皆さまのご配意には感謝しかありません。
私たちの民泊施設は最寄りのICと言えば、長野と信濃町です。それぞれ約40~50分かかります。駅はというと長野駅。バスを経由したら約1時間、タクシーを使っても約40分はかかります。
戸隠のいわゆる観光エリアではなく、のどかな農村地帯にあるため、交通面から見れば、決してアクセスの良い場所とは言えません。
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でも、民泊を始めようと思いました。
それは、中山間地の魅力を凝縮できる方法だと感じたからです。
農・食・文化・伝統、何よりも昔から続くサステイナブルな暮らしを体現していける点が良いと思いました。
山からの湧きたての新鮮な水と時間をかけて手を入れ豊かにしていく土壌に日々触れていられる時間。こんなスピードの早い時代だからこそ、かえって必要ではないか、と。
常に中心というか軸に立ち戻りやすい生き方を選択したい、と。
でも、過疎地で民泊や農cafeを営業するという選択肢は、ビジネススクールで学ぶフレームワークや様々な経営・経済の分析手法から判断したら、対局にありネガティブな要素が圧倒的に多くなります(笑)。
まずは戸隠の人口密度ですが、東京23区の約1/500です。小学校のグラウンドに500人がワイワイいるのが東京としましょう。戸隠はと言えば、1人です。で、高齢化しているため、移動が軽々といかない人も数多くいます。
ざっくりと人口密度の面だけから考えれば、1人のお客様にお越しいただくために都会の数百倍のPRの努力が必要かもしれません。
でも、そんなことを考えていたら、何もできません。何をするにも億劫になってしまうだけです。
そもそも最初からそのような天秤で判断基準をかけないと腹に決めてスタートしたつもりです。
「価値あると思えるコトに。コレだ!とピンと来るモノに時間・エネルギーをささげよう。自分を信じよう」
と。
人生で何が大事ですか?
と聞かれたら、答えは人によって様々だと思います。
私の場合は、漠然と「Creation」が答えでした。
動植鉱物の極めて豊かな戸隠の自然環境。
一般的に仕事・事業で最低限必要と言われる様々な指標を度外視しても、チェレンジしたくなる環境がそこにありました。
農業は土地という資源を活かし、そこに生命の息を吹き入れ、交響楽団を指揮し、様々な心地よいメロディーを奏でるような仕事です。
さらに言えば、畑だけではなく、その敷地内の生命現象、有機物全てに対して。
水、石、岩、土、木、植物、草、種、日光、動物、鳥、虫、微生物、そして人―。
抽象的に言えば、「ゼロからイチを生み出す」に近い仕事と言えると思います。
相手が自然界ですので、ウソ・ゴマカシ・テヌキは通用しません。
やった分だけが返ってきます。
それが面白いじゃないか、素敵じゃないか、と思っています。
今年、高原花豆が失敗してしまったのは、自然界に対して、それ相応の水準に至らなかった要素があったからに違いありません。
やったことに対する結果という点で、自然界ほど例外がない存在はありません。
落胆した時間もありましたが、失敗したからこそ得た学びも沢山ありました。次はこれを活かします。
厳しくも公平な自然界の中で「Creation」していく時間。
成果として形にするため、自然界の出来事には必ず過渡の時間が一定量必要なのと同じように、人間も同じそうな性質を実は持っていると感じます。
具体的な成果物を得ること、目標が実現するという現象は過渡の時間軸の延長線上にあるモノであり、それまでのプロセスも連続的に微細なレヴェルで繋がっているはず―。
ということは、人間活動も常に生滅・発生し続ける自身の過渡の時空間量を出来る限り意識し、大切にし、続けることー。
このプロセスが楽しいんです。
もしかしたら、人生でもっとも楽しい時間は、このプロセスを精一杯生きている時間なのかもしれません。
実はこの魅力的なプロセスは、民泊でお客様と共有する時間そのものではないかー。と、ある日、気が付きました。
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一たび、何らかの形でご依頼をいただくと、頭は活性化します。ややもすると忙しさで忘れがちになっていた大切にしたいことへの確信を強めることができました。
同じ民泊事業者の方ともご縁も出来て、楽しく嬉しい時間でもありました。
ご依頼とご縁に感謝です。
取り組むべきことに取り組んでいこうと思いを新たにした日曜日の夜。
ありがとうございました。
*本記事は2018/11/11にここのえブログに投稿したものの転載です。