vol.8~竹細工の森を守っていた、もう一つの生業~(戸隠地区:西濱)
2018年10月18日 | 活動内容: |
戸隠地区担当の西濱です。
前回、vol.7~つくり人たちの山仕事「巻竹採り」~をお届けしました
vol.8では~竹細工の森を守っていた、もう一つの生業~をお伝えします
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先日、竹を採る戸隠竹細工の森で
"「秋の山仕事!~竹採~」戸隠竹細工の森保全活動体験会""を"開催しました
普段一般の方が見ることができない
つくり人たちの山仕事を間近で見ることができ
簡単なアクセサリーづくりも体験できるイベントです!
(秋晴れの空の下、戸隠竹細工の森に出かけます)
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『戸隠竹細工の森に広がる竹たちの今』
保全活動体験会では、竹採場所に行くまでの道すがら
笹(クマイザサ)と根曲がり竹(チシマザサ)の見分け方や
森の中で笹薮から竹藪に植生が変わっていく分岐のようなものを
つくり人たちが参加者の方にお話しました
「昔この一帯は竹藪だった。そして良い竹が採れたんだ」
目の前に広がる笹薮をみながらつくり人たちは
森の箇所箇所でそう言います
そして、vol.6では~つくり人たちの山仕事「巻竹採り」でも
少し触れましたが、つくり人たちは口々に
「昔は呼吸ができないくらいヤブの中は竹だらけだった」
「9月に森に入ると若竹が白く光るように
そこらじゅうあって綺麗だったんだ」
そう教えてくれます
今、同じその場所に立っても竹ではなく笹が広がっています
竹がある場所でも、年数だけが経った藪が混んでいるだけで
光るような若竹はちらほらしか見えなくなりました
竹細工の森は、昔から比べて確実に笹薮が竹藪を侵食しています
良質な竹藪は減り、新しい竹を生む白く光る若竹は
ひっそりと、そこに佇むだけになっています
"竹はどこへ行ってしまったのか"
"これから竹はどうなってしまうのか"
"どうしたら一面に光る若竹が見られるのか"
竹藪で絡んで朽ちている竹を見るたびに胸の奥が痛みます
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『良質な竹が守られてきた理由(推測的観測)』
【その1~竹細工のつくり人~】
戸隠の良質な竹を守ってきたのは、多くのつくり人たちでした
120人がひしめき合う時代も、今までお伝えしたような
厳しい理(ことわり)を決めることで継いできました
≪継がれてきた理(ことわり)のこと≫
・巻き竹は「9月11日の山の口」からしか採ってはいけない
※昔は9月10日
・縁竹は「9月25日の山の口」からしか採ってはいけない
※今はこの山の口はありません
・つくり竹は「10月1日の山の口」からしか採ってはいけない
・竹を守る山仕事「筍番・道刈り・道こせ」
・他のつくり人が竹を採る場所へで竹を採ってはいけない
※120人いても互いに誰がどこで竹を採っているか知っていました
・竹を乱獲してはいけない
※昔のつくり人たちは、作物を育てるように自分の場所の竹を
計画的に採り守りました。必要以上に竹を採ることは、翌年以降
良質な竹が生えないことに繋がります
【その2~炭を焼く人々~】
江戸時代、戸隠の中社地区が竹細工を、宝光社地区の人々は
同じ山で木を伐り炭焼きを生業とすることが認められました
炭焼きをしていた頃の森は、種木となる木を残して木が伐られ
光が入る明るい場所で、その光を受けて筍が沢山でて
豊かな竹藪があったそうです
(自然と一体になっている森の中の炭焼き場)
炭焼きはガス・電気の開通により段々に行われなくなりました
竹細工のつくり人の記憶では今から約30~40年前くらいのことです
戸隠の良質な竹は中社地区の竹細工のつくり人たちと
同じ森の中で、木を伐り森の環境を守っていてくれた宝光社地区の人々
が同じ森で生業を共にすることで守られてきたのだと思います
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(番外編)
『戸隠竹細工の森に広がる竹たちの今』
竹も森と共に生きています
昨年は雨が多く、筍は生えたけれど竹としては
出来があまり良くない年でした
今年は、雨が少なく、早くに竹が出来上がりましたが
筍自体が少なく柔らかい竹を使う
つくり人たちは竹取に少し苦労しています
"良い竹があり、良い技があり、使い心地が良い"
当たり前のことを当たり前に繋いでいくことは
本当に難しいなと感じる今日この頃です
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次回vol.9~つくり人たちの山仕事「つくり竹採」~をお届けします
秋も深まってきた戸隠はこれから、あっという間に冬支度が始まります!
雪が降るまでに春まで使う竹を全て切らないといけません