vol.6~つくり人たちの山仕事「巻竹採り」~(戸隠地区:西濱)
2018年9月13日 | 活動内容: |
戸隠地区担当の西濱です。
前回、vol.5~つくり人たちの山仕事「道刈り」~をお届けしました
vol.6では~つくり人たちの山仕事「巻竹採り」~についてお伝えします!
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戸隠竹細工の9月の竹採は、若竹の中でもカゴの縁を巻く
「巻竹」を採る為に山へ入ります
竹を採るといっても道端にあるわけではないのです
山道を登ってその両脇にあるヤブの中を分け入って採るのです
この巻竹(若竹)はヤブの中でもひと際白く光って見えます!
つくり人曰く、「昔は呼吸ができないくらいヤブの中は竹だらけだった」
今はヤブの中を探さないと見つからないくらい竹が減っています
その理由は、戸隠にあったもう一つの生業が関係していますが
そのお話は、また今度・・・・
(竹採場でこれから入るヤブを見るつくり人の2人。このヤブが強敵です)
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『巻竹について』
巻竹とは竹のざるや籠についている"縁"を留めるために巻く竹のことです
この「巻竹」は竹細工のどの産地にもあるものですが
その中でも戸隠竹細工の巻竹の存在を知った時、
その存在の素晴らしさに、胸がいっぱいになり
この場所に繋がる文化と伝統を深く感じるきっかけにもなりました
なぜこんなにも、熱くなってしまうのか
少し文字数を頂いてお伝えしたいと思います
(カゴの赤い矢印の材料のことです)
『"戸隠竹細工の巻竹"という存在の素晴らしさ』
竹細工の縁に巻く「巻竹」は、一般的にその年の筍が大きくなった
柔らかい竹を使って巻かれています
硬い竹を巻いてしまえば使ううちに、割れたり弾けたりして壊れてしまいうため
縁巻きはどの産地でもとても大切なものなのです
巻竹を大切にする思いは戸隠竹細工も同じですが
ここには戸隠竹細工ならではの特徴があります。
【戸隠竹細工の巻竹の魅力】
①縁巻に適した若竹(その年に生えた竹)の中でも、最も良い時期と言われています
「若竹の山の口」から約1ヶ月弱の間の竹のみを使います
(若竹は節の下が白く、ハカマがしっかりと残っているのが特徴です)
②採った若竹(巻き竹)は、3日の内に割ってしまいます。
この時期の竹は時間が経つとしぼんでしまい割れなくなるため、
技量に併せて山に入る回数・採る本数 が変わってきます!
出来上がった巻竹はしっかり乾燥させ保存。使うときに水で戻して使います
こうすることで、材質を損ねず良い状態でいつでも使用できるんです!
(右上の青色が今年採った若竹で作った「巻竹」、左下の黄色が乾燥させた「巻竹」
この黄色い竹は約30年以上も前に採られたものです)
(拡大すると違いがよりはっきり分かります)
この2つが基本ですが、毎年竹の生える量や材質は天候に左右されるため
短い期間に安定してして採れるわけではないんです
そんな中で戸隠竹細工で受け継がれてきたのが
"親から子へと巻竹を残すこと"でした
竹細工が生活の糧として無くてはならない中
子供や孫がこの大切な巻竹に困らないよう良い巻竹を残してきました
中には60年前の巻竹も珍しくありません
戸隠のつくり人たちは口下手で大きな声であまり言いませんが
皆さんが手にされるカゴの中には、そんな想いで受け継がれた竹が
さりげなく使われていたりします
(この背中には約100本の竹があります。私は70本が限界かもしれません)
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(番外編)
『若竹の山の口』
「山の口」については前回vol.5の番外編にてご紹介しましたが
一言で簡単に言うと
山の口=山の解禁日=山に入って竹を採ってもいい日
実はこの山の口を知ると他の産地では中々見られない
戸隠竹細工の特徴やつくり人たちのこだわりがとても良くわかりかるんです!
山の口は9月11日の「若竹の山の口」、10月1日の「つくり竹の山の口」
それぞれの違いはというと
「若竹の山の口」・・・カゴの縁を巻く"巻竹"の竹採り解禁
「つくり竹の山の口」・・・カゴの本体(編み目)をつくる"つくり竹"の竹採り解禁
この2回あることにとても意味があります
最盛期には120人以上のつくり人が山に入っていました。
そうすると、我先にと良い竹を求めて竹がどんどん採られてしまいます
戸隠竹細工には昔から、次の代に竹を残すため、
必要以上に竹を採ってはいけないという約束事があります
みんな平等に、そして乱獲させないなど秩序を保つため
そして永く竹細工が続くため考えられたのが「山の口」だったんです
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次回vol.7~つくり人たちの山仕事「道こせ」~をお届けします
まだまだ続く、つくり人たちの山仕事!
このころには竹採と竹割で少しお疲れのつくり人たちです