長野市地域おこし協力隊はながのシティプロモーションの一環です

山菜採りから得た野菜栽培のヒント「輻射圧」(戸隠地区・水谷)

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2017年5月11日 | 活動内容:農地活用 |

中山間地で5月と言えば、山菜採りが盛んです。戸隠の山々にはコゴミタラノメウドワラビゼンマイなど一般的にもよく知られた山菜から、最近人気を集めているコシアブラも豊富にあります。他にもマイナーでありながら、山の味を堪能できる美味な山菜も数多くあり、5月のわが家の食卓はまさに山菜づくしでした。山菜はミネラルも豊富とされ、収穫野菜の種類が限られる中山間地の春に貴重な栄養価を届けてくれる有難い存在です。

今回のブログテーマは「はじめての〇〇」ということで、私は昨年、移住・引っ越し作業等でほんとど出来なかった山菜採りと、山に入って自然界を眺めることで着想を得た野菜栽培のヒントについても触れたいと思います。

コゴミ.JPG
コゴミ(クサソテツ)

コゴミの新芽を見ると思わず笑みがこぼれます。クセがなくシャキッとした歯ごたえを楽しめます。どんな料理にも合いやすく、多くの人に愛されている山菜です。

ツクシ.jpg
ツクシ(4月)

カンゾウ.jpg
カンゾウ(4月)

地元の農家さんから教わったのですが、カンゾウは葉の部分よりも根に近い膨らんだ部分の方が甘みがあって美味しいとのこと。さっと湯がいて酢味噌和えが最高の食べ方だそうです。

アサツキ.jpg
アサツキ4月)

タラノメ.jpg
タラの芽(山菜の王様と言われています)

ミズ(ウワバミソウ).jpg
ミズ(ウワバミソウ)

ゼンマイ.jpg
ゼンマイ

ヤマブドウ.jpg
山ぶどうの新芽

アブラコゴミ.jpg
アブラコゴミ(別名:イッポンコゴミ・アカコゴミ・キヨタキシダ)

今年初めて群生地を発見しました。通常のコゴミよりコリコリした食感が強く、名前の通り、油気のある風味が特徴です。天ぷらにするとより一層それが感じられます。戸隠ではあまり知られておらずマイナーな存在ですが、他県では通常のコゴミ以上に好まれて食されている地域もあるようです。私は風味と食感が気に入り、何度も天ぷらでいただきました。

イワガラミ.jpg
イワガラミ

葉は爽やかなキュウリに似た風合いを楽しめます。天ぷらも美味しいですが、お吸い物に添えると綺麗な新緑が映えてアクセントになります。

山を歩いていると山菜以外にも目が止まる自然界の美が数多くあります。控え目で清楚な野生の花、日影の苔類、雪解け水の流れる清流、動物の痕跡,,,etc。

紫の花0521.jpg

苔.jpg

青い羽.jpg

清流.jpg

山菜採りのマナーは、その場に生えている山菜を根絶やしにしないこと。全てを採り切ってしまうのではなく、例えば5本生えていたら2~3本は残し、生命力の綱が絶たれないよう配慮することが肝要です。そうすることで山の中の生態系が保たれ、来年以降もまた出て来てくれます。ある日の山菜採りでは、様々な種類を魚籠(びく)少しずつ頂きました。

山菜類.jpg

さて、ここまでは山菜採りについてでしたが、山菜採りを通じて感じ、学び、得たヒントについて書いていきたいと思います。今年の山菜採りでは、山菜と山の生態系に詳しい地元の名人に2回同行させて頂きました。

名人曰く、「山菜は岩場に生えていることが多いんですよ。たぶん岩が太陽光を吸収して熱を持ちその周囲が温かくなることで、山菜が生えやすくなるんだと思います。だから岩場が山菜採りの一つの目印。それからやっぱり地形的な特徴もありますね」ということでした。

この言葉を聞いた時に、山菜の出やすい地形的特徴や条件は何か?が気になっていた自分としては、納得とハッとすることが多く、他の要素との結びつきを連想しました。

それは「輻射圧(ふくしゃあつ)」という自然界に遍満する力(エネルギー)についてです。以前から農作業の実際の場で輻射圧の応用をどうすれば良いか考えてきましたが、山菜採りから思わぬヒントを得ることができました。

輻射圧とは簡単に表現すれば「太陽光等のエネルギーに伴い発生する生命を育む力」のことです。野菜栽培に応用すれば、成長を促進させていく大きな要因になることは間違いないと思います。

専門的な解説を以下に引用させていただきます。

"輻射圧ということは、太陽からの輻射線や物質の放出するすべての輻射線の進む方向(波動方向)に対し、これと直角をなす方向の空間(物質も含む空間)に発生する機械的圧力のことである。当然、輻射線の有する勢力によって発生される圧力である。この関係は、力線の方向と直角をなす方向に発生される圧力と同一的性質のものである。"

"物質を構成する基本的単位である原子の内部にある電子が、振動を起こして空間に電磁波動を波及させる現象が、一般に輻射の現象といわれる。電子が輻射を行う現象は、在来、電子は電子内の位置に従う定常のエネルギー準位よりも外部からなんらかの勢力が給与されて(電子の立場からいえば、外部から勢力を吸収して)エネルギー準位が高められた場合には、その高められた勢力量を放出して、元の定常エネルギー準位にまで戻るという性質がある。その際、電子は振動の現象を呈して勢力を放出するのであり、その電子の振動が、光とか電波のような電磁波勢力を周辺の空間に波動させることになるのである。その電磁波勢力の波動を、輻射線というのである。そして、物質が輻射圧の高い空間にある場合は、輻射勢力を放出することが減少して、物質内部に吸収する勢力が蓄積されて温度が高まるという現象となるのである。"

"植物個体は、環境の輻射圧が高い場合は、外部からの輻射勢力が蓄積されることによって、同化作用が活性となり、生育を旺盛にするという現象を呈することになるのである。従って、植物を生育させるためには、まず何よりも環境の輻射圧を高めるという工夫が重要になるのである。"

"植物の成育は夜間において活性であり、しかも温度落差の大きさとその保持される時間との積量に比例した生育度であるという理解が重要である。土壌の輻射圧を高めるという施策は、この重要な温度落差と保持時間の積量を大きくするという理学的な理由によるものである。"
(『静電三法(輻射圧の調整に係わる技術)より』)

わかりやすく図で表現すると以下のように抽象できるようです。

輻射圧の図.jpg

この場合、太陽光のエネルギーが黒色の岩に方向に進行すると、その直線の直角方面に圧力が生じ、それが植物成長を促進させるエネルギーの一因となります。

山には巨大な岩石類がゴロゴロと横たわっており、図のような状況の場所が無数に存在しています。
岩石_輻射圧.jpg
この写真の左側の岩の下側にコゴミが群生していました。

岩石_荒倉山.jpg


コゴミ群生地.jpg
この群生地は控えめな方で、岩石類に囲まれている所で辺り一面がコゴミの場所もありました。

この考え方を応用して、山の地形を遠近より見て、どの場所に山菜が豊富にあるか判断できるようになるかもしれません。複雑な自然界を眺める時に根拠があるのは、とても面白いことだと思います。

輻射圧は非常に多岐にわたる内容であり、今回はホンの一端の例に留まりましたが、全体像を理解しつつ、圃場で野菜栽培に応用できないか、現在チャレンジ中です。

山は入る時期・タイミングによって自然界の多様性を感じることができ、様々なインスピレーションをもたらしてくれます。普段、圃場にいるだけでは見えてこないことも数多くあります。多くの可能性を試していけるよう引き続き取り組んでいきたいと思います。

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