2016年11月28日
| 活動内容: |
今年の収穫に感謝し、来年の豊作を願うため
神棚に奇形のりんごをお供えしました。
芋井のりんご担当 古川です。
こういう形のりんごは、落とさず大事に育てます。
(11/1撮影)
(11/25撮影)
収穫っていいね〜楽しいでしょ〜
みたいなことを言われるのですが、りんご農家にとっての収穫はそんなにぬるいもんじゃない。
もちろん1年の成果が出る嬉しさみたいなものはあるけれど、収穫が1年でいちばんの力仕事なのだから。
コンテナ1つが、りんご18キロ+コンテナ自体の重さでだいたい20キロ。
ぼくが技術指導いただいている親方のお宅では、
畑で収穫したりんごを30コンテナずつ軽トラに乗せて倉庫に運ぶ。
収穫が全部終わったら、作業場に入るだけコンテナを運び込み、りんごをサイズ(重さ)ごとに分ける。
サイズ分けされたコンテナを作業場の横に積む。
市場の業者さんに集荷に来てもらう。
作業場に空きができたら倉庫からコンテナをまた運び込んでサイズ分け集荷の繰り返し。
という作業フローになっている。
効率悪いと思われるかもしれないが、
雪が積もる前に収穫を終えることと、限られた人間で作業することを考えた結果、
今はこのやり方をしているのだそう。
80才近い親方は、この力仕事に関してはぼくに頼りきりで、
最近は「せー」とか「だー」とか「ちぇぃちぇぃ」みたいなノイズで、
「これはそっち」「そこスペース空ける」といった意思疎通をできるというまるで汎用性のない能力が身についてきました。
100コンテナ運べば約2トン、200運べば4トン。
象を少しずつ動かしている気分です。
諸々合わせるとサンふじだけでも、ぼくがタッチしているのは来月までに3000コンテナ超えるよなと思って、
おれゴジラを動かしてるんじゃないかと思って、「ゴジラ 体重」で検索したら2万トンだそうで、これはケタが違うわゴジラごめん。
市場に卸すか、直販するか、りんごの売り先はそれぞれだけれども、
1年の成果をしっかり出して落ち着いて年末年始を迎えたいために、この時期のりんご農家さんたちは頑張るのだ。
とある農家さんは「おれだって若ぇ時はすいすいと運んでたんだ。でも85過ぎるとガクンと体力が落ちる。」と言っていました。
いやもっと早くガクンとくる時期あるんじゃねえの、と思うのですが、もはやこの鉄人たちの言っていることは次元が違う。突然出てくる長野の方言の意味がわからないから、それどういう意味?と聞いたらそれを長野の方言で説明するというラビリンス。なっちょだぇほー、せっこよくやらずほー。ほんとうにこの時期のアドレナリン出てるじいさんたちの世界観はハンパないのです。
そんなこんなで地区内何軒かの農家に出入りして、技術とオペレーションを盗んでいるこの時期のぼくを支えてくれているのは、ミドリ安全の腰部保護ベルト。癒してくれるのは、サロンパス。温めてくれるのは、平日21時以降のうるおい館。
粉骨砕身りんごを動かす生活はまだ始まったばかりなのであります。
以上、芋井のりんご担当 古川でした。