[大岡]実りの秋に思うこと
2016年11月 9日 | 活動内容:農作業 |
大岡地区の鈴木です。
お米の脱穀が終わって一息つく間もなく、雑穀や豆の収穫と脱穀が続いています。
豆が3種類と雑穀類、自家用の田畑もあるので、休日もひたすら刈り取り&脱穀です。
完熟した作物は茶色一色。
作業は土埃や枯れ葉などが舞うので、自分も埃まみれです。
大岡は紅葉まっさかり、山や里でも赤や黄色の木々がきれいですが、私は土色に染まってます。
多くの人は、刈り取りが終われば終了、というイメージをお持ちかもしれませんが、その後にもたくさんの工程があります。
(エゴマです。脱穀、ふるい、風選、洗い、乾燥と、一番厄介!)
脱穀とは、穂についた実を枝からはずす作業で、お米も大豆も雑穀も同じです。
枝や鞘などがたくさん入るので、ふるいにかけてゴミや虫食いや小さい粒を取り除きます。
(花豆。)
(枯れ枝ではない、大豆です。)
今年はアワときびを作りましたが、これらはイネ科なので作業は同様、脱穀して籾をはがして中身を出す、もみすりという作業が入ります。
(米で言えばこの作業で玄米になります。)
玄米では外側の硬い皮を削る精米という作業を経て、やっとおなじみの白米が出てくるわけです。
少しずつ違いますが、小麦や蕎麦もそんな工程があります。
日々そんな地道な作業に勤しんでいるわけですが、畑にいるといろんな人が収穫物を届けてくれるのも秋の風物詩。
さつまいも、里芋、菊芋、大根、かぶ、パプリカ、キャベツにセロリや葉物等々、美味しいものだらけです。
主人は長芋とりんごの収穫のお手伝いに行き、手間賃に収穫物を箱いっぱい貰ってきました。
我が家からもマイ収穫物をお礼に渡したり、たくさんいただいたものはお裾分けしたり・・・ものすごいサイクルで物々交換が行われています。
この地域の人たちは、専業(ほんの一握りですが...)、兼業、自給用と、ほとんどの人が何かしらの形で田畑を耕作しています。
農業は食えない、なんて言われるけど、少なくとも食べるものには事欠かない、「腹一杯食える仕事」です。
規模が小さいと収入も少ないけれど、投資もかからず、悪天候の際の収穫減などのダメージも少ない。
倒産したって食べるには困りません(現在食べ切れなくて困ってる!笑)。
他に仕事を持つことは、手に職というバリエーションも増え、リスク分散にもなります。
農業の衰退で、小規模で兼業や自給用がほとんどと言われる中山間地の農業ですが、そんな小さいなりのメリットがあり、土地柄コンパクトな農業のほうが適しているのも事実。
田畑を耕作することは、生産という面だけでなく、多様な生き物の住処だったり、田んぼはその保水力から土砂崩れや河川の氾濫を防ぐ機能もあり、治山治水や景観維持にも重要な役割を果たしています。
自給でも片手間でも小さくても、田畑を、里山の自然を維持する、重要な役割を担うことには変わりません。
大岡で3シーズン農業に関わり、自分もそのほんの一部だけれど担っている、そんな意識を持つようになりました。
政策により、零細農家は一掃され、大規模経営の農家しか生き残れないなんて言われることもありますが、これからの時代で、そんな小規模な農業こそ、重要な意味を持つのではないかと思っています。