【5月テーマ:五感で感じたこと】奥裾花で聞きなし
2016年5月 4日 | 活動内容:文化・行事 |
こんにちは!鬼無里担当No.3のきのっぴーこと木下恵美子です。
すっかり暖かく春たけなわとなりました。
鬼無里でも畑や田んぼの準備が進んでいて、
耕耘機や刈り払い機の音を朝早くからよく耳にします。
ここ1週間は雨が降って、畑の土がなかなか乾かない。
雨が降るたびぐんぐん伸びる雑草との戦いが始まっています。
(もう、なんだか既に負けています。)
奥裾花自然園にも春がやってきていました。
※5月4日に発生した落石のため、5月5日現在、
奥裾花自然園アクセス道路が全面通行止めとなりました。
鬼無里支所観光振興部主催の「巨木の根明けと残雪ウォーク」に
参加して、ようやく春が訪れた奥裾花自然園の自然を満喫してきました。
案内ボランティアとして、地元の宮沢さんはじめ、「スハマ会」の
メンバーの方々による解説がとても勉強になります。
ただ草木の名前や種類を知るだけではなく、
どういう生き方をしているかとか、今こういう過程にあるとか。
このブナは半分枯れていて、沢山穴が開いています。
朽ちた部分に虫が入り、幼虫が沢山いるので、
コゲラ、アオゲラ、アカゲラはじめキツツキ類の格好のレストランに。
鳥が掘った穴なのです。
素晴らしいのは、枯れてもなお役に立っているところ。
自然の中では、無駄なものや役に立たないものはないんでしょうね。
人間界と違って。
下の写真、ちょっとわかりにくいかと思いますが、
中央に水面から顔を出しているのはサンショウウオの仲間の成体です。
体長20cm位かな。写真の下の方にある白い物が卵嚢です。
この日は卵嚢の近くに数十匹の成体がいました。繁殖中だったようです。
案内の方たちも初めて見たそうで、珍しい光景だそうです。
池の辺りでは鳥が鳴いている声が聞こえました。
ちょうど私がいた斑の案内役は鳥に詳しい方で、
この季節はそれほど鳥は多くないそうなのですが
コガラやヒガラが鳴いている、と教えていただきました。
姿は全く見えないのですが。クロツグミも鳴いていたそうです。
鳥の鳴き声を、近い人間の言葉に置き換えて聞くのを
「聞きなし」というんだそうです。
センダイムシクイの鳴き声は「ショウチュウイッパイ、グイーッ」
(焼酎一杯、ぐいーっ)と"聞きなす"んだそうです。
ちょうど「グイーッ」の部分だけ、センダイムシクイの鳴き声を
聞き取れました。
ウグイスの声も「ホーホケキョ」(ほう、法華経)、これ、聞きなしです。
ツバメの聞きなしは「ツチクッテムシクッテシブーイ」
土食って虫食って渋ーい。覚えると面白いです。
覚えなくても、ブナの森の中で小鳥の声を聞く、それだけで
心が安らぎます。
通り道にはクロモジが結構生えており、小枝の香りを嗅ぐと
とてもさわやかな良い香り。
クマの爪痕が残るブナの木。
ブナは特に吸水性の高い木で、1本で8トンって言ってたっけ?
だから夏でもブナに抱き着くとヒンヤリ感じるそうです。
確かに今触ってみても、ひんやり。
樹形も葉っぱも、根元に水を集めるための工夫があるそうです。
これが裾花川の水を支えているのかな。
上の写真、とうとう切り倒されたミズナラの巨木です。
カシノナガキクイムシにやられ、立ち枯れてから数年。
遊歩道の近くなので倒れたら危ない、ということで切り倒されたようです。
去年はまだ立ってたと思いましたので、最近切ったのかも。
年輪を数えようとしましたが、なかなか複雑で数え切れず断念。(^^;;)
ここまで、小鳥の声(聴覚)、クロモジの香り(嗅覚)、
ブナの冷たい肌(触覚)、ミズバショウ、サンショウウオやブナ林などで
視覚をも十分楽しませてもらいました。
最後は味覚!会の終わり、まさご食堂さんで山菜など地元ならではの
お料理を出していただきました。この日はきび団子もおまけについてた!
平らげる前にちゃんと写真撮っておいてよかった!
リンゴから反時計回りに、ノビロ、行者ニンニク、ジャガイモ
タラノメ、コゴミ、ウドブキ、梅漬け、野沢菜。
ウドブキ、初めて食べました。ウドの香りとフキの食感とか。
どれもおいしかったです。
「今年はきび団子のきびが良くて、おいしいよ」とは
まさご食堂のお母さんの言葉!
日本一のきび団子、ぜひ食べに行ってください!
それにしても、奥裾花自然園、五感で感じる以上のものを
得ることができたように思います。
環境教育の場として、この天然林が残っていくことを願ってやみません。
長野市地域おこし協力隊(鬼無里) 木下 恵美子