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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.432

神田

一平さん

株式会社タイコー代表取締役社長

楽しさをとことん追求! 長野市の靴下工場から次々と生まれる新たなプロジェクト

文・写真 島田浩美(文)、金井真一(写真)

長野市で靴下を作り続けて70余年となる株式会社タイコー。その4代目として2015年に経営を引き継いだ神田一平さんは、「ただ事業を引き継ぐだけでは会社としての発展もないし、おもしろくない。何か新しいアクションを起こそう」と、靴下から派生するユニークな数々の取り組みを展開しています。
 

後継者だからこそ、新しい発想での取り組みを

長野市で全国に広く流通する靴下の製造会社があることをご存知でしょうか。株式会社タイコーは高い技術力と幅広い機種を揃える設備力、豊かなアイデアと社内一貫生産を武器に、さまざまな特許やグッドデザイン賞等を取得し、名だたるスポーツブランドの靴下や医療用靴下、カジュアルソックスのOEM(他社ブランドの製造)を中心とした生産をしています。工場を訪れると「こんな有名ブランドの靴下も、ここで作っているの!?」と驚きの連続。オリンピック選手など、トップアスリートの専門の靴下も製造しています。そこにはタイコーで長年培われた、設備投資を惜しまない姿勢と発明のDNAが息づいているようです。
 

 

 
「約30年前に繊維産業の最先端であるイタリア製の機械をいち早く導入し、専門性の高い靴下を作ろうと大手スポーツブランドの営業を開拓したり、医療用認可を取得して医療用靴下を製造してきました。先代はガラス繊維を使った防火布を開発して特許を大手紡績会社に売ったこともあります。手袋の編み機の導入後は5本指ソックスを作り始めて製造の可能性が広がりましたし、スマートフォン対応の手袋も業界に先がけて製造しました。好評により、今は毎年10万セットを作っています」
 

▲今やスポーツ用ソックスでは当たり前のように見かける左右の形が異なる靴下も、同社が先がけて製造
 
そう話す神田さんは、大学卒業後に写真や映像の制作会社での数年の勤務を経て、家業に入社。編み機の操作から次第にものづくりのおもしろさを実感し、2015年に社長に就任しました。そして「新しいアクションを起こそう」と、OEMだけでない強みとしてファクトリーブランドを立ち上げるべく、さまざまな新しい取り組みを開始しています。
 

糸くずから生まれた「残福モンスターズ」の絵本づくり

まず始めたのは、20年前に取得した特許がもとになった足袋の靴下と、自社独自の技術を駆使したランニングソックスの販売です。この2種類の靴下を売り出すべく、同社の営業として「ご縁プロデューサー」というユニークな役職につく鈴木良治さんと一緒に長野市内のイベント出店したところ、出会ったのが、以前にナガラボでもご紹介した画家・TOMOYAARTS(鶴田智也)さんでした。
 

 
「以前から、靴下の製造過程でどうしても生じてしまう糸くず(残糸)が何かに使えそうだと思っていました。そんなときにTOMOYAARTSさんが工場見学に訪れて『糸くずがカラフルでおもしろい』と持ち帰り、翌日、モンスター人形を作って持ってきたんです。その完成度の高さに感動して、これを絵本にしたらおもしろそうだと思いました」
 

 

 
そこで、これまでさまざまな縁で知り合った長野市のクリエイターたちとプロジェクトチームを立ち上げ、クラウドファンディングを開始。カメラマンの金井真一さんが撮影した写真の上にTOMOYAARTSさんがイラストを重ねるという独特の技法により、今年6月に鈴木さんが主人公の絵本「残福(ざんぷく)モンスターズ」を出版しました。
 

 

▲「残り物には福がある」という発想から命名した絵本「残福モンスターズ」
 
各メディアでも紹介されたりと手応えは上々。現在は糸くずを使ったモンスター作りのワークショップなども開催していますが、今後は原画展などの開催も予定しています。
 

信州発のよいものを共有する新しいブランド「SYN:」もスタート

さらに、最近お披露目となった新たなプロダクトブランドが「SYN:(シン)」です。世界的に活躍するテキスタイルデザイナーの梶原加奈子さんをブランドディレクターに迎えた信州発のよいもの、よい体験、よいつながりを共有するブランドで、普段使いの「デイリー」、運動時での使用を考えた「アクティブ」、健康に配慮した「メディカル」の3路線から、靴下を中心としたプロダクトを開発します。
 

 

 
発端は、神田さんが、2015年、16年に出展したドイツでの展示会まで遡ります。タイコーでは信州大学医学部と医療用靴下を共同開発し、医療大国ドイツのメディカル系の展示会に参加しました。そうしたなか、神田さんは改めてものづくりや長野への思いを振り返り、大切な要素を考えるようになったと言います。
 
「メイド・イン・ジャパンは世界に誇れる技術だと思っていましたが、世界で戦うためには技術力だけでなくブランド力が重要だと実感しました。それと同時に、ドイツ滞在中に改めて『日本っていいな。そのなかでも自然が溢れる長野の清々しさを多くの人に紹介したいな』と思ったんです」
 

 
そこで、とあるセミナーの参加で知り合った梶原さんに協力をお願いし、2年間かけてブランドを設立。アートディレクターに全国各地で話題のプロダクト開発を進めるグラフィックデザイナーの植原亮輔さん、プロデューサーに長野市出身の小山奈々子さん、コピーライティングに国井美果さんといった各分野の最先端で活躍するクリエイターを迎え、神田さんと縁のある長野市の制作会社やクリエイターも含めたチームを設立しました。
 

▲長野の自然のなかでのミーティングも
 
そして、先週7月17日〜19日に東京国際展示場「ビッグサイト」で開催されたインテリアの国際見本市「Interior Lifestyle Tokyo」に出展すると、錚々たるインテリアショップのバイヤーが訪れ、行列ができるほどの高評価を得たのです。
 

▲実際に出展ブースでは神田さんも接客を担当
 

 

▲現在は靴下だけでなく、長野県内の健康茶やフレグランスの製造会社と共同で独自のお茶や香りも開発中
 
実は、先の「残福モンスターズ」も、今回の「SYN:」も、私はプロジェクトメンバーとして取材や文章制作の一部をお手伝しているのですが、実際にプロジェクトに関わっていると「今まさに新しい動きが起こっているのだ」というワクワク感を覚えます。
その背景には、神田さんの柔軟性とフットワークの明るさ、いわゆる社長感を感じさせない誰にでもフラットな対応、そしてなによりおもしろさを大切にしている前向きな心意気、チャレンジ精神を感じます。
 
「楽しいか楽しくないか。やりたいことの根底にはいつもこの思いがあります。そのおかげで、特にこの1年間の広がりや会社の動きは自分でも驚くほどで、思いがけない人ともつながれ、苦労もありますが大きなやりがいも感じています」
 
私自身、メンバーとして携わりつつもワクワクできるプロジェクトの数々。ぜひ、こんなおもしろい会社、ユニークな動きがあることを多くの人に知ってもらえたらうれしいと、ついつい人に紹介したくなってしまう、そんな魅力が神田さんには溢れています。
 

 

(2019/07/25掲載)

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会える場所 株式会社タイコー
長野市下駒沢五反田793-14
電話 026-296-521
ホームページ https://www.taikojapan.jp/company/
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