No.419
菅
喜信さん
C.H.P COFFEE 店主
「コーヒー店が集うまちで、自分の仕事をつくる」
文・写真 小林 隆史
個性豊かなコーヒー店が集まる長野市に魅力を感じて
「自家焙煎コーヒー店が、個性豊かに揃う長野市で、新たにコーヒーのある場を開きたい」。そんな思いを抱いた『C.H.P COFFEE』店主の菅喜信(すが・よしのぶ)さんは、長野市東町にあるシェアスペース〈KANEMATSU〉を新天地に、新たなスタートを切りました。2019年1月にこの店をオープンさせるまでの約2年間は、飯山市でコーヒー豆と器具を販売する専門店を営んできた菅さん。新たな場との出会いをこう振り返ります。
「飯山市でお店をやっていた頃から、いずれはどこか別の場所でお店をやってみるのもいいなあと、漠然と考えていたんです。そんなあるとき、たまたまこの場所が新規出店を募集しているのを知って。自分にとって、いいタイミングかもしれないと感じて、移転することにしました。
お店をスタートさせるまで、何度か飯山市から長野市へ通っているうちに、古民家をリノベーションして自分なりの夢を叶えた人たちや、穏やかな雰囲気が残る街並みの空気にも魅力を感じるようになりました。善光寺を中心に、まちを歩く人や観光客がいて、コーヒーのある場所は、どこもそれぞれの世界観があっていいなあと。だから、このまちで、自分もひとつのコーヒー屋としてできることを、少しずつやってみたいと刺激を受けましたね」
このまちで自分の仕事をつくる
「若い頃から、何かのかたちで、自分の仕事をつくりたいと思っていたんです」。こう語る菅さんは、専門学校卒業後、出身の神奈川県で、IT系の会社に勤めていました。しかし心のどこかで、大きな組織の中で仕事をするのではなく、自分の夢をかたちにして、自分の仕事をつくっている人たちの生き生きとした姿に、惹かれているものがあったそう。そんな思いを抱きつつ、転職した結果、2012年に飯山市へ移住をすることになりました。そして長野へ来てから、サラリーマン生活を続けていく中で、少しずつ自分の夢を見出していったと言います。
「もともと、コーヒーが好きだったので、自家焙煎をやってみようと思い立って。焙煎の講習を受けて、少しずつ趣味の範囲から、コーヒーのことを深く勉強していきました。次第に、これなら自分の仕事としてやってみたいと思えるようになっていったんです」
そして決意を固め、2016年10月に飯山市で、『C.H.P COFFEE』の前身『CILIEGIO COFFEE』をオープンさせたのでした。
「飯山では、コーヒー豆や器具を販売することに特化してやっていました。ただ、もう少し、カフェという場所として、自分にできることを広げていきたいなと思うようになったんです。そんなタイミングで、この場所と出会って。
心地よく過ごしてもらえるカフェとして、どんなことができるだろうかと色々考えるようになりました。コーヒーだけに限らず、新たに自家製のカレーもメニューに加えてみたり、ランチメニューをつくってみたり。
自分の新たなスタートとして、今は少しずつ、地域に馴染んでいけるような場所にしていこうと試行錯誤をしている段階ですが、この土地で生業を立てることで、何か伝えられることもあるのかなと思っています」
▲コーヒー専門店からカフェへ。新たなお店のかたちでスタートを切った菅さんは、自家製カレーも独自レシピで考案。トマトの甘みを活かした、子どもでも食べられるカレーにしたのは、子連れの方にもゆっくり過ごしてもらいたいという思いから
約10年前までは、まったく使われなくなっていた元紙問屋・ビニール倉庫の〈KANEMATSU〉に生まれた新たな営み。使われなくなった場に新たなあかりが灯ることで、こうして夢をかたちにする人たちがいます。菅さんが「自分の仕事をつくること」で果たす役割も、使われなくなった場所を開いたことで生まれた営みも、このまちに引き継がれていく文化になっているのかもしれません。
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会える場所 | C.H.P COFFEE 長野市東町207-1 KANEMATSU 電話 ホームページ https://www.instagram.com/c.h.p_coffee 不定休 |
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