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No.326

新井

芳明さん

家具店アメニティーショップアイ店長

気に入ったものを長く使ってほしい。
家具店2代目が展開する修理事業

文・写真 くぼたかおり

安定を求めた20代に、家業を継ぐ

長野市立青木島小学校の向かいにある「アメニティーショップアイ」は、社長の新井一郎さんが平成元年に創業した家具店です。息子の芳明さんは当時11歳。以降、自営業をする両親の仕事をそばで見ながら、そのやりがいや難しさを感じ取っていきました。
その後、大学進学とともに上京した芳明さんは、商学部で流通の仕組みなどを学びました。

「当時は家業を継ごうとは考えていませんでした。世の中の景気がそんなに良くなかったので、安定を求めるようになっていました。そのころの夢は、サラリーマンになることだったかもしれない」

そう考えた結果、企業説明会で目に留まった『安定は続くよ どこまでも』というキャッチコピーに惹かれて、産業用バッテリーを販売する会社に就職。営業担当としてルートセールスをしていました。そこでの仕事はとても充実していて、社会人として必要なマナーからビジネススキルなど、すべて学ぶことが出来ました。また、基本的に1つの商品を売って終わりな家具店と対照的に、くり返し買ってもらえる商品の強みを強く感じたといいます。
しかし、仕事がますます楽しくなってきた3年目の冬、父親の一郎さんから「一緒に店をやってほしい」という言葉がきっかけで退職を決意。

「送別会をしてもらった時、『ああ、これが感謝するということなのか』と理解できたんです。本当に素晴らしい会社でした。その日の帰り、駅のホームで泣いたのを覚えています。安定した生活が終わってしまったと。それがものすごく不安でした」

手前に家具店、奥に家具修理工房が併設されている「アメニティーショップアイ」

会社員時代の経験が、新たな展開を生み出す

26歳で長野に戻り、家業である家具店の店長として新たなスタートを切った芳明さん。父親とは異なる視点から「アメニティーショップアイ」の強みを模索し始めるように。

「アメニティーショップアイの周辺には、いくつか大型の家具店があります。当店でしか扱っていないメーカーをはじめ、椅子を中心にしたセレクトをするなど独自のこだわりはありますが、品揃えでは大型店には太刀打ちできない。定期的にくり返し交換が必要な商業バッテリーをヒントに、家具屋でくり返してもらえるものは何だろうか、購入の切り口を広げるにはどうすれば良いのか。店の『気に入ったものを長く使ってほしい』という想いをきちんと実現すること以上に、消費者のニーズはどこにあるのか探求していきました」

その結果、「修理事業の拡大」というあらたなテーマが見えたのです。

旭川(北海道)、飛騨(岐阜)、大川(福岡)などの家具の産地からセレクトした商品を扱う。最近は、姿勢を守る椅子「UPRIGHT」などが人気だ

売るだけの小売業から新たな道筋を得る

アメニティー ショップ アイでは、以前から他の店舗で家具を購入したお客様が、「買った店では修理が出来ないと言われて」と相談される機会がありました。
そこで芳明さんは、高校時代からの友人である北澤高志さんに、「修理事業を一緒にしないか」と相談。北澤さんは昔から手先が器用で、一時期は木工作家になろうと訓練校に通った経験がありました。しかし途中で挫折し、いくつかの職業を経て自営業をしていました。相談を受けた時には迷うことなく、ともに模索し始めていくように。

そして今年4月、アメニティーショップアイに併設した家具修理工房が完成しました。芳明さんの予想以上に反応があり、個人宅だけではなく、宿泊施設や企業などから座面の張り替えなどの依頼が届いています。

「適正に仕事をしたいという想いもあるので、安価や短納期で請けることはありません。それでも、数カ月先まで予約が入っています。家具販売の小売業では先の売上が確実に見込めませんでしたが、修理工房に投資したおかげで安定的な収益が生まれています」

今後は、長野県産材のスギやヒノキを使ったオリジナル家具を作りたいと芳明さんは話します。「東京オリンピックまでに実現できたら……」とのことですが、果たしてどうなるでしょうか。

併設の家具修理工房を任されている、家具リペア職人の北澤高志さん

工房の一角には、修理を待つ椅子がずらり

(2016/06/10掲載)

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会える場所 アメニティー・ショップ・アイ
長野市青木島町大塚1390-1
電話 026-284-4455
ホームページ http://amenityshop-ai.co.jp
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