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No.325

黒谷

さん

(有)黒谷畳商会

全国から依頼が来る
この道40年の畳職人

文・写真 小林隆史

長野で4代続く畳屋

善光寺仁王門から旧北国街道を東に150mほど進み、右に少し入った場所に「黒谷畳商会」はあります。黒谷巌さんは岩石町(がんせきちょう)と呼ばれるこの場所で畳の張り替えや修繕を手がけて、この道40年の畳職人です。

「初代は江戸時代の弘化元年に長野で畳屋を始めたんだ。畳屋として4代続くのはうちくらいだね。長野県内の畳屋で2代3代と続いているところはうちから修業していった人が多いんだ。今では辞めちゃった人も多いけれどね。昔は学校から帰ってくると、機械が一台あって、その周りを囲んで、みんな手作業でござを縫っていたね。従業員も大勢いて、仕事場へ行くと職人さんに『入ってくるんじゃねぇ』ってよく叱られたもんだ」

そう話す黒谷さんは、生まれも育ちも長野市。幼い頃から、先代の背中を見て育ち、20歳のときにこの道に進みました。昔はこの町も問屋街で、お豆腐屋や魚屋、洋品店などたくさんのお店があったといいます。
畳屋として長い歴史を刻み続けてきた黒谷畳商会。昔の職人さんは、ノウハウを丁寧に説明したりしません。「うちにはうちのやり方がある」としか言われず、黒谷さんも代々受け継がれてきた技を目で盗み、職人として成長してきました。長年の鍛錬で身につけた感覚を頼りに、ザクザクと手際よくござの端を切り落としていきます。

畳の大きさに合わせてござを切る。ずっと使い続けている専用の包丁は、仕事前に必ず研ぎ、刃を整えるそう。そうすることで気持ちも整えていく

手を抜かないから仕事が来る

黒谷さんのもとには、長野市内のみならず、東京、新潟、富山など全国各地から依頼が来ます。今も昔も軽トラックを走らせ、全国各地の現場へ出かけていきます。善光寺界隈に広がる古民家を活用した多くのリノベーション物件も、畳の張り替えを黒谷さんが手がけています。

「真面目に一生懸命仕事するから、人から人に伝わっていくんじゃねぇかな。『このくらいでいいや』なんて手抜いた仕事してたらお客に見放されちゃうよね。今では華道の茶室や高齢者の住宅にいくことが多いから、掃除したり、不用品を捨てたりすると喜ばれてね。本業以外にそういうこともやったりね。喜ばれるからね。昔は辞めたいと思ったこともあるよ。大変だし、休みもなくて。でも、自分の仕事のありがたさってわかってくるもんだな」

そう話す黒谷さんの手には、いくつもの傷あとが残り、力強そうな指先は極端に厚く、長年の経験と勘が宿っているかのようです。

仕事場では、年季が入った5台の大型機械が所狭しと並び、ガタゴトと音を立てています。黒谷さんは機械に囲まれるように中央に立ち、順番に畳を切断したり、ござを張ったり、へりをつけたりしています。素手で畳を握り、機械を微調整する時も、ひとつひとつ自分の目で確かめていきます。静かに手を進める黒谷さんのもとへ、数年前に張り替えを依頼したお客さんが直接訪れて来て、ござの張り替えをお願いしていきました。

40年間、いくつもの畳をしつらえてきた職人の手

機械の音や動きを確かめながら、微調整をしていく黒谷さん

現代に合わせた畳

畳の歴史は古く、日本古来のものです。平安時代に貴族や武士の寝具や座具として使われ、ござの厚さやへりの柄には身分によって違いがあり、豊かさを表すものだったそうです。桃山時代から江戸時代にかけて、数寄屋造や茶道が発展し、普及し、町人の家にも使われるようになりました。身分によって使える畳は決まっていましたが、江戸の中期頃からは「畳師」や「畳屋」が活躍するようになり、次第に庶民のものとしても親しまれるようになったそうです。今では、ほとんどの畳は現代の家屋の構造に合わせて、厚みや大きさもバラバラ。それらも現場で確認してからつくることが多いといいます。

先代から受け継がれた古い機械たちも、他の畳屋ではだんだん使われなくなってきているといいます。しかし、黒谷さんは機械の動きをひとつひとつ確認し、歯車に油を差していきます。
「機械の調子が悪い時には、機械にも酒飲ませてやらなくちゃな。機械も俺も頑張らなくちゃな」
そうひとこと言い終えると、また黙々と畳に新しいござを張り替えていきました。

畳の側面。軽い断熱材をワラで挟み、表面のゴザを張り替えられるようになっている。この側面を覆うようにへりを縫う

左から麻糸を通したもの、綿糸を通したもの、横糸がないもの。麻糸を通したものが一番厚みがあり、長持ちする

昔は現場で使っていた持ち運び用の縫製機。幅が短く、機械に入らない畳は、この機械でへりを縫っていく

(2016/06/01掲載)

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会える場所 有限会社 黒谷商会
長野市大字長野岩石町342-2
電話 026-232-5090
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