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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.313

中村

朋彦さん

NPO法人翔和学園 長野翔和学園 統括ディレクター

他人の幸福に貢献する喜びを

文・写真 小林隆史

当たり前の青春時代を送ってもらいたい

子ども一人ひとりの可能性を最大限に伸ばし、生活や学習上の困難を改善または克服していく「特別支援教育」。長野市若里にある長野翔和学園では「人間の生きていく気力を育てる」を理念に、得意なこと不得意なことに大きな差をもつ高校生や18歳以上の若者に対して特別支援教育を行っています。この学校で統括ディレクターを務める中村朋彦さんはこう話します。

「ビジネスマナーも教える。できないことを克服できるようにする。それよりもいじめや不登校など辛い思いをしてきた彼らにとって大切なことは『当たり前の青春を送ってもらうこと』」

長野翔和学園では、毎朝身体をしっかり動かすことから始まります。眼球運動や体幹を鍛える運動をしてから、勉強する姿勢を整えます。特別支援教育では、苦手を底上げすることはもちろん大切です。その上で得意なことを伸ばす教育を『ギフテッド教育』と呼び、さまざまな分野のプロに教わりながら、彼らの可能性を引き出していきます。ゴールがワクワクするものであれば、みんな頑張ります。それは大人も同じです。彼らの姿に大人が勇気をもらうこともあります。

小学校4年から6年間、ドイツで過ごす。大学院時代に翔和学園と出会い、2005年翔和学園に入職。高等部/小中学部/就労移行支援事業所の開設を担当。2014年4月に長野翔和学園の開校に伴い長野へ。現在は東京の自宅と学園生と共に暮らすシェアハウスを行き来している

東京都の調査によれば、特別支援学校を卒業した多くの子どもたちは、社会に出てからそのうちの半数以上が離職しているといわれています。その原因のほとんどが人間関係。

「現在の特別支援教育の中では、どうしても学力やスキルを身につけることが先行してしまう。字を書くのが苦手、文字を目で追えない、相手の気持ちがわからないなどさまざまな苦手さが原因となり、学校生活でたくさん苦い思いをしてきた子どもたち。彼らにとって一番大切なのは『他人の幸せに貢献する喜びを味わうこと』。感謝されて、労われて、仕事をする。誰かの役に立つことに生きがいを感じることで、人間関係を築けるようになります」

母体である東京の翔和学園では卒業生の9割が離職することなく仕事を続けています。これからの特別支援教育が変わろうとしています。

プロの指導のもと、プロジェクションマッピングを制作した学園生や書道のパフォーマンスを披露した学園生がいる。中村さんは「決して仕事にはつながらないかもしれないけれど、人に賞賛されて、自分を認めることができたら、自分で人間関係を築いていける」と話す(写真提供:翔和学園)

人は変われる

幼い頃から教師を目指していた中村さん。しかし、大学時代に神戸連続児童殺傷事件が起き、大きなショックを受け、夢を諦めかけます。事件を起こした少年は、誰にも救うことができないのではないか、という気持ちになったのです。

「ゼミの先生を通じて、被告弁護人の話を聞く機会があり、ショックを受けました。事件を起こした少年は生まれつき残忍な性格だったわけではない、ということです。大学でさまざまな少年犯罪のルポや判例を調査することとなり、調査を進めていく中でわかったことは『どこかで誰かが手を差し伸べていれば、少年たちはそうはならなかった』ということ。勉強ができない、不登校だった、いじめられたその時に、誰かが助けていれば彼らは救われたはずだと知ったのです。教育は変えていかなくてはいけない、と考えていました」

大学卒業後は心理学を学ぶために大学院へ進みました。そして、翔和学園学園長である伊藤寛晃先生と出会います。当時の中村さんにとって、伊藤先生の指導は教科書で学んできたこととは全く違うアプローチであり、驚きを隠せませんでした。仲間に叱咤激励されながら、互いに成長していく姿を目の当たりにしたのです。そして、子どもには可能性があるということをあらためて実感し、教師の道に進むこととなりました。

小田切を拠点に、農作業や露天風呂つくりなど子どもたちが野外体験をする。子どもも大人も地域の方と交流する中で、たくさんの人のあたたかさに触れられる(写真提供:翔和学園)

誰もが「ありがとう」の言葉で生きている

子どもたちを社会に送り出すことは決して簡単なことではありません。彼らの苦手を支援し、得意を伸ばし、可能性を引き出すことは毎日の積み重ねです。

学校生活で辛い思いをしてきた子どもたちには、受け入れられて、認められて、自分の価値を知る経験が必要です。ギフテット教育では、苦手の克服だけではなく、彼らが潜在的に持つ能力の方に焦点を当てます。

ビジネスマナーや就労スキルを身につけることももちろん大切です。けれど、まずは、自分が得意なことを活かして「ありがとう」を言われる経験を積み重ねていくことが、就労に向けた第一歩です。

中村さんはこれからの翔和学園についてこう話します。

「翔和学園がなくてもいい世の中になることが、ある意味私たちの理想です。翔和学園があるということは、どこかで辛い思いをしている子がいるということです。うちは他の学校の立て直しも手掛けていますが、そうした要望があるうちは、まだ世の中が変わったことにはなりません。私も子どもたちや保護者から『ありがとう』を言われるのはとても嬉しいですが、まだこれからです」

彼らの得意をさらに伸ばすには各分野で活躍する人の力が必要と言われています。ここナガラボに登場するすべてのプロフェッショナルが未来の子どもたちの先生としてサポートできたら、きっと長野の教育は新しい輝きを放つことになると中村さんは希望を抱いています。

ギフテッド教育の中で、彼らが続けてきた制作やパフォーマンスを披露する終業発表会。彼らにとっては、自分を披露する大舞台。多くの方に見守られ、彼らが成長する大きな1日となる。3月19日(土)に開催される終業発表会は一般の方も来場できる(写真提供:翔和学園)

長野県社会福祉センター内にある長野翔和学園。この場所から子どもたちの可能性が広がっていく

(2016/03/03掲載)

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会える場所 長野翔和学園
長野市若里7-1-7 長野県社会福祉総合センター 1階
電話 026-219-1127
ホームページ http://www.showa-gakuen.net/

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終業発表会「一翔懸命」
2016年3月19日(土)11時から若里文化ホールにて

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