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No.486

山口

美佐里さん

グルテンフリー専門店「縁 -enishi- sorghum&glutenfree」店長

信州産ソルガムで人と地域と環境にやさしい商品&店づくりを

文・写真 島田 浩美

近年、よく耳にする「グルテンフリー」。小麦や大麦などの穀物に含有されるたんぱく質・グルテンを含まない食品のことで、最近ではアレルギー対策や健康志向の高まりにより、グルテンフリーの食事を好む人が増えています。そんなグルテンフリーの専門店「縁 -enishi- sorghum&glutenfree」(以下「縁 -enishi-」)が2023年4月に長野市若里にオープンしました。実は店長を務める山口美佐里(みさり)さんも、グルテンの摂取による体調不良に悩まされたことがあるのだとか。そんな経験が、商品や店づくりにも生かされています。

小麦粉の代わりにソルガムを使った、ヘルスコンシャスでおいしいパン&焼き菓子

「縁 -enishi-」の大きな特徴が、日本で唯一ともいえる、長野県産ソルガムを材料に取り入れていること。ソルガム(タカキビ)とは世界五大穀物のひとつであるイネ科の雑穀で、栄養価が高いスーパーフードでもあり、長野市では以前から栽培が進められてきました。風味にクセがなく、近年は小麦粉に近いアレルギーフリー食材としても注目を集め、耕作には特別な機械も農薬も不要。山間地でも育つため、休耕地への導入作物になるほか、茎葉は飼料や再生エネルギーとしても有効活用できることから、人と環境にやさしい農作物としても関心が寄せられています。
 
そんなソルガムの魅力を発信する同店を運営するのは、信大ベンチャー認定企業のAKEBONO株式会社。
 
そんなソルガムの魅力を発信する同店を運営するのは、信大ベンチャー認定企業のAKEBONO株式会社。代表の井上 格さんはもともと東京の総合商社で働いていましたが、長男の小麦アレルギーを機に代替食品を探すなかで、妻の実家がある長野市で栽培されているソルガムを知ったと言います。そこで、長野市に移住。ソルガムの普及や発展、県産食材の流通などに努めてきました。
 
AKEBONO株式会社代表の井上 格さん
▲AKEBONO株式会社代表の井上 格さん
 
知れば知るほどソルガムに魅了されていった井上さんは、商品開発にも力を注ぎ、長年の研究の結果、膨化が悪く独特の食感で加工が難しいとされてきたソルガムの製品化に成功。そして、より多くの人にソルガムの魅力を伝え、楽しんでほしいとの思いで「縁 -enishi-」をオープンしました。店内には、県産ソルガムや木島平村産の米粉など、地元産のグルテンフリー食材を使った丸パンやスコーン、焼き菓子などのほか、県産ソルガム粉などの商品も並びます。
 
店内には、県産ソルガムや木島平村産の米粉など、地元産のグルテンフリー食材を使った丸パンやスコーン、焼き菓子などのほか、県産ソルガム粉などの商品も並びます。
 
店内には、県産ソルガムや木島平村産の米粉など、地元産のグルテンフリー食材を使った丸パンやスコーン、焼き菓子などのほか、県産ソルガム粉などの商品も並びます。
 
加工品はいずれも小麦を一切持ち込まない併設の専用工房で作られており、丸パンは28品目アレルゲンフリー、焼きドーナツは3大アレルゲンである小麦と卵、乳製品も不使用。しかしながら驚くほどのもっちり感で、特に丸パンは、試行錯誤を重ねて開発された同店の自信作です。アレルギーやヴィーガンの人はもちろん、そうでない人も健康食品としておいしく楽しめます。
 
加工品はいずれも小麦を一切持ち込まない併設の専用工房で作られており、丸パンは28品目アレルゲンフリー、焼きドーナツは3大アレルゲンである小麦と卵、乳製品も不使用。
 
加工品はいずれも小麦を一切持ち込まない併設の専用工房で作られており、丸パンと焼きドーナツは3大アレルゲンである小麦と卵、乳製品も不使用。
 
一方で、スコーンやクッキーは卵や乳製品を使用。ソルガム独特のサクサク感とホロッとした食感があって豊かな味わいです。
 
スコーンは卵や乳製品を使用しているが、ヴィーガン対応の商品も揃う
▲スコーンは卵や乳製品を使用しているが、ヴィーガン対応の商品も揃う
 
店長の山口さんも、こうした商品開発から店の内装提案まで手がけてきました。プチプチとしたソルガムの実を加えて作った甘さ控えめのあんことバターを丸パンでサンドした独特の食感の「あんバター」や、小布施町で環境保全型農業に取り組む「くりのみ園」の平飼い鶏の自然卵を使った「くりのみ園さんのタマゴとマヨネーズ」サンドなどの人気商品は、山口さんが考案したものです。
 
「商品は完全に小麦、卵、乳を不使用にするのではなく、丸パンはアレルギー28品目不使用でアレルギーの子どもでも食べられるようにし、スコーンは卵と乳を使うことで焼き菓子のおいしさを高め、お客さまが選べる選択肢を増やすように心がけました」
 
「商品は完全に小麦、卵、乳を不使用にするのではなく、丸パンはアレルギー28品目不使用でアレルギーの子どもでも食べられるようにし、スコーンは卵と乳を使うことで焼き菓子のおいしさを高め、お客さまが選べる選択肢を増やすように心がけました」
 
このように、随所に山口さんのアイデアが生きています。
 

体調不良を機に人生観に変化が生まれ、心のままに大阪へ

山口さんは千曲市出身。高校卒業後、上田市の企業で会社員として働いていましたが、25歳の頃、突然高熱が続き、体調不良に陥りました。食事もできなくなり、起き上がれない状態に。ひどい肌荒れにも悩まされましたが、病院で調べても原因不明で、3ヵ月ほど苦しんだと言います。ようやく落ち着いて食事が取れるようになると、食べることができる幸せを実感したとともに、痛感したのが食生活を見直す必要性でした。
 
「もともとパンが好きで、毎週、新しいパン屋さん巡りを楽しんでいましたが、高熱の原因を自分なりに調べていくと、グルテン不耐症や、腸漏れといわれるリーキーガット症候群など、小麦のリスクについて書かれた記事が目につくようになりました。自分にも思い当たる節があると感じたのです」
 
「もともとパンが好きで、毎週、新しいパン屋さん巡りを楽しんでいましたが、高熱の原因を自分なりに調べていくと、グルテン不耐症や、腸漏れといわれるリーキーガット症候群など、小麦のリスクについて書かれた記事が目につくようになりました。自分にも思い当たる節があると感じたのです」
 
以前から胃腸が弱く、食べる速度が遅くて消化不良になりやすい体質を自覚していた山口さん。実際、体調不良の原因は腸の粘膜に穴が空いて細菌などが血中に漏れ、全身に回ってしまうリーキーガット症候群だったそうで、その起因として挙げられるひとつがグルテンの摂取でした。しかし、好きなパンが食べられなくなるのはつらい。そこで、なんとか食べる方法はないかと探して辿り着いたのが、米粉を使ったグルテンフリーのパンでした。
 
好きなパンが食べられなくなるのはつらい。そこで、なんとか食べる方法はないかと探して辿り着いたのが、米粉を使ったグルテンフリーのパンでした。
 
そこから独学で勉強し、自分でも米粉のパンなどを作るように。同時に「大好きな地元とグルテンフリーを掛け合わせた活動がしたい」と考えるようになった頃、SNSを介して知り合ったのが、大阪で自分の夢を叶えて活躍している人物でした。
 
「体調不良がきっかけで自分の考え方も環境も出会う人も一気に変わり、やりたいことをやらないと人生がもったいないと思うようになりました。そんななかで知り合ったその人は、やりたいことをやってすごくキラキラしていて、純粋に『私もこうなりたい』と思ったんです。自分を変えたい、それなら環境から変えようと思い立ち、大阪への移住を決めました」
 
「体調不良がきっかけで自分の考え方も環境も出会う人も一気に変わり、やりたいことをやらないと人生がもったいないと思うようになりました。そんななかで知り合ったその人は、やりたいことをやってすごくキラキラしていて、純粋に『私もこうなりたい』と思ったんです。自分を変えたい、それなら環境から変えようと思い立ち、大阪への移住を決めました」
 
これまで長野県外で暮らしたことがなかった山口さんですが、知り合いもいない大阪へ、仕事も決めないまま移住。無謀ともいえるような挑戦ですが、それほどまでに「自分を変えたい」と思う気持ちが強かったことが伺えます。
 
2年間と決めて暮らしはじめた大阪では、米粉を使った料理を学べる教室に通いながら、グルテンフリーのカフェで勤務。調理や接客で働く傍ら、自作の米粉の食パンやマフィンなども販売しました。
 
「大阪では視野も人との関わり方の幅も広がり、友だちも増え、恵まれた環境で人間的にも成長できました。濃厚な日々でした」
 
パン作りも、米粉以外にさまざまな素材に目を向けるようになり、見つけたのが長野県産のソルガムです。販売元のAKEBONO株式会社に問い合わせ、ソルガムを取り寄せてパンの材料に使ってみると、米粉とは違う食感に驚いたそう。
 
パン作りも、米粉以外にさまざまな素材に目を向けるようになり、見つけたのが長野県産のソルガムです。販売元のAKEBONO株式会社に問い合わせ、ソルガムを取り寄せてパンの材料に使ってみると、米粉とは違う食感に驚いたそう。こうして同社とやりとりを重ねるうちに、話に挙がったのが、グルテンフリー専門店のオープンと店長の募集でした。
 
「グルテンフリーと地元食材との掛け合わせは、私がまさにやりたかったことでした。向いている方向性が一緒だと感じ、ぜひ力になりたいと思って、自分から店長をやりたいと名乗り出ました」
 
大阪の友人たちの後押しにも勇気をもらい、店長の採用が決定。長野での新たな仕事人生がはじまりました。
 

人との縁を大切に、長野県産ソルガムの魅力を広く発信

AKEBONO株式会社が店づくりにおいて大切にしていたのは、ソルガムを全面に押し出しすぎず、グルテンフリー食材のひとつとしてソルガムを取り入れることで、その価値を高めるような店にすること。内装デザインもスタイリッシュで上品な雰囲気を重視しました。グレーと木にこだわった和モダンテイストは山口さんのアイデア。もともと和が好きなことと、大阪時代にさまざまな店を巡って惹かれたカフェを参考にしています。
 
内装デザインもスタイリッシュで上品な雰囲気を重視しました。グレーと木にこだわった和モダンテイストは山口さんのアイデア。もともと和が好きなことと、大阪時代にさまざまな店を巡って惹かれたカフェを参考にしています。
 
「縁 -enishi-」という店名もまた、山口さんの思いが反映されたもの。
 
「大阪で人との出会いの大切さを感じ、相手があってこその自分だと実感しました。そこでこの店も、人とのつながりを大事に、そのご縁からさまざまなきっかけが生まれる場所になったらいいなという願いを込めて『縁(えにし)』としました」
 
「大阪で人との出会いの大切さを感じ、相手があってこその自分だと実感しました。そこでこの店も、人とのつながりを大事に、そのご縁からさまざまなきっかけが生まれる場所になったらいいなという願いを込めて『縁(えにし)』としました」
 
商品ラインアップも、普段からよく食べられているパンや、おやつとして親しまれているスコーン、ドーナツなど、手に取りやすいものが中心。よりソルガムを身近に感じてもらえるように考えました。
 
「ソルガム自体が人にも地域にも環境にもやさしい雑穀なので、その循環も感じてもらえるよう、製造にはできるだけ添加物を使わないようにしています。オイルも酸化しづらいココナッツオイルを使い、塩は天然塩のゲランド塩を使用。砂糖も精製された白砂糖ではなくきび砂糖を使うなど、シンプルで体への負担が少ない材料を使用し、素材にはこだわっています」
 
「ソルガム自体が人にも地域にも環境にもやさしい雑穀なので、その循環も感じてもらえるよう、製造にはできるだけ添加物を使わないようにしています。オイルも酸化しづらいココナッツオイルを使い、塩は天然塩のゲランド塩を使用。砂糖も精製された白砂糖ではなくきび砂糖を使うなど、シンプルで体への負担が少ない材料を使用し、素材にはこだわっています」
 
こうした商品開発と同時に、店舗立ち上げに向けてクラウドファンディングも開始。すると2週間で目標額を達成し、最終的に237%の達成率でプロジェクトが成立しました。ソルガムやグルテンフリーへの注目度と期待の高さを感じたと言います。
 
初めての店づくりは開店直前までバタバタだったそうですが、実際にオープンすると、その反響にも驚いたとか。
 
「『実はアレルギーで…』というお客さまも多く、特にアレルギーを持つ子どもが多いと感じました。そのなかで『おいしかったから、また来ました』『ここの商品なら食べられます』というリピーターも少しずつ増えてきて、うれしいですし、ありがたいですね」
 
「『実はアレルギーで…』というお客さまも多く、特にアレルギーを持つ子どもが多いと感じました。そのなかで『おいしかったから、また来ました』『ここの商品なら食べられます』というリピーターも少しずつ増えてきて、うれしいですし、ありがたいですね」
 
そうした接客を通して大切にしているのは、やはり山口さん自身が体調不良で悩んだ経験です。
 
「あの経験があったからこそ私が伝えられることもあり、同じように苦しむ人の話を聞くこともできます。いろいろな方々との出会いがやりがいになっていますし、『おいしい』という声が届くのは、やはりうれしいですね」
 
現在は店の認知度を広めるために、さまざまなイベントにも積極的に出店。先日は上田市で出店し、「東信での出店はうれしい」「また来てほしい」という声も多く聞かれたそう。はるばる佐久市から購入に来た人がいたり、その後、長野市の「縁 -enishi-」までリピート購入に来た人もいたそうです。また、アレルギーだけでなく、ソルガムはポリフェノールや食物繊維が豊富なので、健康や美容に興味・関心が高い人の利用も。さらに、実は100%グルテンフリーの専門店は少ないことから「こういう店を待っていた」という声も少なくないと山口さんは話します。
 
「今後はアンテナショップ的な位置づけでもある『縁 -enishi-』を拠点に、さらにイベント出店や商品開発、通販にも力を入れ、ソルガムの魅力を多くの人に届けていきたいです」
 
「今後はアンテナショップ的な位置づけでもある『縁 -enishi-』を拠点に、さらにイベント出店や商品開発、通販にも力を入れ、ソルガムの魅力を多くの人に届けていきたいです」
 
今はソルガムティーの開発を進めているのだとか。まだまだ進化を続けていく「縁 -enishi-」と山口さん。その活躍に、今後も目が離せません。
 

(2023/06/05掲載)

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会える場所 縁 -enishi- sorghum&glutenfree
長野市若里2-1-23
電話 026-466-6610
ホームページ https://enishi-sorghum.com/

営業時間:水・金曜14:00〜19:00、土・日曜、祝日10:00〜15:00
定休日:月・火・木曜

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