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No.216

芳川

順一さん

善光寺回向柱寄進建立会 会長/長野商工会議所松代支部 支部長

善光寺と松代の縁を重んじ
街をあげて寄進する

文・写真 Rumiko Miyairi

選定された杉への思い

「回向柱に触れると、善光寺御本尊に触れるのと同じくらい結縁されると信じられてきました。ですから、善光寺御開帳の期間中は、是非多くの人に来てもらって回向柱に触れてほしいと願っています」

こう話すのは、長野市松代の善光寺回向柱寄進建立会会長、芳川順一さん。

善光寺回向柱寄進建立会は約60人のメンバーからなり、善光寺の本堂前に立てる回向柱を奉納するための準備に数年前から関わります。メンバーは、松代地区全体の人からの浄財集めを行います。そして、回向柱にする木の選定や、製材して一本の角柱にするまでを一手に担います。

回向柱として製材された杉は、樹齢がおよそ230年。この見事な年輪が由緒ある松代の歴史を物語っている

木の選定はおよそ2年前から始まるという芳川さん。

「回向柱は、長さが10メートル、太さが45センチ角の角材ですから、直径は1メートルぐらいある原木じゃないと作れません。なので樹齢は200年から300年はないとね。松代じゅう時間を掛けて探しますが、今は、山などにはそんな太い木がなかなか無いんです。ですから最近は、神社の境内にあるものなどもお願いしています」

今年は松代西条の中村神社境内にある杉が選ばれました。樹齢およそ220年から230年になるというこの杉は、神社の境内で威風堂々と真っ直ぐに伸びていました。

そして2014年7月、宮司さんや大勢の地元の人たちが見守る中、斧入れの儀が執り行われました。

「松代の皆さんは、善光寺さんの有難さを知っています。この杉の木は昔から松代で育ちました。そう思うと感慨深いものですね。でも、だからこそ松代の街をあげて誇りをもって送り出す、という気持ちでいっぱいです」

芳川さんは、大木に対する思いをかみしめます。

「正直、寂しいところもありますが、この木が回向柱となり大勢の人が触ってくれるんです。そして、阿弥陀様の御神徳を与える、かなめになるのですから大変ありがたいことだと思っています」

2014年7月に行われた杉の鍬入れ式で鍬を入れる芳川さん [写真協力・善光寺回向柱寄進建立会]

今も続く善光寺と松代の縁

善光寺御開帳の回向柱は、毎回松代から奉納されていますが、なぜ松代なのでしょう。善光寺回向柱寄進建立会ではそんな疑問に答えようと「松代と善光寺の由来」を文章にまとめています。

それによると「善光寺御本堂は長野に初めて建立されてから十数回の火災に遭って焼失しています。善光寺の今の本堂(金堂)は、徳川幕府が松代藩3代藩主、真田幸道候に再建を命じ再建に着手し1707年に落成したもの」とありました。

芳川さんは、かつての善光寺と松代藩のこんな縁があったことから、毎回回向柱にする大木を今でも松代から奉納していると説明します。「松代だからできることとして、今、深い感謝の気持ちがある」と日頃の思いも込めて話します。

「回向柱は、善光寺さんと松代藩のこんな縁故があって、毎回ここから寄進されているんです。これは、松代の習慣の一つとして今、一大イベントになりました。こんな素晴らしいゆかりと深い歴史が刻まれている松代に生まれ育って嬉しいです。しかも、真田十万石のまちとして栄え、いわずと知れた名将も多いですし、佐久間象山先生も尊敬しています。そんな、立派な先輩たちも生きた地ですからね」

芳川さんは、大学卒業後も松代で暮らし町工場を経営してきました。長い間、松代をみつめ続けている芳川さんだからこそ、この善光寺との縁に感謝をしていつまでも大事にしていきたいと感じています。

回向柱の使用木離材を使った「善光寺回向柱曳行行列角柱ペンダント」にも善光寺と松代の由縁をまとめた。3月29日の奉納行列に参加する善男善女に進呈する

今年、街がこれからも活発になってほしいと願って新しい試みを考えました。

「善光寺さんから頂いた回向柱の離材を使って、名刺サイズの薄い木札を作りました。この木札は、回向柱と同じような存在ですから『幸せのおすそ分け』という名にしました。善光寺御開帳の期間中、松代の商店会で買い物などをしていただいた方に差し上げるイベントをやろうと思っています。これで松代に来て下さった方にも善光寺のご縁をありがたく感じてもらいたいですね」

善光寺回向柱建立会と長野商工会議所松代支部が協力して行うこのイベントは、初めてのことです。

芳川さんによると、昔の御開帳は出開帳ともいわれ、多いときは2年に一度行う時もあったという人がいたほど、長野の経済の活性化につながる大きな機会として期待されていたといいます。

「昔からの善光寺のご縁は、松代の誇れる伝統です。それをこれからまちをあげて守っていきます」

大木に魂が入るとき

2015年2月15日。その日、肌にさわる風が冷たく綿のような雪が舞う朝になりました。そんな天候にも関わらず、松代の真田宝物館の向かいにある旧樋口家には地元の人や多くの報道陣が集まりました。

製材を済ませて、かねてからそこに保管していた回向柱になる大木に魂をいれる式が始まるからです。

式典には芳川さんをはじめとして善光寺御開帳奉賛会と中村神社、そして回向柱寄進建立会のメンバーも参加し見守ります。

大木に向かって作られた祭壇には様々な供え物が捧げられ、善光寺住職のお経が上げられました。そして、とどこおりなくお浄め式が執り行われました。

「今までは単に角材でしたが、今日これをもって回向柱に生まれ変わりました」

神妙な面持ちで式に臨んだ芳川さんは、報道陣からの取材にそう応えて安堵の表情をしました。それは、まるで我が子を大事に育ててきた親のような温かいまなざしでした。

松代の地で幾重にも年輪を刻み、晴れて回向柱となった大木が今月3月29日、公募で集まった善男善女が引き手となり、松代城から善光寺に奉納されます。松代の街は前日祭を行い、翌日の街を練り歩く奉納行列に向けて気合を入れます。

保管されていた松代の町内にある旧樋口家で、大木に魂を入れるお浄め式が厳かに執り行われた

「松代は来年、大河ドラマでも取り上げられるので全国からも注目されていて嬉しいですね。小さなまちですが一度来てみて下さい。物凄く魅力が詰まっていますから」

ニコニコとしてそう話す芳川さんは、心から松代を愛し松代に誇りを持っているに違いありません。

この素晴らしい歴史と、そうそうたる先人たちが生きたこの松代から、今年の善光寺御開帳のかなめとなる回向柱が、いよいよ奉納されます。

真剣な面持ちで取材に応じる芳川さん。「今年も自信をもって奉納させてもらいます」と胸を張る

(2015/03/19掲載)

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会える場所 善光寺前立本尊御開帳 回向柱寄進建立会
長野市松代町松代1361 長野商工会議所松代支所内
電話 026-278-2534
ホームページ http://www.matsushiro-year.jp/

FAX 026-278-2554

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