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No.347

高澤

千明さん

ながのボランティア・市民活動支援ネットワーク 副会長

難しく考えず、シンプルに
手を差し伸べることが第一歩

文・写真 合津幸

皆さんは「ボランティア」にどんなイメージを抱いているでしょうか。そもそも、ボランティアとは、何をどんな風にどんな想いで行うことを指すのでしょうか。人によってさまざまな考え方があるとは思います。その一例をご紹介するという意味で、長年ボランティアを続けている高澤千明さんに、活動への想い等を尋ねました。

「ボランティア」の考え方

ながのボランティア・市民活動支援ネットワークで副会長を務める高澤千明さん。会社員時代、勤務する企業の社会貢献活動のひとつとして企画したイベントをきっかけに、初めてボランティア活動に触れ、その後企業人としても高澤さん個人でもさまざまな活動を主導・実践されてきました。

一方、若い頃からの趣味である山登りは、年齢を重ねて少しずつ山への相対し方は変わってきたものの、今も時間を見付けては一人または奥様や仲間と共にあちこちの山に出掛けているそうです。

退職後に結成した同好会「山楽会」での山行も大きな楽しみのひとつで、その仲間とは山や自然をテーマとするボランティア活動も行っています。

「山楽会の仲間をはじめ、私がボランティア活動を通じて出会った人たちは、自分のことよりも周りの幸せや喜び、笑顔を第一に考えます。それが彼ら自身の幸せや笑顔の源なのでしょう。人によっては自己犠牲と思うようなことでも、彼らは微塵も思っていないようです」

その言葉からは仲間への厚い信頼と尊敬の念が伺えます。では、高澤さんご自身はなぜボランティア活動をしているのでしょう。

「正直、自分でも分かりません。たとえば子どもが目の前で転んだら誰もが手を差し伸べますよね? 助けを求めている人がいたら、何かできることはないかと考えて行動しますよね? ボランティアはその延長線上にあるもの。健常者が普通に何気なくできることが、何らかの事情でできない、当たり前が当たり前ではない。だから手を差し伸べる。その心の動きや行為というのは理屈ではありません」

助けを必要とする人たちにできる範囲で手を差し出す。その時、その方たちの笑顔が見られれば、きっと自分も嬉しいし喜びや笑顔を共有できる。高澤さんの中にあるのは、そんなシンプルな考えなのだとか。

「つまりは、結局は自分のためにやっていることであって、そこまで深くは考えてないってことです(笑)。ボランティアって、そもそもはすごく身近でわかりやすいことだと思います」

皆の笑顔が自分の笑顔になる。それがボランティアをする理由のひとつ。喜びや感動を共有すれば、自然と心も通い合うし絆も生まれることだろう(写真提供:山楽会)

「長野市ボランティアセンター」がある「長野市ふれあい福祉センター」は長野市役所の東側にある。ボランティアセンターの窓口は1階の入口正面にある

人は違うから面白い

高澤さんのボランティア活動は非常に幅広く、それだけ多くの人と関わり、異なる考え方を持つ方々とも手を携えてきたことになります。

「活動において大切にしているのは、NOから発想しないこと。何でもYESから考えています。何かやりたいことがあるのなら、決して初めから『間違っている』とか『できない』とは言わず、アイデアを具現化する方法をどうにか考え出すよう努力します」

その背景にあるのは、人はそれぞれ生きて来た歴史が違っていて、異なる人格を持っているという認識であり、だからこそ自分の価値観を押し付けてはならないという基本的なスタンスです。

「ボランティア仲間も助けを必要とする人たちも、人はそれぞれに違うから面白いんです。だから、その人の良いところを認めることがすごく大切だと思います。それから、子どもたちには自分の足で歩いて達成感を味わってほしいと思っています。大人が必要以上に手を出さず、親切の押し売りにならないように心掛けています」

また、活動時は表舞台で踊り脚光を浴びる役は若い仲間たちに担ってもらい、高澤さん自身は舞台を創る裏方に徹するよう意識しているそうです。

そんな高澤さんも、昔は障害のある方を目の前にすると行動するより前に頭で考え過ぎたり人の目を気にし過ぎたりして、結局のところ何もできずにいたそうです。ところが、娘さんの看護学校の卒業式で目にしたあるシーンにより、高澤さんの心持ちが一変します。

「娘が障害のある車椅子の女の子と普通に笑顔で話していたんです。今とは違って、その頃の私にとっては非常に衝撃的な光景でした。同時にすごく感動したというか、目から鱗が落ちるというか、そんな瞬間でした。彼らの姿には、障害があるというだけで特別視したり、自分が何かしてあげなきゃいけないという思い込みで一方的に構えたりせず、対等な立場で素のまま向き合えばいいのだと教えられました。今振り返ると、あの日を境に変わった気がします」

「山楽会」やシニア大学の仲間とともに障害者施設を訪問した際、木の実や枝を使った木工クラフトづくり体験の説明をする高澤さん。この日はバーベキューも楽しんだ

子どもたちの木工クラフト作品。「子どもは発想がとっても豊か。危ないからやってはダメではなく、できるように大人が工夫してちょっと手助けすればいい」と高澤さん

なぜ山に惹かれるのか

ところで、高澤さんは長年山登りを続けていらっしゃいますが、そもそもなぜ山に登るようになったのでしょうか。

「初めて山に登ったのは小学校の時、親戚のお兄さんに飯縄山に連れて行ってもらいました。家からいつも見上げていた山頂に立ち、自分が住む街を一望した時の充実感と達成感は大きかったですね。それが原点であるような気がします」

では、県内外の数多くの山々を歩いてきた高澤さんだからこそ感じる山登りの魅力とは?

「他のスポーツと違い、山登りには競う相手がいません。争うのは自分自身。誰かとパーティーを組んでも、争うのではなくサポートし合う。そうした他のスポーツとは異なる、人間味のあるところが好きなのかもしれません。百瀬新太郎の『山を想えば人恋し、人を想えば山恋し』に、すべてが表現されているように思います」

ちなみに、長年続けられきて、山の楽しみ方に変化があったとか。それは具体的にどのようなことなのでしょう。

「若い頃は山の頂を求め、人が避けるルートや危険な所も好んで行っていました。でも今は山の怖さを知っているがゆえに冒険はしません。余裕のある安全で楽しい山登りを心掛けています。それから、昔は『里山は“山”ではない』と思っていましたが、里山には里山の良さがあると知った今は、秋から冬にかけて好んで登るようになりましたね」

では、ボランティア活動でも山や自然をテーマに掲げる意図とは?

「うーん…意図ですか。困ったなぁ、特別ないもんなぁ…(苦笑)。それも私がボランティアをやる理由と同じで、深く考えたことはないんですよ。自分が美しいと思った景色を他の人にも見せたい、気持ちのよいと思う場所に連れていってあげたい。それだけのことです。いえ、むしろ皆さんと一緒に行くことを理由に、私が大好きな自然と触れ合う機会を与えてもらっているのかもしれません。楽しい時間を皆さんに分けてもらっている、そんな感覚なのだと思います」

何が正解なのか、どうあるべきか。答えを求めるのではなく、心や体が向くままに。

なぜ山に登るのか? という問いに対してイギリスの登山家が残した名言「そこに山があるから」のように、理屈や理由ありきではなく、もっと本能的で至極シンプルで十分。ボランティア活動も山登りも生き方そのものも、決して必要以上に難しく考える必要などない、と教えていただいた気がします。

気の合う仲間が集う「山楽会」での山登りは、一人の時とはまた違った楽しさがあるのだとか。身近な低山から北アルプスなどの名峰にも出掛けている(写真提供:山楽会)

長野市は身近に自然があふれていて、子どもたちや海外からの学生たちを連れ出す先に事欠かない。この日は飯綱高原「小天狗の森」のアスレチックに皆大はしゃぎだった (写真提供:山楽会)

(2016/11/09掲載)

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