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No.016

中澤

雄介さん

ピザ店「TIKU-」(チクー)店主

強い思いをもって
厳選した素材を味わえる絶品ピザ店

文・写真 Takashi Anzai

最初にTIKU-のピザを食べたときのことをどう表現したらよいか悩みました。
味覚を通り越して、感動の域に達しているとでもいいましょうか。
撮影に付き添った編集部新津くんは感嘆の声を上げたあと「僕の中でピッツァの歴史が変わりました」とつぶやきました。
大げさかどうかは、読者の皆様にも是非ご賞味いただいてご判断ください。

ピザはシンプルな食べ物です。使う素材や調味料の数もそれほど多くはありません。だからこそ素材の選び方次第で全く別の食べ物になります。ごまかしが利きません。

TIKU-を経営する中澤雄介さんは、まだまだ自分の調理は完成の域に達していないと謙遜する一方で、強い思い入れをもって選んだ素材の確かさには胸を張ります。

「作ってくださった方の思いを感じるような食材ばかりですから」
中でもチーズには格別な思いがあります。
TIKU-のチーズは、岡山県は吉田牧場のもの。その確かな品質が知られている一方で、数量が限られているため、一流レストランのシェフでも入手困難と言われている逸品です。

窓から外が見えるのが気に入ったという厨房

中澤さんは仙台での7年間の修業時代、このチーズを使い続けていました。
修業先の師匠が、吉田牧場が駆け出しのころから使っていたことから、中澤さんもこのチーズを使って仕事ができたそうです。

「この味にするためにどれだけ汗を流しているんだろうと、作り手の強い思いが感じられるチーズです。しみじみおいしいんですよね」

独立するにあたって、やはりどうしても吉田牧場のチーズが使いたかった中澤さん。吉田牧場に手紙を出します。

「ずっと大切に使ってきました。ここでも同じように、ピザを通して吉田さんの思いを感じていただけるような仕事をしていきたい、というような内容でした」

そして、中澤さんの思いは通じます。

「おそらく、吉田さんは僕の師匠がどのようにチーズを使っているということを知っていたので、そこで育った人間であれば大丈夫だろうと感じてくれたのだろうと思います」

チーズ一つにこれだけの強い思い入れを抱く中澤さんですから、若いころからピザ一筋なのだろうという印象を受けましたが、聞いてみるとその人生は紆余曲折の連続でした。映像関係の専門学校から、調理師学校を経て、フレンチレストランに就職。しかし、挫折を味わい、介護の仕事へ。

そして、その頃、のちの師匠となる香坂富公(とみお)さんの記事を雑誌で読みます。

予約しないとなかなか食べられない絶品ピザ。写真は一番人気のマルゲリータ

「一枚のピザに自分の思い、生産者の思いを込めて、そして食べていただく方を思って仕事をしているんだということが伝わって、色んな思いがワーッと込みあげてきてしまいました」

すぐに手紙を書いて、会ってもらえるようお願いをしたといいます。熱意は通じます。香坂さんのお店は、当時、中澤さんが住んでいた長野市から遠く離れた仙台市にありましたが、中澤さんは即決して香坂さんのお店で働くことになります。

そこでの7年の修業が、中澤さん曰く「プラプラしていた」人生を一変させます。

「朝から深夜まで働いていると、どうしても思いが揺らいで、楽な方へ楽な方へ行こうとしてしまって。くじけそうになると、香坂さんが『中澤君はこれまでそうしてきたんだから、ここでやり遂げなければダメだ』と言われて、ホントそうだな、頑張ろうと思いました」

「今でも覚えているのは、トマト一つ、お皿一枚洗うときにも、疲れていてちょっと手を抜いてしまうと、師匠は必ずそういうのを見ていて、『触るな』と叱られる。僕は裏で泣いてから、もう一度やらせてくださいとお願いしていました(笑)。でも、厳しかったんですが、理不尽さを感じることは一度もなかったですね」

郷里で独立することを目標にしていたものの、もう少し修業しようと考えていた中澤さんですが、2011年東日本大震災で被災します。未曾有の災害の中で強く思ったのは、遠く離れた家族のことでした。そして師匠の言葉が背中を押します。

「それぞれの人生どうするか心静かにして考えてみてくれ、と言ってくれました」

そうして長野市へ戻った中澤さん。約1年間の準備期間を経て、2012年3月11日、震災からちょうど1年後にTIKU-をオープンさせました。

中澤さん自ら大工さんの手伝いをして完成させた店内

店の場所は善光寺門前の表通りから一本東へ入ります。駐車場もないため、当初は多くの人にロケーションが悪いと反対されたといいます。しかし、中澤さんの気持ちは揺るぎませんでした。

「窓から外が見えて、ここでピザを作っている姿が浮かんだんですよね。それと、ちゃんとしたものをつくればお客さんも来てもらえるだろうという思いがありました。もちろん、色んな方の支えがあったからですし、実際経営するということは未だに大変なんですけれども(笑)」

予約でいっぱいになってしまう人気店でありながら、すべてに納得がいくピザは何千枚に1枚しか出来ないという中澤さん。

「ピザは生き物なので、生地やチーズも毎回状態が違います。そこが難しくもあり、面白くもあり、苦しくもあり、嬉しくもあり。大きくぶれやすいものを少しでもぶれないように、TIKU-のピザにしていかなければなりません。イタリアでは50年やっている職人さんでも一生勉強だと言っているくらいですから」

味への追究はストイックですが、お客さんへの思いは柔和な性格が表れています。

「入ってきた人の顔を見て、その人のためのピザを作っています。だから顔が見えないと困るんです(笑)」

なるほど、TIKU-はオープンキッチンで、薪釜でピザを焼く中澤さんから店内が一望できるようになっています。

「お子様連れからおじいちゃんおばあちゃんまで安心してきてくれるような、ここに来て、あたたかい気持ちになっていただけたらいいな、という思いでいます。来てくださった方の気持ちをあたたかくするお店でありたいです」

常連客や地元の顔見知りが通ると窓の向こうから手を振ってくれる

(2014/05/26掲載)

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会える場所 ピザ店「TIKU-」(チクー)
長野市東町200
電話 026-235-9890
ホームページ http://tiku.naganoblog.jp/

Facebookページ https://www.facebook.com/pages/TIKU-/433090040151266

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