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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.017

永井千大さん/石坂晃大さん/

米山学さん/德武利弥さん

吉田高等学校戸隠分校そば部

甲子園で打ったのは
ホームランでもヒットでもない戸隠のそば!

文・写真 Yuuki Niitsu

「宣誓、私たちが今この舞台に立てるのは、多くの方の応援や支えがあるからです。
皆さんに感謝します。ありがとうございます。霧にも霜にも負けない、そばのたくましさを胸に、やさしく、力強い、おいしいそばを打つため、自分を信じ、仲間を信じ、全力で打ち込むことをここに誓います」

今年4月2日に東京ビックサイトで行われた全国高校生そば打ち選手権大会での選手宣誓。
このセリフを読んだのが長野吉田高等学校戸隠分校そば部の部員です。

長野吉田高等学校戸隠分校は標高1040メートルに位置する日本一高いところにある昼間定時制の普通科高校です。現在、男子22名、女子11名の生徒が大自然の中で生き生きと学んでいます。ここに日本でその数は僅か、信州では唯一の”そば部”が存在します。

団体戦に臨むそば部のメンバー。82.4点という高得点を叩きだす。

「毎週金曜日に、総合的な学習の時間の中で地元の文化や特産品について学ぶ授業をしています。戸隠流忍術、戸隠太鼓、竹細工など地元の文化を学ぶことで地域に溶け込むのが目的で始まりました。その中で、戸隠を代表する”そば”を授業に取り入れてみました。そばの種まきから始まり、刈取り、天日干し、脱穀、製粉、そば打ち、そして食べる。生産から消費までの工程を全て体験することが出来ました。そんな貴重な体験をする中で、たまたま”そば打ち甲子園”なるものがあるということを知りました。これはチャンスだと思い、どうせなら大会に向けて部活動として本格的に始めようと考えたんです」

と設立の経緯を話してくれたのは、そば部顧問の丸山淳一先生です。

大自然に身を置く戸隠分校。ここで全校33名の生徒が学ぶ

「やるからには大会に向けて勝ちに行く。中途半端な気持ちは許さない。信州戸隠のそばを大舞台で全国に発信することで生徒に自信をつけさせたい」

この熱く燃えあがる聖火を初めに受け取ったのが現在のそば部部長、永井千大君です。

「彼の調理実習における抜群の手先の器用さと手際の良さから初めに声を掛けました」

とスカウトの理由を丸山先生は教えてくれました。
その永井君は「大舞台に出ることで勇気をつけたい」と入部を志願。
他のクラスメイトにも声を掛け五人の精鋭たちがそば部の門を叩きました。

こうして昨年の12月にそば部が発足します。

講師には地元のそば職人の方の協力を頂き毎週指導を仰ぎます。部活動は授業とは違い、大会へ向けての特訓のため、時間制限や見た目の美しさ、衛生面などが審査対象になるため、厳しい練習が続きます。そのため、途中でやめようと思った部員もいたそうです。しかし、初めに丸山先生と交わした「やるからには中途半端は許さない」という契りを胸に、叱咤激励されながらも、そば打ち大会に向け勇往邁進します。

「水の量の調整や、そばを切る幅が難しかった」

授業とは違う大会へ向けての”そば作り”の難しさを肌で感じたという永井君。
こうして今年4月2日、地元のそば職人に鍛え上げられた5名の精鋭たちが”信州戸隠そば”の看板を背負い”全国高校生そば打ち選手権大会(そば打ち甲子園)”に出場しました。

出場校は北海道から鹿児島までの13校が参加し、手際の良さや出来上がりの美しさを競い合います。試合は団体戦と個人戦があり、いずれも審査項目は「準備」、手打ちの技術面である「水回し」、「こね」、「のし」、「切り」、そして「片付け」までの全てが対象になります。各項目に配点があり100点満点の合計得点で競い合い、点数の高い3校が表彰されます。

団体戦の結果は、82.4点と初出場としては高得点を出しますが、惜しくも入賞には至りませんでした。しかし丸山先生は表彰よりも嬉しかったことがあるといいます。

「この試合には制限時間があって40分を過ぎると、かなり減点されるんです。今まで、うちのチームは練習で一度も40分を切れなかったのですが、本番では団体、個人とも全て時間内に出来たんです。これが何より嬉しかったですね」

こうして彼らの甲子園は終わりました、この大舞台を経験したことで部長の永井君は

「自分に自信がついた」
と胸を張って答えてくれました。隣に座る丸山先生の笑みがこぼれます。
そんな永井君には将来、戸隠で蕎麦屋を営みたいという夢が生まれたそうです。

「悩みを抱える生徒が多い中、一つのことを成し遂げることで自信をつけて欲しかったんです。大舞台を経験した結果、色々なことに前向きになって、明らかに日常生活で変わってきていますよ。大会では負けたかもしれませんが、自分の弱さには勝った」
と仰る丸山先生の表情は晴れ晴れとしていました。

審査項目は準備から片付けまで全て。70近くある厳しい項目を審査される

現在、永井君を含めた初代そば部の3年生5人のメンバーは新しく入部した後輩たちの指導にあたりながら、そば打ちの段位取得に向けて充実した日々を過ごしています。
「今後は、自分たちの打ったそばを地元のお年寄りに食べていただいたり、”高校生そば屋”のようなものをやってみたい」

と丸山先生は今後の展望を語ります。
取材を終えると、帰り際に5人の後ろ姿を見つめながら丸山先生が、ふと呟きました。

「あいつらは普段から本当に仲が良くて学校が終わっても、なかなか家に帰ろうとしないんですよ。心底、学校が大好きな奴らなんです」

彼らが将来、この地でそば職人としてそばを打つ音が聞ける日が来るかもしれません。
その時一番初めに暖簾をくぐる丸山先生の姿が目に浮かびました。

審査員の前で個人戦に臨む德武さん。母親は現役のそば職人だという

(2014/05/27掲載)

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