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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.109

羽生田

春樹さん

りんご農家

りんご本来の味を引き出す
全国にファンを持つ農家

文・写真 Takashi Anzai

食べれば分かる味の違い

長野市真島町で3代にわたり、りんご農家を営んでいる羽生田家。3代目の羽生田春樹さんは20年以上前から有機栽培に取り組んでいます。

「有機質肥料を使うのは味をよくするためですが、味の違いは数字に出てこないんです。もちろん糖度は高くなりますけど、同じ糖度のりんごを食べても味はまったく違います。コクと甘み、そして酸味と香りが出てきて、りんご本来の味になる。まあ食べれば分かりますよ」

羽生田さんはそう話し胸を張ります。羽生田果樹園のりんごは北海道から沖縄まで全国各地にファンがいます。出荷全体の7割を通信販売による直販が占めるそうです。

「直販は親父の代から口コミで広がっていったんです。きっかけは、転勤や出張が多かった叔父があちこちに配ったこと。そうしたらじわじわと広がっていった。贈った相手から今度は直接、注文が来るという感じでね」

そうした経緯はあるものの、リピーターがついている理由はそれだけではなさそうです。羽生田さんは家業に入ったころから農業を”商売”として意識してきました。

「私が思ったのは、売る人と買う人の信頼関係があればモノは売れるということ。だから、品物を信頼してもらうというより、つくっている人を信頼してもらえるように努力していますね」

今でこそ直販という形態は当たり前になっていますが、羽生田家の直販には2代にわたる長い歴史があります。長年、顧客と向き合ってきた羽生田さんだからこその言葉でしょう。

真島町に約2ha、長野市吉にも約1haのりんご畑を所有する。2か所の畑は高低差があるため作業は3日ほどずれる

自分のために始めた減農薬

羽生田さんが有機栽培とともに20年前から力を入れてきたのが減農薬です。

「農薬を減らした理由は、もともと自分のためなんですよ。散布している本人が農薬を吸うということは本当に危ないんです。こんなことやっていたら早死にしてしまうと思いました。結果的には食べる人を含めて皆さんのためになっているんですけどね。環境保全型農業ということで賞もいただきましたが、環境のためにという考えは後からついてきたんです」

羽生田さんは笑いながらそう話しますが、20年以上前にそうした決断をする人はめずらしく、周囲からは笑われたと振り返ります。それでも強い意志をもって減農薬に取り組みました。

自分のために始めた減農薬ですが、その後は土の状態を考えて試行錯誤を続けています。7、8年前からは、りんごには無害なカブリダニによって有害なダニを駆除する農法を実践しています。

「やっぱり農薬を減らせば環境もよくなるだろうし、畑にいる動物や虫、土の中の微生物をできるだけ殺さない方がいいと思いました。常に模索はしていますよ。でも、一番の目的は味のいいものをつくること。常にそれが前提にあります」

栽培している品種は「ふじ」が約6割。残る4割はドルチェ、つがる、シナノスイートが主

農業の若い担い手を育てる

羽生田さんは20歳のときから1年間、オランダで農業研修を受けました。そこでは、もちろん技術も学びましたが、経営に関する知識の必要性を強く感じたそうです。羽生田さんは帰国してすぐ、経済学を学ぶため短大の夜間部に入学。昼は畑に出て、夜は講義に出るという生活を2年間続けました。

オランダでお世話になった人たちのおかげで今があるという思いもあって、羽生田さんは37年前から国内外の研修生を受け入れています。長い人は2年間、羽生田さんのもとで栽培技術を学び、これまでに50人を超える研修生が羽生田さんのもとから羽ばたいていきました。5年前までは、研修生は羽生田さんの自宅で寝泊りしていたそうです。

しかし、羽生田さんは特別なことをしている意識はないといいます。

「研修生に伝えていることで特別なことはないですね(笑)。もちろん技術は教えるんだけど、技術はどこでも学べますから。しいて言えば、他人の家のメシを食うことはいいことだとは思っています。よその家で1年とか暮らすわけです。あいさつとか箸の持ち方とか洗濯もののたたみ方とか、生活に関することは女房が教えるんですけど、それは本人のためになるでしょうね」

羽生田さんはさもなさそうにそう話しますが、この春も1人の研修生が独立、現在研修中の富山から来た青年は、2年後に羽生田果樹園の近くで独立することを目指しています。羽生田さんのもとでは今も確実に若い農業人が育っています。

これまで委託製造でジュースやシードルも販売してきた羽生田さん。2014年9月には会社を設立し、本格的にドライフルーツの製造販売を手掛けていこうとしています。「これから大変だよ、売らなきゃいけないからね」という言葉とは裏腹に、羽生田さんの表情は輝いていました。

直販が多いだけあって、選別などをする作業所もかなり大きい。さらに来年はドライフルーツの加工所も建設する

(2014/10/07掲載)

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