No.470
傳田
直樹さん
株式会社ロッドアイランド代表
上質なカーライフで人生をもっと豊かに。ユーザーに合う最適な1台を提案
文・写真 島田浩美(文)、大井川茂兵衛(写真)
車社会の長野市において、自家用車は必須アイテムです。だからこそ「本当に乗りたいクルマを我慢してしまうのはもったいない」と話すのが、こだわりの自動車販売を手がける「ロッドアイランド」の傳田直樹さん。自動車メーカーの正規ディーラーで、長年、長野県内トップセールスをキープし、2021年に夢だった独立開業を果たしました。
積み重ねた経験からユーザーニーズを把握し、安心と信頼を提供
高速道路・長野IC近くの住宅街の一角にオープンした「ロッドアイランド」。ロゴマークが掲げられた建物は、一見、カフェや美容室のようで、いわゆる“まちの自動車屋”のイメージとは一線を画します。
中に入ると、目に飛び込んできたのは人気車のBMWやポルシェ。とはいえ、すっきりとシンプルな店内もまたギャラリーのようで、自動車販売店とは思えません。
「実際に『何屋ですか? カフェですか?』と入ってきた方もいらっしゃいました。型にはまらない店づくりをしたかったので、狙い通りになってよかったなと思っています」
こう話すのが代表の傳田直樹さん。世界的に知られる自動車メーカーの正規ディーラーで18年間働き、県内トップセールスを誇った確かな審美眼を軸に、輸入車、国産車を問わず、中古車や新車の販売、買取のほか、修理や板金、車検など、自動車販売業を手がけています。強みは、従業員を雇わず身ひとつで経営しているため、ユーザーと濃厚な接客ができること。
「多くの自動車販売店は幅広い車種を扱っている分、特色がなくなりがちで、在庫が増えるほど場所もスタッフも必要になるので、店のカラーがバラけてしまいます。当社では在庫は極力持たず、メインカーは3〜4台に抑え、お客様から趣味などの話を伺いながら、暮らしを豊かにするオプションとしてのクルマを探し出して提案します」
それはファッションに近い感覚なのだとか。洋服が着る人の個性や感性、流行などを表現するように、クルマも乗り手のおしゃれやパーソナリティを表すツールとして提案していくのです。お気に入りの衣装が自信や気持ちを高めてくれるように、自動車もユーザーの気分を高揚させるものと捉えてほしいと傳田さんは話します。
販売はインターネットが中心。そのため、大切なのは売れる工夫をすることです。中古車は長年の経験で培った“目利き”で価値と本質を見極め、品質評価点数の高いもののみを仕入れます。さらに、そのクルマを信頼のおける提携業者に依頼し、新車に近い仕上がりまで磨き上げるのです。外装のみならず、シートやハンドル回り、足回りといった内装、タイヤ回りの細部までチェックは怠りません。それがユーザーとの信用につながっていくと傳田さんは話します。
▲店内はカジュアルに来店できる雰囲気で、女性客も入りやすい清潔感も大切にしています
独自のスタイルで営業トップへ。独立開業でさらなる挑戦を
傳田さんは長野市出身。3歳からスキーを始め、大回転競技を経てフリースタイルに転向するなど、本格的にスキー活動に励みました。高校時代には音楽に目覚め、千葉県の大学に進学後、結成したバンドが好調に。スノーボードのスロープスタイル競技大会で楽曲が採用されたことで人気に拍車がかかり、プロダクションとマネジメント契約を果たして、ライブで全国を回るようになりました。しかし、解散となり、長野市に帰郷。ひとまず次の音楽への“つなぎ”として、カーディーラーに就職しました。
「解散のショックが大きすぎて、集中のしどころがなくなって就職したので、当初はちゃんと働く気もなく、すぐに辞めて音楽に転向しようと思っていました。クルマにも営業職にもあまり興味がなく、音楽重視で働いていましたが、社内外でトップセールスの人たちと出会ううちに刺激を受け、次第に『ディーラー内で県内1位の営業になる』という明確な目標がもてるようになったんです」
もともとスキーや音楽のほか、バイクも好きで、趣味を突き詰めるタイプの傳田さん。そうした話の広がりから接客で相手の心をつかみ、売上が伸びると、頑張りが給与に還元される営業職の面白さにのめり込んでいきました。30歳を迎える頃には県内2〜3位の売上に。そして、35歳でとうとうトップの地位に登りつめたのです。
「クルマを販売する面白さというより、人と話すことが好き、人に興味があることが結果につながりました。それに、商品を安売りするとお客様との関係も安上がりになってしまうとわかり、正当な金額をいただくことで、お互いに緊張感がもてる良好な人間関係が築けるようになったことも大きかったですね」
結果的に長い付き合いの顧客が増え、さらに口コミで人の縁が広がったそう。商談の際はお互いの生活や趣味の話に共感し合うことで、最終的にクルマの購入につながっているといいます。車種はユーザーが決めても「色は傳田さんに任せるよ」といわれることも少なくなかったとか。一方で、オイル交換などは整備スタッフに任せていたのも、顧客と気兼ねなく長く付き合えるポイントでした。
「おかげでお客様が修理で気軽に来店できましたし、私自身も残業することなく、趣味や家族を大事にすることができました」
こうした働きやすい環境を自らつくりあげた一方で、20代後半から独立を考えていたといいます。
「ガソリン車はあと10年もすればなくなるともいわれていますので、ある程度会社で結果を残したら、ブランドの枠を取り払って自分の力で一発勝負をかけたいと思っていました」
また、35歳を過ぎた頃から店長を経てエリアマネージャーも務めるようになりましたが、管理職の仕事よりも顧客と直接ふれあう接客業務が好きだったことも独立への後押しになったといいます。こうして退職と開業を決意。トップセーラーとして会社から引き止められもしましたが、決心はブレることなく、2021年夏に起業して「ロッドアイランド」を設立しました。
高品質のクルマの提案で暮らしを豊かにするライフプランナーに
現在の傳田さんのこだわりは、「質がよいクルマは世の中にたくさんある」と伝えていくことです。
「現実的に考えると、家族の形態や収入に応じたクルマに乗っている人が多いと思います。でも、本当に乗りたいクルマに乗っている人はどのくらいいるかと考えた時に、まだまだ自分が欲しているクルマに出合えていない人が多いのではないでしょうか。もちろん、維持費や貯蓄を考えることも大切ですが、輸入車、国産車を問わず、もっと質がよい中古車が多くあることをたくさんの人に知ってもらいたいと思っています」
加えて「もっと長野の自然に目を向けてもらう取り組みも展開していきたい」と傳田さん。
「長野は道路も整備されていて、県外の人からうらやましがられるほどよい環境だからこそ、クルマを使ってもっと遊べる状況を提案できたらと考えています。たとえば“山に行くためのクルマ”というと贅沢に聞こえるかもしれませんが、それによってお客様の生活や気持ちが豊かになることは、暮らすうえで大切なことですよね」
長野IC近くに出店したのも、県外ユーザーを見込み、もっと長野の魅力を案内したいという思いから。
「実家では農業もやっているので、その立地も生かし、10年後はゲストハウスなども開業して、お客様2〜3組によるオーナーズクラブに長野の自然を楽しんでもらえる場を提供できたらと考えています。特にコロナ禍の現在は、クルマを土台にプライベート化した場で自然と向き合った遊びを楽しんでもらえたらいいですね」
さらに、納車の際には長野県産の米や酒など、地場産品のプレゼントにも力を入れていく予定だそう。こうした流れから、将来的には“自動車屋”というジャンルを超え、クルマという遊び道具を提案する“ライフプランナー”になりたいと話します。
「趣味性を求めるクルマの購入は、お金も勇気も家族への説得も必要ですが、お客様の気持ちに少しでも寄り添って力になれたら。そのためにも今は種まきの時期と捉え、焦ることなく少しずつお客様と信頼関係を築いていくことがめざす姿です」
実は日本自動車輸入組合(JAIA)の統計によると、長引くコロナ禍により、消費が抑制されて旅行などにかかる出費がなくなった分、富裕層を中心にクルマの購入にお金を回す人が増えているのだとか。とはいえ、自動車業界、特に中古車販売は非常に厳しい世界。変化の激しい時代にあえてその業界に参入した傳田さんは、独自のスタンスで顧客のライフスタイルや感性に即したとっておきの1台を見つけ出し、潤いのある人生をサポートしていきます。
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会える場所 | 株式会社ロッドアイランド 長野市稲里町下氷鉋1053-10 電話 026-274-5087 ホームページ https://www.rod-island.com/ |
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