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No.260

河島

さん

桃農家/河島農園

恵まれた土地で
先人が築いたブランドを守る

文・写真 安斎高志

出荷最盛期を迎えた川中島白桃

東西南北とも山々との距離があり、善光寺平の広さを感じられる、長野市川中島町。ここで川中島白桃をはじめ、米や野菜を栽培している河島努さんは今年3月、58歳で勤めていた農協を辞め、兼業から専業農家となりました。

毎年お盆前後が川中島白桃の出荷の最盛期。汗びっしょりになりながら、河島さんは農業は楽しいと笑顔を見せます。

「作物は種を撒けば、実がなるんだよ。子どもも育ててみたし、会社には後輩もいたが、人はなかなかうまくいかない(笑)。作物は違うよ。自分が努力すれば、必ず成るよ。木は文句言わないしね(笑)」

河島さんが管理する農地は90アール。近年は、桃や米など旧来から栽培していた作物に加え、ネクタリンや玉ねぎなど新しいチャレンジもしています。

今年の出荷は例年より1週間ほど早いという。シャキッとした歯ごたえが自慢の川中島白桃

恵まれた環境で農業を営むということ

河島家は川中島町に代々続く農家。ただ、菩提寺にあった家系図が火災で燃えてしまったため、何代目かはわからないとのこと。河島さんは26歳のとき、当家に入ったお婿さんです。自身は中山間地の農家の生まれ。斜面が多く、決して農業には有利な土地ではありませんでした。

「ここ(川中島町)は、平地が広がっているし、土地は肥沃だし、水利も整備されていて、恵まれているよね。農家の生まれとしては、憧れはあったよ」

義両親は元々、桃やりんごを育てていましたが、次第にキノコ栽培に力を入れていき、河島さんが農協に勤めながら果樹を担当するようになりました。

「最初はわからないことだらけだったよ。一番は、剪定。どれを切って、どれを残したらいいかまったくわからなかった」

義両親から細かいことを言われたことはなかったと振り返る河島さん。自分の性格を考えるとそれがよかったと笑います。徐々に近隣の遊休農地を借りていき、栽培総面積を増やしていきました。

奥さんの、すが子さんと。ふたりで農園を切り盛りしてきた

除草剤を使わないため、今年から合鴨農法を採りいれた。40羽が元気に泳ぎ回る

健全な食べ物は、健全な土から

河島さんは近年、化学肥料や除草剤を出来るだけ使わないようにしています。

水田には40羽ものカモが泳ぎ、水草をついばんでいました。今年から合鴨農法を始めたのです。その様子を眺める河島さんの表情はうれしそうです。

「健全な食べ物をつくるのは、健全な土ですよ。やっぱり安全、安心だと胸を張って言えるものをつくりたいよね」

河島さんは農協に39年勤めただけあって、地域全体の農業について思うところもあるようです。

「後継者が少ないから、集約して効率のいい産地になっていくしかないと思う。川中島はせっかくブランドあるし、先輩たちが築いたものがたくさんあるんだから、伝承していかないといけないね」

帰りがけに持たせてくださった桃は、とてもみずみずしくて甘く、長野市民であることを誇らしく思えるくらいのおいしさでした。夏のこの時期、わずかな期間しか楽しめない川中島白桃。是非お求めください。

インタビューの最中にも、収穫したてのあかつきと川中島白鳳を出してくれた

(2015/08/10掲載)

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会える場所 河島農園
長野市川中島町御厨1189
電話 026-283-0271
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