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No.085

西田靖さん

視己子さん

にしだ きよし みきこ

鬼無里地域おこし協力隊

鬼無里初!かかしコンテスト!

文・写真 Yuuki Niitsu

鬼無里地区初の試み

2014年8月26日。残暑と呼ぶには程遠いほど涼しく、さらに終日雨が降り注ぐなか、長野市鬼無里で少し変わったイベントが行われました。

「春に田植えのイベントをやったのですが、その時に秋にも何かやりたいなと思い、どうせならここにある資源を活かしたものをやろうと思ったんです。それで、『かかしコンテスト』を企画しました」
と話すのは、今年4月から鬼無里に地域おこし協力隊として赴任してきた西田靖さんです。

西田さんはご夫婦で愛知県より移住してきました。
「もともと温泉好きだったので温泉天国の信州は大好きでした。それで妻と参加した移住フェアで、直感で鬼無里に決めました」
と移住した経緯を話してくれました。

西田さんや地域の方が中心となり行われた「かかしコンテスト」は今年が初開催ということで、西田さんをはじめ一緒に主催する住民の方はもとより、審査員もかかしを審査するのは初。そんな何から何まで初の試みのため、準備にはかなりの時間と手間を費やしたといいます。

「まず、コンテストの参加者を集めないといけないんですが、これが大変で。エントリーにかかし一体2000円を戴くということもあり、なかなか集まらなくて」
こう話す西田さんですが自身が企画した、かかしコンテストを成功させるため自ら率先して動きます。

「戸隠から、中条、七二会、北長池など長野市の各地域に回って実際に田んぼに立っているかかしを探しまくりました。中条で交渉した時は、『ここは一番スズメが出るから、今持っていかれたら困るわ』と門前払い。それはそうですよね(笑)」

こうして日夜田んぼを駆け回り、執念で14体のかかしを集めることに成功します。
その中には御自身や以前ナガラボでご紹介した鬼無里地域おこし協力隊の木下恵美子さんも、かかしを自ら作りエントリーしたそうです。

以前ナガラボで紹介した鬼無里地域おこし協力隊木下恵美子さんの作品。果たして結果は?

初の試みが生み出す一体感

審査は、鬼無里地区の支所長、公民館長、観光協会長、地方事務所長などを含めた8名を審査員として行われました。
基本的に審査基準は個人の主観に任せるとのことで、それぞれが0点から10点の間で点数を付けていき、鬼無里大賞1名、優秀賞2名、アイデア賞3名を選出します。

「かかしを作ったことはあるけど、審査なんかしたことないから難しい」
という審査員の方々でしたが、時折みんなでかかしをじっと見つめながら真剣に話し合い、時には笑い声が飛び交う光景を見て

「このイベントは参加者だけではなく、住民や審査員も全員で作り上げながら楽しめるイベント。こういうのをやりたかったんです」
と満面の笑みを浮かべる西田さん。
また「このかかしが鬼無里の新しい観光資源になって欲しい」と願ってやみません。

雨が降り注ぐなか始まったかかしコンテスト。14体ものかかしが集まった

審査員もかかしを審査するのは初めてという状況の中、30分ものあいだ熱心に話し合う。

食文化を伝えたい

奥さまの視己子さんは移住したきっかけに鬼無里の食文化を挙げます。

「昔は雪がたくさん降り積もると外部との交通が遮断されてしまったこの地域だからこそ受け継がれた『乾燥野菜』。そして地元の食材を使った箱膳料理。こういう先人たちの知恵から生み出された貴重な食文化を伝えていきたいんです」

かかしコンテスト終了後には視己子さんや住民が中心となり、審査員をはじめ、報道陣に郷土料理を振る舞い、皆が一つの輪になって机を囲み鬼無里を味わいました。

「田んぼというキャンバスに面白いもの(かかし)がある。それを観光資源にして、さらには訪れた方に地元の食文化を伝えたい」
と西田さん夫婦は二人三脚で鬼無里を継承していこうと考えています。

今後は、てるてる坊主コンテストや雪を使ったイベントを考えているという西田さん。
かかしコンテストの表彰式は、11月3日を予定しているそうです。

田んぼにじっと立つかかし達に降り注いでいた大量の雨は、彼らのうれし涙だったのかもしれません。

西田さんご夫婦。郷土料理の前で満面の笑みを見せてくれました

審査員が、「雨の中ご苦労様です」とスタッフだと思い挨拶してしまったほどリアルな作品。栄えある大賞に選ばれた

(2014/09/01掲載)

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会える場所 鬼無里支所
長野市鬼無里日影2750-1
電話 026-256-2211
ホームページ http://www.odeyarekinasa.jp/
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