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No.025

木下

恵美子さん

鬼無里地区地域おこし協力隊

鬼無里(きなさ)に来なさ~い!

文・写真 Yuuki Niitsu

鬼女伝説や木曽義仲に因む伝承を残す鬼無里地区。
その昔、京から移り住んだ女性が「鬼女」と怖れられ、やがて退治されたことから「鬼がいなくなった」→「鬼無里(きなさ)」という地名になったともいわれています。また、ミズバショウの大群生のある奥裾花自然園が有名です。

しかし、そんな伝説と自然を兼ね備えた鬼無里は、近年は人口が減少傾向をたどり、高齢化が進んでいます。 ここに今年4月より、鬼無里地区の活性化のために愛知県より「地域おこし協力隊」として3名の開拓者がやってきました。そのうちの1名が木下恵美子さんです。

「もともと地域おこしの仕事や田舎暮らしには興味があって、たまに募集をチェックしていたのですが、なかなか一歩を踏み出す勇気がなくて」

地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化などの進行が著しい地方において、都市住民を受け入れ地域おこし協力隊として委嘱し、一定期間、農林漁業、観光、住民の生活支援などの分野において地域協力活動に従事しながら、その地域への定住を図る事業です。
一歩を踏み出すきっかけとなったのは、今年の1月に名古屋で行われた合同説明会だったそうです。

「長野市の採用担当の方は、すごく親切で移住した後のことも親身になって相談に乗ってくれました。それで、自分の中で不安がなくなったというか、やってみようという気持ちになりました。それに、学生の頃に長野県には春スキーでよく来ていて、自然が豊かなところには魅かれていました」

こうして縁あって、4月より鬼無里に長野市の地域おこし協力隊として赴任しました。

「まだ移住して2週間なんですが、朝と夜の寒さにはびっくりしました。でも、ここの人たちはすごく穏やかで温かいんです」

現在長野市の地域おこし協力隊は9名いて、鬼無里地区以外に、篠ノ井信里地区、戸隠地区、大岡地区に分かれて活動しています。その中で鬼無里地区だけは、自分で仕事を探して活動をしていく自主性が重んじられているそうです。木下さんは現在、他2名の隊員と共に鬼無里の各地区を見学しながら、地域のためになる仕事を模索している最中です。

「奥裾花自然園にはすごく行きたいと思っていたので、そこで自然に関わる活動をしたいと思っていました。でも、先日の土砂崩れでしばらくは休園ということになり、急きょ鬼無里の地域振興部の方たちから、目玉になる観光スポットの案内図作りの依頼を受け、協力隊の3人で案内図作りに取り組んでいる最中なんですよ。」

赴任して早々、大忙しの日々を送る木下さんですが、その目は充実感に満ち溢れていました。そんな木下さんが最近見つけたというおすすめスポットは、鬼無里神社から県道36号線を戸隠方面に上っていくと現れる「大望峠(だいぼうとうげ)」だそうです。

「ここからは戸隠連峰が見えるんですよ。すごく真近に見ることが出来て都会では味わえない感動があります。晴天で運が良ければ北アルプスだって見えるんですよ!一番いい時間帯は朝の5時頃です。是非行ってみてください!」

木下さんおすすめの大望峠。目の前には戸隠連邦が望める

移住して2週間には思えないほど鬼無里に対する愛着と熱意を感じさせてくれる木下さん。続けて、もう一つのおすすめスポット「ふるさと資料館」の話になると木下さんのテンションは最高潮を迎えます。

「屋台が出るお祭りに魅かれるんですよ。ふるさと資料館には江戸時代から明治時代にかけて作られた屋台があるんですけど、一木彫り(いちぼくぼり)による透かし彫りの龍や唐獅子、牡丹などが屋台の天井や外側に施されているんですよ。しかも、まだ現役で使われている屋台があるそうですよ!」

屋台とは、祭礼の際に引いたり担いだりする出し物のことで、豪華な装飾が施されています。恥ずかしながら屋台を出店のことと勘違いしていた私には、一木彫り?透かし彫り?のことが正直ちんぷんかんぷんでしたが、さらに木下さんが攻めます。

「しかも人の手ですよ。あんなに精巧で緻密な作業を人間が出来るなんて驚きですよ。昔の人の手はすごいですよ。どんな目をしていたんだろう。同じ人間には思えない。すごくないですか!?是非、行ってみてください!」

透かし彫りの龍。上の龍と下の龍がにらみ合っている

木下さんが身振り手振りで懸命に説明してくれればくれるほど、「一木彫り」、「透かし彫り」を知らなかった恥ずかしさがこみ上げてきました。同時に、三日三晩何も口にしなかったライオンのように身体全体が、一木彫りによる透かし彫りの屋台を拝める「ふるさと資料館」を急激に欲してくるのがわかりました。
取材後オフィスにまっすぐ戻る予定だったのですが、このあとそのまま「ふるさと資料館」に足を運んでいました。

私自身、どちらかと言うと疑い深い性格なのですが、木下さんがお話しすると何故か引き込まれ、不思議と行きたくなるんです。このパワーの正体は、一体何なのでしょうか?仮に一つ上げるとすれば、それは少女が遠足で見てきた風景を満面の笑みで母親に伝えるような、ピュアな気持ち。それがあるからこそ、ストレートに物の良さがこちらに伝わってきたのです。
そんな彼女にとって、鬼無里の魅力を見つけて伝えていく今の仕事は、まさに天職といえます。

そして普段はおっとりしている木下さんが、なぜ屋台の話になった途端、燃えるドラゴンのごとく熱くなったのでしょうか?
それには理由があったのです。
実は彼女の故郷の愛知県では毎年、ひな祭りの時期に徳川美術館において「尾張徳川家の雛まつり展」が開催されるのですが、そこに通ううちに細かいものが大好きになったといいます。

「そこに展示されている徳川家のお姫様のお雛様道具に、すごく細かい漆や彫金が精巧に施されているんですよ。同じ人間とは思えないその職人芸には衝撃を受けました。その時から細かいものが大好きになって、毎年行きました。他にも織物や装束、彫刻などとにかく細かいものが大好き。私にとって徳川美術館は何度行ってもわくわくするディズニーランドです」

記者を引き付けるその話力は「精巧フェチ」にも起因するものでした。そんな木下さんにとって長い歴史が色濃く残る鬼無里は、毎日が発見で冒険の日々だといいます。今後は鬼無里の自然を生かした仕事や農業にも挑戦していきたいと準備を進めている様子です。 最後に鬼無里に住んで驚いたことを聞いてみました。

「雪が4月でも残っていることにも驚きましたが、雪が解けた後に家の周りに大量に生えてきた、つくしとふきのとうには驚きましたね。とても食べ切れる量ではないんですよ」

5月3日の鬼無里神社春祭りでは、木下さんの大好きな屋台が氏子たちに曳かれながら町を練り歩くそうです。

「是非、これから色々な行事に参加して住民の方に顔を覚えてもらおうと思います」

彼女の初々しい真っ直ぐな気持ちと、見知らぬ土地を元気にするために移住した勇気ある行動力。
鬼無里でも「精巧」好きな彼女は「成功」すると取材して確信しました。
今後の木下さんの活動に期待したいと思います。

今年5/3の鬼無里神社祭りの様子。屋台が町を練り歩きました

(2014/06/06掲載)

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