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No.414

石川

主真さん

hiyori Cafe 代表

心地よい空間と本場の料理でもてなす 人気店の新オーナーはイタリア帰り

文・写真 池田 みどり

ぱてぃお大門裏の東町に構える「hiyori Cafe」。オープンして10年以上経つhiyori Cafeのことを知っている人も多いかもしれませんが、実は2年前にオーナーが変わりリニューアルされています。現在のオーナーは石川主真さん。石川さんが新たに創っていきたいhiyori Cafeとはどんな場所なのか、お話を伺ってみました。
 

 

▲建物は以前家具屋さんの倉庫をリノベーションしたもの。入り口の赤い扉の横にシャワーがあるのはその名残り
 

美味しい料理とは何か、がむしゃらに求めてきた日々

ランチに利用するOLさんやブレイクタイムを楽しむママさん、1人の時間を楽しんでいるおじいちゃんおばあちゃんに夜1杯だけ飲みにきたというサラリーマンなどhiyori Cafeには様々な方が気兼ねなく訪ねてきます。貸し切りやコース料理にも対応しており、開始時間や金額を相談の上柔軟に対応してくれるところに、お客さんの気持ちに寄り添いたいという石川さんの人柄が感じられます。
 
石川さんは茅野市出身。19歳の時に地元のイタリアンレストランで働き、23歳の時により腕を磨くため、西麻布にあるイタリアンレストランに就職します。シェフはとても厳しく、味にうるさいお客さんも多かったため調理場にはいつも緊張感があったといいます。よく怒られていたという石川さんですが、妥協を許さないシェフの姿からは調理の仕方だけでなく料理との向き合い方も学ぶことができ、ここでの経験が今も料理の礎となっているといいます。
 

▲ランチセットは前菜、メイン、ドルチェ、ドリンクがついて1500円。2時間炒めた玉ねぎや12種類のミネストローネなど丁寧に作り込まれた前菜が嬉しい
 

▲数量限定のラザニアはミートソースとホワイトソースは濃厚で食べごたえ十分。メインは他にもパスタかパニーニが選べる
 

▲本日のドルチェのヨーグルトムースは甘すぎず軽い口当たりなので食後にピッタリ
 

イタリアで感じた背伸びしないレストランの在り方

約2年務めた後、石川さんはイタリアへ飛びます。更なる技術を磨きに遂に本場へ!と思いきや意外な回答が。
 
「実はこの時、飲食業から引退しようと思ってました。西麻布のお店では料理の技術は磨けましたが、人間関係が難しくて。スタッフ皆が料理に対する信念が強いため譲れないことも多く、衝突する毎日に疲弊し辞めることにしたんです。この世界に未練なくしっかり区切りをつけるために、最後に多くの日本人に愛されるイタリア料理の魅力とは何か、本場で自分なりに答えを見つけて終えようと決めたんです」
 
しかしイタリアに行ったことが、また飲食の世界へ石川さんを引き戻します。
 
「トスカーナ モンタルチーノのワイナリーで働いたり、南イタリアのプーリア州で過ごしました。レストランも2箇所経験したのですが、日本の働き方とは全然違って。ブドウやオリーブの収穫時期はそちらを優先し、空いてる時間や繁忙期が過ぎたらレストランを営む。背伸びせず季節に応じた働き方でしたね。裕福な暮らしではなかったけど、皆よく笑うし心も豊か。こんな働き方・生き方もあるのかと新たな価値観の発見でした」
 
鎬を削ってきた東京と「時」に合わせてその場を楽しむイタリア。レストランのやり方はいろんな形があっていいんだと石川さんは気づきます。
 

 

▲石川さんがイタリアで手伝っていたぶどう園。自然に触れていくことで考え方も徐々に変わってきたという。
 

料理だけでなく居心地のよさでお客さんを癒やしていきたい

もう一度自分のやり方でやってみようと、帰国後、ご縁をいただいたhiyori Cafe という場所で新たな挑戦を始めます。
 
「自分が一番やりたいことはお客さんを笑顔にすること。なのでご飯を食べる場所ということだけにこだわらず、読書や友達とおしゃべりをするのを目的に来てもらってもいいと思っています。何か一つでもその人にとって心地よさや幸せを感じてもらえたら。そのきっかけ作りはいろんな形で提供したいなと思っていますが、決して押し付けたりはしません。お店を出るときは来たときよりも心が豊かにそして元気になってほしいですね」
 
hiyori Cafeではコンサートや笛の教室などのイベントも開催しています。これも心が豊かになるきっかけづくりの一つ。石川さんの温かい気持ちやさりげない気遣いはお店や料理に溢れており、だからこそ幅広い年齢層の方に居心地が良いと感じてもらえるのかもしれません。
 

▲内装はほぼ変えてないというが、照明は人の顔がきれいに見えるよう配置し直したという。これも居心地がよい理由の一つかもしれない
 

▲暖炉に使う薪は、知り合いの農園さんから譲ってもらったもの。「一つひとつの縁を大切にするといろんなことに繋がっていくのが楽しい」と石川さんは話す
 

▲石川さんはソムリエの資格も持つ。ワインに詳しくなくても、1杯だけでも気軽に来てほしいという
 

(2019/01/10掲載)

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会える場所 hiyori Cafe
長野市東町131
電話 026-237-6636

営業時間:11:30~
※終了時間は日によって変動あり。詳しくはお問い合わせください。
定休日:不定休

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