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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.067

花谷

英津子さん

TOMATEシェフ

「本物の味を知ってほしい」
ママさんシェフのフランス料理

文・写真 Chieko Iwashima

長野市大岡にある「TOMATE(トマテ)」は、素材と手作りにこだわったフランス料理のレストランです。
初めて訪れる人は、本当にこの先でフレンチが食べられるの?とちょっと不安になるような道のりですが、リピーターの多くは遠く県外からやってきます。足を運ぶだけの価値がある味が待っているからです。

「なんでこんなところでフランス料理なんだっていまだに言われますよ(笑)。でも、フレンチはここって決めてるって言ってくれる東京からのお客さんもいます。群馬の高崎からここで食べるためだけに来た夫婦もいました。保育園の迎えがあるからって、食べてすぐとんぼ帰りされてましたよ」

そう話してくれたのは “ママさんシェフ”の花谷英津子さん。内側からあふれ出るような笑顔が印象的な人です。やはり食べ物が良いからでしょうか。

大岡の完熟トマトの美味しさから店名をつけているほど、地元の野菜に惚れ込んでいる花谷さん。
ランチとディナーの営業以外に、料理教室も開催しています。素材の素晴らしさや、ちょっとひと工夫することでいろんな料理ができるということを伝えようと、これまでに100回以上開催されてきました。

「食べ物に関して保守的な人が多いなぁと思っていて。ちょっと目線を変えるだけで、普段使っている食材も見違えるってことを伝えたいなと思っています」

編集部・岩島も料理教室に実際に参加させてもらいました。
この日は、「豚肉と夏野菜のカレー」がメイン。用意された野菜はすべて地元のものです。

「日本料理は、走り・旬・名残がないといけないと言われています。それを私もフランス料理にも取り入れたいと思っています」と花谷さん

ズッキーニは小さいほうがおいしい。トマトは種が黄色くなるくらい熟成したものがおいしい。豚のバラ肉のブロックは高い位置から塩を振ってしめる。アクはとにかく丁寧に取り除くこと…など、手際よく調理しながら野菜の選び方や調理の大切なポイントを教えてくれます。

「いつものね」と言って用意されたトマトが湯むきされ、何度も参加しているという生徒さんたちも慣れた様子でトマトの中をくりぬきます。聞けば、トマトは毎回必ず湯むきをするんだそう。

「煮込むと皮だけが残って食感が悪いでしょ。料理は丁寧にやればやるほどおいしくなるんですよ」

花谷さんは、食育や食文化の発展に貢献するため、農林水産省の「食育情報リンクネットながの」の会員としても活動しています。モニターとして、「ラタトゥイユのおやき」など枠にとらわれない提案もしてきました。

「食育は、子どもに見せる親の姿が大事なことだと思っているんです。簡単で便利なものもたまにはいいですが、ちゃんと本物も知る必要がある。手間暇かけて料理する姿を見せてほしいですね」

多少時間がかかって面倒なことでも、きちんと出汁(ダシ)から作って、手間暇かけた料理は、きっと作る側の心も豊かにします。そう思うのは、花谷さんの満たされた表情と、いつも見慣れているはずの野菜が花谷さんの手元で生き生きと輝いて見えたからです。私もこんな風に料理する姿を見せられるようになりたいと思いました。

花谷さんは兵庫県出身。1995年の阪神・淡路大震災を期に1996年に大岡に移住しました。

「信州大学に進学した長男のセンター試験が終わった翌日に震災があったんです。震災で職場もダメになって、息子を追いかけるように移住してきました。松本と長野のキャンパス両方に行けると思って中間をとったんですが、それは都会の感覚で、甘かったですね(笑)」

花谷さんが調理師免許を取得したのは大岡に越してきてから。1999年、TOMATEの前身の店「みはらし荘」を手伝うようになり、2002年に以前の経営者から引き継ぎました。当初は、よくある食堂と同じようにそばやカレーライスなどを出していましたが、ある人との出会いが転機となり、フランス料理を提供するようになりました。

TOMATEの料理教室「第108回おいしいものをつくろう会」で作った「豚肉と夏野菜のカレー」と「きゅうりとヨーグルトのスープ風」。野菜がたっぷり!

「49歳で始めたんです。フランス料理なんて、私も結婚式とかでしか食べたことありませんでした。外食っていっても友達と安いランチに行くくらい。師匠が長野にたまたまいらしたときに来店されて、料理を教えていただけるようになったのが始まりで。最初はメニューの一部を変えていって、だんだん本格的になっていったんです」

花谷さんの師匠とは、神戸に住んでいたときに趣味の社会人山岳会で知り合いになった大阪のフレンチ界の重鎮。海外からの国賓や昭和天皇のために腕をふるっていた巨匠です。

「最初は固形のブイヨンとか使っていたんです。でもそれだと師匠の味にならない。それに、レトルトのようなものを出し続けることで一生を終わりたくないと思ったんです。それはそれで否定しないけど、自分の満足感が得られるかどうかっていうと、私は嫌だったんです」

「一番は、自分が一番おいしいものを食べたかったからです(笑)。おいしいと感じさせるものは添加物でも作ることはできます。でも、体にいいもので、おいしいものをつくるにはどうしたらいいか。そこから考えたんです。せっかくこんなにおいしい野菜が食べられるところにいるんだからって」

出来上がった料理はご主人がサーブ。息ぴったりの花谷夫婦。以前は2人とも医療関係の仕事をしていた

その日、市場で一番いいものを使ってメニューを考える花谷さん。だからこそ決まったメニューはなく、ディナーは完全予約制。予約の電話の際に希望を聞き、リピーターの人には同じものを出さないなど、気を配ります。こうして添加物を使わずに、一から十まで全部手作りで料理ができること自体が喜びだといいます。

「今までで一番うまくできたと思った料理を、お客様が食べて、う!おいしい!って顔をする瞬間は最高。本当においしいかどうか、目を見たら分かります」

「こんな山の上まで来ていただくんだから、本物を食べていただきたいんです。もうワンステップ上のおいしいものを作れるようになりたい。一歩でも上に上がりたい、常にそう考えています」

長野市の指定管理施設で宿泊もできる。店内からの北アルプスの展望も最高!

(2014/08/06掲載)

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会える場所 TOMATE
長野市大岡乙274(大岡郵便局の西隣)
電話 026‐266‐2600
ホームページ http://www.grn.janis.or.jp/~tomate/
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