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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.373

宮川

もとみさん

シンガー

うたを通して
地域を盛り上げたい

文・写真 みやがわゆき

日差しに春の兆しを感じられるようになった3月半ばの日曜日。戸隠スキー場のゲレンデ内にあるレストラン「やなぎらん」に、宮川もとみさんの歌声と、ピアニスト上條友理香さんのキーボードの音色が響きました。きらきらとした瞳と、表情豊かな歌声。プロのシンガーではありませんが、彼女が奏でる音楽には、場の雰囲気を和ませ、もっと聴いていたいと思わせるような魅力があります。

3月のゲレンデで

当日は、絶好の春スキー日和。午前中、リハーサルを兼ねて1曲演奏したところ、その美しいハーモニーにつられ、お客さんが集まり始め、もう1曲…。結果として、ランチタイムに予定していた2人の演奏は、予定より1時間以上早く始まり、休憩をはさみながら午後2時半頃まで。準備していた10曲を2周するという大反響でした。

「スキー場にスノーモービルで上るのも、機材を雪上車に乗せて運んだのも 始めての経験でした。お客さんは皆温かかく、やなぎらんのお料理もおいしくて…」

興奮気味に語ったもとみさんは、地元戸隠出身。きらきらとした瞳と、表情豊かな歌声。プロのシンガーではありませんが、彼女が奏でる音楽には、場の雰囲気を和ませ、もっと聴いていたいと思わせるような魅力があります。

「緊張はしないの?」という陳腐な質問に、もとみさんは、「もちろん緊張はするけど、始めからうまく歌おうと思っていないんです。うまく歌おうじゃなくて、演奏を通して、声で、表情で、物語を伝えたいと思っているので、実はライブが始まる前に、全体の流れを考えるときが、一番緊張します」

そう笑顔で切り返しました。

上條さんは、大学のゼミの先輩。同窓会で初めて出会って意気投合し、限られた時間で練習を重ね、ライブが実現した

音楽との出会い

もとみさんが音楽活動を始めたのは、実家を離れ、諏訪東京理科大学に入学した頃。人数合わせのために、軽音楽部に誘われ、ドラムを担当することになりました。高校時代まではバレー部で持ち前の体力とリーダーシップを発揮していたもとみさん。バンドの練習にも積極的に参加し、気が付けば、ドラマーとしての2年間があっという間に過ぎました。

その後、信州大学へ編入。ドラム経験者としてロックバンドサークルから声がかかり、新入生に混ざってメンバーに加わりました。

バンドのメンバーと夜遅くまで練習に明け暮れる日々。バンドでコーラスを担当していたギタリストから、たまたま歌声をほめられ、「この曲を歌ってみてほしい」と教えてもらったのが、ハンバートハンバートの『おなじ話』という曲でした。

「歌は好きだったけど、小声で歌うくらい。それまでは人前で歌うなんて、考えたこともなかった」

そう振り返るもとみさんですが、先輩に教えてもらった歌の世界に、どんどん引き込まれ、練習を積み重ねるうちに、自信もつくようになりました。

そして、ギタリストと一緒にバンドを抜け出し、ギターとボーカルのアコースティックユニットとして、松本のタリーズで演奏をしたのが、もとみさんのシンガーとしての人生の始まりとなりました。

その後、オーディションなども受け、一時は歌手を目指すことも考えました。さまざまな葛藤の末、もとみさんが選んだ道は、大学の専攻でもあった金融機関への就職でした。

「東京でバイトをしながら、音楽を続けたとしても、結局生活に追われて、練習時間は限られてしまう。それなら、時間と人目を気にしないで練習ができる戸隠にいて、音楽を続けよう」

その決意をもとに、もとみさんの音楽への意欲は、ますます高まっていったのです。

お給料の一部を費やし、ボイストレーニングにも通いました。自宅の一室にドラム、ピアノ、音響セット、照明などを整え、手作りの練習スタジオをしつらえ、仕事から帰った後や休みの日のすきま時間には、歌やピアノの練習。ボイストレーニングの効果で、歌のレパートリーは確実に広がり、ライブやイベントなど外で歌う機会も増えました。

「音楽活動を続けていくなかで、仕事はしっかりやらなくちゃと思いますね。大きなミスは許されない仕事ですし、音楽活動を理由に周りに迷惑をかけてはいけないので」

と笑うもとみさん。金融機関での仕事の傍ら、音楽に情熱を注ぐ、原動力は何なのでしょうか?

「父が昔使っていた仕事道具が、今では私の相棒」電源さえあればどこでも演奏できるという音響セットを車に積んでライブへ出かける。お父さんは、もとみさんの第一のファンとしてしばしばライブ会場に現れるそう

別れと出会い

「やっぱり音楽は楽しむもの。楽しんで、“続けること”が目的です。仕事だったり、結婚・出産だったり、いろいろある人生の中で、細くとも長く続けていきたい、それが実は一番難しいことだと感じています。」

「音楽を通して出会った人たちと、これからもつながっていきたいし、明日自分がどうなっているかもわからない、もしかしたらこの人と一緒に演奏できるのは最後かもしれない、そう思うと、悔いのないようにやりたいと思うんです」

熱く語るうちに、涙ぐんできたもとみさん。実は、2年前の初夏、信大時代にもとみさんに音楽を教えてくれ、共にアコースティックライブをしたギタリストの友人が、事故で亡くなったのだと打ち明けてくれました。

大好きだった友人を失って初めて、自分たちをつなげてくれたものは、音楽しかなかった、ということに気づかされた、というもとみさん。友人が教えてくれた音楽をこれからも、続けていきたいという思いが一層強くなりました。

現在は、週末をメインに知人のカフェやカレー屋さんなどで、不定期的に演奏をしているもとみさん。そのときどきに、ユニットを組む相手が違うのも、一期一会の出会いを大切にするもとみさんならでは。

いろいろな人と演奏をする中で、当初は、人の音楽について口出しをすべきではないと凝り固まっていたものの、最近では、意見を出し合う中でよりよい音楽が生まれることがわかり、積極的にアイディアを出せるようになったといいます。

また、今回のスキー場内でのライブのように、地元戸隠での演奏の機会も増えつつあります。きっかけは、2年前、同級生の誘いで地元の若者を中心とした「戸隠夜祭り」の実行委員会に参加したことから。準備などで、地元の人たちと交流するうちに、皆の“地元を盛り上げよう”という思いやアイディアの豊かさに触れ、また新しい扉を開いたもとみさん。昨年10月に行われた第2回の「戸隠夜祭り」では、戸隠神社の中庭で初めてのライブを企画。中学校の合唱コンクール以来の、戸隠での演奏は、とても緊張したけれど、集まった人たちの温かさが心地よかったと振り返ります。

自分が育った戸隠に、恩返しができれば、と語るそのきらきらとした眼差しに、ますます目が離せません。

子ども獅子舞からスタートする「戸隠夜祭り」。竹細工で遊べるゲームコーナーや、地元食材を使った料理など、戸隠オリジナルの企画がいっぱい

もとみさんは、戸隠の四季をイメージしたオリジナル曲『とがくしのいろ』などで会場を盛り上げた

(2017/03/17掲載)

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会える場所 長野市戸隠

電話

E-mail:moko304403◆yahoo.co.jp(◆を@に変えて送信してください)

ライブなどの告知は宮川もとみFACEBOOKに公開

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