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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.372

フリッシュ

ジェイソンさん

使えるねっと株式会社 代表取締役社長CEO

最新クラウドサービスを
長野から世界へ発信!

文・写真 合津幸

長野市南県町に本社を構えるクラウドサービスプロバイダの「使えるねっと株式会社」。今回は、同社創業者であり現代表取締役社長CEOのジェイソン・フリッシュさんを訪ねました。個人事業主としてスタートしてから会社設立までの経緯、事業と長野市の相性、未来への展望と課題、長野市での暮らしについてうかがいました。

何事もまずは自らチャレンジを!

オーストラリアの小さな田舎町に生まれ育ったというジェイソン・フリッシュさん。「使えるねっと株式会社」でCEO(最高経営責任者)を務めるほか、近年は母国・オーストラリアをはじめ、インドネシアの企業との合併や関係企業でCTO(最高技術責任者)を担うなど、活躍の舞台を広げています。

「ひと口にITやクラウドサービスと言っても、技術の進歩やその浸透・普及の度合いは国によってかなり異なります。日本ではすでに確立された技術や知識でも他国ではこれから導入されるものだったりするわけです。当然、求められるサービスの内容も異なります。私は個人事業主として1999年からこの業界に携わっていますので、どんな要望にも応え得る豊かな経験があると自負しています。実績を存分に生かせるマーケットがあるのなら、それを逃す手はありません」

つまり、これからサービスを始めようとしている現地企業とは次元の違うレベルの勝負ができる。しかも、ジェイソンさんは「興味を惹かれたら、何でもまずは自分でチャレンジしないと気が済まないタイプ」なのだとか。その分、自ら語ったように経験も豊かなわけです。

そもそも事業を立ち上げることになったきっかけも、パソコンとインターネットが普及し始めた時分に自らホームページを作ろうと考えたことでした。

「メールやサーバーなどという言葉を耳にするようになり、単純に面白そうだと思いました。そこでまずは『ホームページの作り方を覚えよう』と思い立ったんです。本を参考に思考錯誤しながら取り組むうちに、『ホームページの作り方を紹介するホームページを作ろう』『サーバーを借りなければ』という発想が広がりました」

そうして必要に迫られて調べてみると「レンタルサーバー」には有料のものはあっても無料のものがないことに気づきました。そこで「試しに自分で無料レンタルサーバーを提供してみよう」と始めてみると、1週間で登録希望者が20人を数え、手応えを感じたのでした。

「当時は東京で金融系のIT部門に勤めていて、お給料も良かったし、仕事にもやりがいを感じていました。それでも、いつかは自分で事業をやりたいと思っていたので、しばらくして退社を決断。事業に専念することにしました」

社内を見渡せるフロアの一角にデスクを構えるジェイソンさん。「在社時は大抵自分のデスクに張り付いています(苦笑)。でも時々社内を歩き回って、皆の仕事ぶりを見させてもらったり、雑談を楽しんだりもします」

インドネシアでの事業について、戦略や課題について話し合うCTOとジェイソンさん。「彼には近々現地に渡り、インドネシアチームの技術向上のため、約半年滞在してもらう予定です。長野の会社であっても、こうしてグローバルな仕事はできるんです」

日本からオーストラリア、再び日本へ

1999年から2002年までは個人事業主としてレンタルサーバー事業を展開させるも、思うように業績は伸びませんでした。そのため、当時、日本と比べて物価の安い母国・オーストラリアに戻り、仕切り直しを試みます。

「在宅でできる仕事なので、拠点を変えることに抵抗はありませんでした。当時、日本で大学生をしていた現CTOに手伝ってもらいながら、地道に事業を拡大させました。そのうちに日本国内で光回線が普及し始めると、業界では速さがキーワードとなり、当社には『外国にあるサーバーは接続速度が遅い』といった声が届くようになったんです。そこで妻の故郷である長野市に拠点を移すことにしました」

奥様とはオーストラリアの大学で知り合ってはいたものの、卒業後は何年も会うことはなかったそうです。しかし、26歳の夏に東京で運命の再会を果たすと、ジェイソンさんから猛アタックしたのだとか。

「会社を辞めて事業を始めると言った時は不安だったと思いますが、妻は反対もせず応援してくれました。しかも、日本に戻った当初は実家の建物を使わせてもらうなど、妻のおかげでこの地とのご縁に恵まれました。仕事に追われて週末くらいしか家族の時間が取れずにいますが、妻や息子たちの存在があるからこそ仕事も頑張れます」

2002年の設立から、途中社名変更を含む変化と進化を遂げてきた「使えるねっと株式会社」も今年で15年。その間、ジェイソンさんは必ず短期的なテーマや売上目標を意識してきたそうです。

「夢や最終目標も大事ですが、頑張れば達成できそうな目標だと次に何をすべきかが見えやすく行動にも移しやすい。しかも、そのひとつ一つを達成して自信や経験を得つつ、次はもう少し高いところに目標を定めれば着実にレベルアップが図れます。その繰り返しで人も会社も育ってゆくのでしょうね。同時に、家族が増えるなど人生のステージによって働く目的は変わりますし、事業の拡充や時代の変遷により進むべき道やゴールだって瞬時に変わったりする。そう考えると、目標に向かう強い意志と柔軟なスタンスの両方を身に付けるといいのかな、と思います」

首都圏で開催される展示会にも積極的に出展し、顧客獲得はもちろん他社との情報交換も活発に行っている。写真は「Japan IT Week 秋 2016」の出展ブースの様子(写真提供:使えるねっと株式会社)

こちらも「Japan IT Week 秋 2016」の出展時の一コマ。社員全員がやりがいを感じながら働けるよう、任せられる部分は任せたり、目標や情報の共有を徹底したりと、組織改変と意識改革を進めているのだとか(写真提供:使えるねっと株式会社)

長野市とクラウドサービス

ところで、長野市とジェイソンさんが手掛ける事業との相性はどうなのでしょう。

「今はほとんどの企業が、日々の業務を円滑に効率良く行うための管理システムを導入しています。そこで重要になるのがシステムを動かしたりデータを集約させているサーバーと、そのセキュリティ確保やバックアップ等を一手に担うクラウドサービスです。それらを担うのが当社のようなプロバイダであり、お客様はデータセンターの規模や立地、管理体制やサポート力などを比較検討し、利用するか否かを決断します。当社は自社データセンターを構え、自社回線を利用し、サーバー管理の全工程を自社で実施しています。それらの実現には長野はとても適しているんです」

たとえば、首都圏に本社を構える企業にとって、ある程度距離の離れた地でデータを管理することは震災発生時などを想定した場合、それだけでもリスクヘッジのひとつになります。しかも、長野市は東京から新幹線で約90分という、付かず離れずのちょうど良い距離です。
また、自然豊かな良い環境に広い土地を低い賃料で借りられるため、1000台ものサーバーを収容するスペースも無理なく確保できています。結果、1台のサーバーに無理にユーザーを詰め込むことなく、高品質のサービスを低コストで利用してもらえるのです。

ただし、こうした実績のあるジェイソンさんだからこそ、現在長野市が取り組んでいるICT事業者等の誘致を加速させるためには、課題も見えるようです。

「あくまでも私見ですが、受動的なスタンスの(既存の)事業者が多いように思います。環境や時代に何かを与えてもらうのではなく、自ら発想してイノベーションを起こそうという気概があまり感じられません。新規事業者や若手を呼び込もうと思うのなら、迎える側が活気あるマーケットを長野に作ろう、最先端のサービスを長野から世界に発信しようと考えて動かねば、話しになりませんよね」

感じたことを言葉にするだけなら誰にでもできます。そこは、どんなことでも自らチャレンジしないと気が済まないジェイソンさんです。昨年6月6日、クラウドサービスの浸透と自社の発展を狙い、大きなイベントを仕掛けました。

「『CLOUD 長野 DAYS 2016』と題して、業界を代表する企業からスピーカーを招き、クラウド戦略について講演していただきました。初の試みのため1日限定でしたが、今後は2〜3日の大規模イベントに成長させます。実践を含むセミナーを中心に、参加者同士が自由に交流する時間も設けて、『クラウド』というキーワードで結集した事業者が可能性を広げられる場を長野に創りたいです」

聞けば、国内でもこうした類いのイベントは過去に例がないとのこと。地方都市である長野でだってできる、長野だからこそできる。ジェイソンさんと「使えるねっと株式会社」の試みは、業界はもとより国内外のあらゆるジャンルの先駆者たちに、チャレンジすることの素晴らしさとこの街の可能性の大きさを知らしめてくれるのではないでしょうか。

平日はもっぱら仕事浸けだが、週末は4人の息子さんの部活動などをサポート。各地で行われる大会や練習への送り迎えを奥様と二人で分担して行う。趣味の自転車には昨年ケガを負ってから乗っていないそう。それでも「長野はごく身近に自然があふれているので、ちょっとした時間でも十分にリフレッシュできます。すごく恵まれた環境です」と、笑顔だった

ジェイソンさんもスピーカーとして講演を行った「CLOUD 長野 DAYS 2016」の模様。予想を上回る来場者数に手応えを感じつつも、本来のターゲットであるクラウドサービスの本格導入を検討中の事業者やまったく知識がないという一般参加者は少なく、次回に向けて課題も見つかった。さらにイベントの規模拡大には、スポンサーを含む協力企業を集めることも必須だ(写真提供:使えるねっと株式会社)

(2017/02/27掲載)

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