No.037
小山
真央さん
株式会社ママLife代表
ママの日々を充実させる在宅ワーク
文・写真 Chieko Iwashima
育児中の女性の在宅ワークを仲介する「ママLife」は今年2014年5月に設立されました。
ウェブ制作に関する仕事を中心に請け負うほか、さまざまな在宅ワークを開拓していきます。会員登録は無料。現在は即戦力となってくれる人を募集中で、そういったスキルがない人には技能習得のセミナーを行います。また、会員同士の輪を作り、在宅ワークでありながらも一緒に働く仲間として交流の場を設けていきます。
「お母さんたちは忙しいけれど、まったく時間がないわけじゃないんです。隙間の時間で仕事ができればスキルアップになるし社会とのつながりも感じられます。いざ復職するときにもブランクを感じることもなく、企業側も安心して採用してくれると思います」
そう語る代表の小山真央さんも3歳の息子さんの母親です。
「出産前は子どもが生まれたら専業主婦になろうと思っていたんです。でも、子どものことばかりになってしまうと社会から取り残されてしまったような、ひとりぼっちになってしまったような気がしました」
編集部・岩島にとって子育ては未知の世界のことですが、転職経験はあります。仕事がない期間は社会から必要とされていないような孤独を感じました。仕事をするということは、お金を稼ぐということ以外にも意味を持っていることなのだと思います。それは女性に限らず感じることではないでしょうか。
小山さんは長年接客業に携わってきました。目の前のお客さんのためにベストを尽くすことが楽しかったといいます。
「最後にありがとうって言われることがすごくうれしかったです。それが毎日のことになると、そのありがたみを忘れてしまっていたかもしれません。仕事から離れてみて、あの場に無性に戻りたくなりました。やりがいを感じながら働きたいって思ったんです」
子どもが2歳になったころ、家族の協力を得て以前の職場に復帰しました。
現在も籍を置いているその職場は、子どものいる女性が働きやすい環境づくりに積極的で理解もあります。しかし、子どもの体調が悪くなり保育園からの呼び出しが頻繁になると、時間に拘束されて働くことの難しさを痛感し、職場に対してもいたたまれない思いが募りました。
「こういう思いをしているのって、自分だけじゃないだろうなって。理解ある職場に勤めている私でさえ大変だと感じているのだから、もっと大変な思いをしている人は絶対いるだろうと思いました」
「子育て中に限らず、さまざまな事情で家を空けられない女性に活用してもらいたい」と小山さん(写真:ママLife)
そこで、何か良い道はないものかと調べていくうちに、行きついたのが在宅ワークという働き方でした。
「長野県にはそういった在宅ワークの仲介をするところがなかったので、自分で作ろうと思いました」
会社を設立するといってもどこから手を付けていいのか分かりませんでしたが、幸いにも長野市内でウェブ関連のサービス会社を経営する友人の岡部陽介さんに協力を得ることができました。話を持ちかけた当初、岡部さんには反対されたといいます。
「私がやろうとしていることはお母さんたちが働きやすい”環境”を作ろうとしていることなので、すぐにできることじゃありません。それなりの労力と時間もかかります。時間を短縮してパートで働いている今でも大変なのに、もっと拘束される時間が出てくる可能性があるって反対されました」
しかし小山さんの思いは変わりませんでした。
「たとえば行政とかにお願いしても、きっと男性目線の仕組みが作られてしまうと思ったんです。それが、今の産休・育休が取得しにくい世の中の現状を表しているような気がして。女性の意見を集める場所として設立したいと思いました」
男性上司のもとで営業の仕事をしていたこともある小山さんは、男性社会の中で女性が働く大変さも実感していました。
大町市出身。子どものころから現在も続けている剣道は、県の年代別選手権大会で優勝するほどの腕前(写真:ママLife)
事業の設立は地元の新聞で紹介されたこともあり、多くの反響がありました。在宅ワークを利用した悪徳詐欺のイメージを持っている人も多かったため、体験モニターも計画中。ハローワークなど公的機関からも協力を得ながら会員を募っていきます。
「今、面接をさせていただいているんですが、お話を聞くと私よりずっと大変な思いをされてきたんじゃないかと思う人が多くて、私の悩みなんて小さなものなんだなって思いました。でもその人たちの前向きな姿に励まされて、そこから得られるパワーが大きいです。それもまたやりがいになっています」
子育てをしながら働く苦労も喜びも知る小山さんだからこそ立ち上げられた「ママLife」。家庭も仕事も大切にしながら、自分自身のキャリアも切り開いていける新しい働きかたの選択肢として期待が高まります。
「女性がより住みやすい環境、社会の仕組みを作っていきたいです。一歩前に踏み出したいと思っている人と一緒にがんばりたいです」
女性向けの商品開発への協力業務も請け負う(写真:ママLife)
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