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No.349

中澤

勇人さん

NPO法人ふるさと 事務局長

商店主たちが請け負う冠婚葬祭

文・写真 飯島悠太

商店街の店主ら、立ち上がる

普段は、信州新町商店街にある中澤薬局店主。一方で、葬祭ディレクターの資格をもつ、冠婚葬祭の請負部隊メンバー。それが信州新町地区で活動する『NPO法人ふるさと』の事務局長、中澤勇人さんです。

ふるさとのメンバーは、衣料品店や豆腐店など、同地区商店街の店主を中心に14名。どうして商店街の人たちがこのような活動をされているのでしょうか。

「商店街の活性化がいちばんの目的なんだよね。人口はどんどん減少しているし、新町にいても街中へ勤めに出て、外で買い物や食事をする人も多い。商店街がなくなったら地域がダメになるって思ったんだ」

ことの発端は、商店主の有志で月1回行っていた朝市の会。地元スーパーの駐車場で市を開催したあと、一杯やりながら商店街の行く末についてあれこれ意見を出し合っていました。はじめに目をつけたのは、小中学校の歓迎会など地域のイベント。パーティーに使う商品や料理を請け負い、商店街の店舗で賄うことによって地域内での消費に繋げるようにしました。ここでの経験から、次に葬祭事業へと活動が膨らんでいきます。

NPO法人ふるさとのメンバー。発足時は8人だったが、現在では14人に。信州新町の商店街と冠婚葬祭を守っている

地区内で賄う葬祭

「昔から、このへんの葬儀は自宅や近所の寺で行われてきたんだよね。近所の人たちが集まって、会場の準備とか料理の用意をして。そこで使うものは、ほとんど近くの商店街で買ってたんだ」

しかし、高齢化による人手不足や作法を知っている人の減少、JAの統合で会場が地区外になったことなどにより、業者任せで葬祭が行われるように。新町商店街での消費はほとんどなくなってしまいました。自分たちで葬祭を取り仕切ることにより、食事の仕出し、引き物、生花、菓子、酒などの消費を地元商店街へ取り戻すことに成功。仕入れ金額のうち、地元商店街からのものはなんと100%です。

支援内容は、商品を賄うだけに留まりません。葬祭の運営・進行のために、メンバーは全員葬祭ディレクターの資格を取得。うち2名は1級保持者です。接遇から司会まで、誰がやっても同じ質のサービスを提供できるようになっています。

葬祭の会場には、指定管理者となった水防会館をはじめ、公民館や地域のお寺を利用。また、配膳や洗い物などの応援要員も地元の人材を集めるなど、地域にある資源を活用しています。霊柩車によって病院から自宅までの搬送も行えるようになりました。
現在、地区内の冠婚葬祭の約6割を支援しています。

会場設営の様子。生花など物品の手配等のハード面から、作法などのソフト面まで、冠婚葬祭の運営には様々な心得が必要

冠婚葬祭で地域をつくる

商店街の活性化を目的にはじまったこの取り組み。しかし、それだけではありません。ふるさとの活動は、地域社会の強化、伝統や文化の継承の役割も担っています。

「昔の葬儀は、近所の人たちが指揮を執ってやっていた。だから集落のみんなが顔見知りで、隣にだれがいるかわかる安心感があったんだ。今は、お年寄りのみの家庭も多くて、街に出た息子・娘が戻ってきて喪主をやることも多いんだけど、自宅での葬祭のやり方を知らないんだよね。こうした人たちにこの地域の作法を伝えていくのも、我々の役割かな」

地元の人間であるメンバーが中心となることで、その地区や家庭の事情に合わせた運営サポートも可能に。親族や集落内で作業の担当を決めたり、場に適した年長者へ挨拶や役割を割り振ったりすることもできます。

「祖父母の葬儀で、孫の中高生とかが端っこでケータイいじってたりするじゃない。子どもたちにも、お別れの言葉を言ってもらうとか、式に参加する場を与えたいよね」

故人に近しい人が携わることで、より気持ちのこもった葬儀を実施。また、こうして若者を集落の一員として迎え入れることで、地域社会の強化、次世代への継承を促しています。

そして、地域を作り上げていくには、やはり商店街が基盤。
「誰かを元気にするためには、まず自分たちが元気でいること。信州新町で商店を継続していくこと、商店街がしっかりすることが大事だと思ってる」
という中澤さんの力強さが印象的でした。

地区内の人材を活用して準備を行う。地域ぐるみで葬祭やイベントを行うことで、コミュニティーの強化に繋がっている

(2016/11/29掲載)

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