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No.256

宮尾

光平さん

松紅園 園主

盆栽は、育てる人を映し出す鏡のような存在

文・写真 くぼたかおり

75歳とは思えぬ姿勢と爽やかな笑顔で出迎えてくれた松紅園の宮尾光平さん。整然と美しく並ぶ盆栽は、見る者にさまざまな感情を抱かせてくれます。今回は盆栽の作り手の思考に迫ります。

16歳で社会へ。睡眠を削って誰よりも多く働く

信濃町出身の宮尾光平さんは、16歳で建築業の仕事に就きました。小中学校時代は「学校は友達と遊ぶ場所」程度にしか考えていなかったものの、いざ就職をすると学校教育で勉強をすることの必要性を感じたと言います。

「仕事でもらう書類にも読めない漢字があってさ。頭が使えないなら、どうするか。それは人より何倍も身体を動かして認めてもらうしか無いと考えたんだよ」

誰よりも朝早く出勤し、身を粉にして働き、睡眠時間はわずか2時間という生活を続ける中で限界を感じた宮尾さんは、現在のバスターミナルの場所にかつてあった工業高校の建築関係者向けの教室に週1回通い始めました。そこで教えてくれた先生が熱意のある人だったことから「この先生からもっと勉強を学びたい」と考えるようになりました。先生に相談してみると、「それなら家に来るといい」と快諾。それからというもの仕事を終えてから22時くらいまで毎日勉強する生活を4年間続けました。

その後、宮尾さんは独立をして、現在の松紅園の場所の土地を購入して建築業を始めました。しかし身体を酷使し続けていたことから35歳の時に体調を崩し、人生を見直すようになりました。そして、選んだのが”盆栽”だったのです。

なかには樹齢500年を有する盆栽があり、何百万もする品から初心者でも気軽に購入できる価格帯まで揃う

盆栽は子育てと一緒。何時間でも木と対話し個性を探す

宮尾さんが盆栽に興味を持つようになったのは、建築業をしていた時にお客様が所有されていた盆栽を見たのがきっかけです。小さな鉢に作られた芸術に魅せられて、見よう見まねで身近にある木や植物を植えて、趣味として楽しんでいました。しかし何事も真剣に、追求する性格の宮尾さん。37歳の時に盆栽園の園主として新たなスタートを切りました。

当時は盆栽用の木を求めて北海道まで行き、イチイやエゾムラサキツツジ、エリモシャクナゲなどを見つけては車いっぱいに詰め込んできたそうです。盆栽には種から始めるものから、すでに木と成長したものを育てるなど様々な方法があります。

「盆栽を育てるには基本があって、その先に想像力で美を追い求める技術が必要なんだよ。そのためには子どもを育てるのと同じように、毎日木を見て、どのように成長すると良いのかを見極める。それを技術を持って造作していくんだ」

そのため宮尾さんは対話をするように何時間も木と向き合い、特徴や個性を探し出します。造作する前には黒板に将来の完成イメージを実寸で描いていきます。これだ!と思えるまでは、決して手を入れることはありません。

「最終的に必要なことは、自分に自信を持つことだね」

宮尾さんが造作を加えたばかりの作品。表面を削った木には躍動感がある

育てる人の熱意が、盆栽を美しくする

近年では外国でも盆栽が人気になっています。盆栽への魅力は人それぞれ。宮尾さんはどのように考えているのでしょうか。

「人間は、生きていく中でさまざまな過ちをする。だけど盆栽は、育てる人の熱意によって生きている。その人の熱意が正しければ、間違いはない。そのまっすぐさがいいね」

現在までに宮尾さんは近隣の小学校で1年を通じて盆栽教室をしたり、本気で盆栽を育てたいという人だけに無料で教室を開いています。教室では宮尾さんの軽快なお話のもと、真剣に楽しむことができます。

「最近流行っているからなど、中途半端な気持ちではなく、真剣に技術を習得したいという人に来てほしいね。それと教室に来る人と心ある交流が出来ない人は断ってしまう。盆栽は生き物だから、人との交流が出来ないようではダメなんだよ。だから、真剣に対峙できる人がいい」

宮尾さんの盆栽との向き合い方は、16歳で社会に出て、自身と向き合い、磨き続けて成長してきた宮尾さんの人生そのものです。松紅園の盆栽は、育てる人を映し出す存在だと言えそうです。

「人生も後半になり、培った技術を伝えたいね。教わりたい人は、まずは気軽に来てほしいな」と宮尾さん

(2015/07/28掲載)

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会える場所 松紅園
長野市篠ノ井横田858-6
電話 026-293-1081
ホームページ http://shokouen.com/
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