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No.228

吉澤

さん

食旅☆NAGANO代表

外国人とふれあい
信州の食文化を伝える

文・写真 安斎高志

日本の文化を体験できるように

長野県を訪れる外国人に、信州の食文化や生活文化を紹介するとともに、地元の人たちとふれあう場を提供しているのが「食旅☆NAGANO」です。

これまで、「ジャパンナイト」(のちに「白馬ナイト」に改称)と称して、郷土料理を味わってもらうイベントを開催。2015年2月に10回目を迎えました。「食」を中心としながらも、地元の人たちの力を借りて、茶道や和太鼓、餅つきなど日本の文化も体験できるように工夫しています。

またこの冬、英語と中国語で日本の食文化を伝えるフリーペーパーを発行しました。今後県内の観光地などの情報を同じく英語と中国語で紹介するホームページを作成する計画を立てています。

代表の吉澤茜さんは、そのやりがいをこう語ります。

「一番は外国の方がすごく楽しいと言ってくださることですね。和装体験などは、その時から表情が変わります。非日常に入るみたいな。やっぱり普段できない体験はおもしろいんだと思います。あとは地元の方の理解が得られたとき、そしてつながりが増えていくときは、やっていてよかったと思いますね」

ここ最近は、外国人観光客が多い白馬地区での活動が中心になっていますが、今後は白馬同様、外国人の多い野沢温泉村や大町市、長野市などにも活動の範囲を広げていきたいと意欲を見せます。

2015年の「白馬ナイト」では、多くの外国人が忍者や芸者の体験をして楽しい夜を過ごした

外国語と栄養学、そして広告制作

吉澤さんは京都外国語大学で中国語を専攻。その後、大手アパレル企業に就職し関西地区の店舗に勤務しますが、体調を崩し、長野市へ帰郷。その後、長野県短期大学で栄養学を学び、卒業後に結婚してからは両親が経営する広告制作会社に勤務しています。

「その間、何かしたいという意欲はずっと持っていたんですが、何をすればいいかは見つからなくて。でも、英語と中国語、栄養学を勉強してきたのに、何も生かせていないというのが嫌でした」

そして、勤務する会社のために、役に立ちたいという気持ちも背中を押します。

「私は経理担当で、デザインはできないんですけど、他のことで何かできないかなと思ったときに、最初に考えたのが、中国語の印刷物の仕事が取れるようになりたいということでした。それも今の活動を始めるきっかけの1つでした」

こうした気持ちを、所属するビジネスサークルの仲間に話したところ、さまざまなアドバイスをもらい、「ジャパンナイト」の開催に至ります。

1回目は吉澤さんのほか、友人1人と信州大学の学生2人だけでどうにかこうにか開催にこぎつけました。やがて、回を重ねるうちに仲間が増えていき、現在は20人程度まで膨らんでいます。

基本的に着物で活動する吉澤さんたち。「会場設営などは大変です。男性メンバーがいてくれたらいいですね」と笑う

長寿への興味は世界共通

食旅☆NAGANOの中心となっているのは、吉澤さんと同世代の主婦です。それぞれ仕事を持ち、家庭を切り盛りし、そしてこの活動にも携わり、その生活は多忙をきわめます。その陰には家族の協力があるといいます。

「家族は、何でそんなに一生懸命できるんだろうと不思議がっているんですけど、頑張っている姿を見ているうちに少しずつ応援してくれるようになってきました」

「日本文化の体験が夜にできるところは少ないので、今後もこのような需要はあると考えている」

まだまだ集客の面などで苦戦することは多々あります。

「外国人を積極的に受け入れているところもありますけど、お断りというところも当然あります。そして、外国人はウェルカムでも私たちがよそ者扱いされて、つらい思いをすることもあります」

それでも吉澤さんは胸を張って長野の食文化を紹介していこうと考えています。

「長野の食はヘルシーです。長野県は長寿ナンバーワン。長寿って世界共通で興味がある話題だと思うんです。日本一ということは世界一だと思うんですよね」

食旅☆NAGANOの「活動の目的」には、長野県の魅力を発信することのほかに、「私たち自身が、国際交流を楽しんだり、視野を広げたりして、充実した生活・人生を送れる一助となるようにしたい」と記されています。「体力的には限界なんですけど」と言いながらも明るい笑顔を見せる吉澤さんを見ていると、目的の半分は達成できているような気がするのでした。

外国の方に楽しいと言ってもらえることが一番うれしいと話す

(2015/04/20掲載)

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