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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.162

松田謙さん

松田未末保さん

まつだ けん みまほ

菓子工房クローバー

軽トラ客が集うケーキ屋さん

文・写真 Yuuki Niitsu

地元住民のためのケーキ屋さん

「地元住民に愛されるケーキ屋さんでありたいです。ケーキ屋というとオシャレな女性だけが来るというイメージですが、そうじゃないお店にしたいんです」

ケーキのようにふんわりとした表情で話すのは、戸隠にある菓子工房クローバーの店主、松田謙さんです。
現在、松田さんは奥様の未末保さんと2人でケーキ屋を営んでいます。

「子どもの頃からの夢だったケーキ屋さんを、戸隠で地元住民のためにやりたい」という未末保さんと2003年11月6日にお店をオープンさせ、今年の11月で11年目を迎えました。

「地元住民のために」という思いから、メイン通り「戸隠バードライン」から一本外れた場所にお店を構えました。

「たまたま知り合いの知り合いがこの土地を持っていたんです。メイン通りから外れていますが、そのぶん地元の方がたくさん来てくれます。ケーキ屋に軽トラックが停まっているのっておもしろくないですか?農家のお客さんが15時のお茶の時間のために買いに来てくれるんですよ」

まさに地元に密着したお店だからこそ、見られる光景だと謙さんは話します。

地元の方をターゲットにしているという考えからメイン通りより一つ外れた場所に佇むお店。それでもお客は絶えない

サラリーマンからの転身

謙さんは群馬県出身。サラリーマン時代は流通関係の会社で全国を飛び回る日々を送ります。
その後、茨城、大阪と転勤のため引っ越しを繰り返し、本社が長野市にある会社に転職したのを機に、2000年に長野市へやってきます。
その会社にアルバイトに来ていたのが、未末保さんでした。

「何度か妻と話しているうちに、ケーキ屋をやるのが子ども頃からの夢で、そのために資金集めでアルバイトしているということを知ったんですよ。その時に、面白いなぁと思ったんです」

その後、二人は結婚。まさにケーキがきっかけで、ケーキ入刀することになります。

そして念願のケーキ屋をオープンさせます。

「3歳の時からの夢でしたので、好きな事を仕事にできるのはこの上なく嬉しいです。夫婦で仕事できるのも幸せですね」

厨房から未末保さんの甘い声が届いてきました。

現在、未末保さんがケーキを作り、謙さんはお店の経理を担当しています。

「サラリーマン時代に勤めていた会社で、営業、経理、総務と全てをやっていたので、お店の運営面はお手のものです。だから、妻にはケーキ作りに専念してもらっています」

奥さま想いの謙さん。今まで、夫婦喧嘩もないほどの仲の良さだそうです。

「サラリーマン時代は、ピリピリしていましたが、ケーキ屋を始めて、性格的にはかなり甘くなったかもしれませんね(笑)」

飯綱のイチゴを使用したベリーのショートケーキ(左)、地元のかぼちゃを使用したシフォンケーキ(中央)、リンゴをふんだんに使ったアップルパイ(秋限定)

人気のアップルパイ

地元住民のために商売している松田さん夫婦は、ケーキに使う食材も地元のものを使用しています。

「アップルパイは、紅玉リンゴを使用していますが、収穫時期に地元の農家さんに直接買い付けに行っています。だから、リンゴが終わってしまったら、売り切れ。おかげさまで大人気のため、今年は1ヶ月くらいで終わりそうですね」

まさに取材で訪れた時も、地元のおばあちゃんが大量にアップルパイを買っていく姿が見うけられました。

「最高においしいの。お茶に合うのよ」と話し、満面の笑みでアップルパイを持ち帰るおばあちゃんの姿を、謙さんは最高の笑顔で見送ります。

「うちのアップルパイはリンゴをふんだんに使っています。だから、リンゴの減る量も早いんですよね。ナガラボさんに記事が掲載される頃まで販売しているかどうか(笑)」

なるべく早く掲載しますので、謙さんしばしお待ちを!

店内では委託販売もおこなっている。「地元とつながっているお店でありたい」とご主人

今でこそ、この土地に精通していますが、群馬県出身の謙さんは戸隠に来た当初、雪の多さに驚いたそうです。

「群馬って寒いイメージがありますが、人が住む場所は限られていて、あまり雪が降らないんですよ。だから、膝まで積もる雪には驚きましたよ。それに雪かきにも苦労しましたね。あと、虫も嫌いでしたので、当初は逃げ回っていました。でも、慣れたら何てことないですね」

今年は、大量発生したマイマイガの卵の駆除もしたといいます。

「田んぼで農家のおじいちゃん、おばあちゃんが15時のお茶の時間に、ケーキを食べている姿ってオシャレじゃないですか。そういう姿を見た時は嬉しいですね」

そう話したあと、謙さんは「帰りの車で食べて。これあげちゃう」と、自家製のクッキーを私に手渡してくれました。

物腰が柔らかくチャーミングな謙さんと、子どもの頃からの夢を叶えた真っ直ぐな未末保さん。
お二人が作るケーキには、地元への愛情もトッピングされているのだと肌で感じました。

朝に出した10~15種類以上のケーキは、午後には半分以下になっているという

(2014/12/25掲載)

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