No.267
岡田
宜子さん
ハワイアン・ロミロミ noriko代表
旅をするように働き、
身体と心を癒すセラピスト
文・写真 くぼたかおり
バブルが崩壊以降、安らぎや平穏を求める人が増加。ヒーリングミュージックの大ヒットとはじめ、整体やアロマセラピー、リフレクソロジーなどの店が増えるなど、さまざまな変化を遂げていきました。そこで上げられるキーワードのひとつに、”癒し”という言葉がありました。
偶然読んだ新聞が人生の転機に
「ロミロミ」はハワイ語で揉む・押すなどの意味を持ち、古くからネイティブハワイアンによる医療行為として発達しました。ハワイでは、神官などさまざまな分野で”カフナ”と呼ばれる人たちがいます。その中で医者としての役割を果たすカフナが、ロミロミでリンパや気の流れを良くする治療を通じて、病気やケガの治療、心の病などのさまざまな身体の不調を改善してきました。古くは先祖代々受け継がれてきましたが、跡継ぎなど後継者不足もあり、アンティ・マーガレット女史をはじめ、数人のカフカが外国人に広めていきました。
埼玉県出身の岡田宜子さんは、2011年に独立して「ハワイアンロミロミ noriko」を開業。小さいころ、肩たたきをすると喜んでくれる両親の姿が原体験となり、マッサージや整体の世界に興味を持つようになりました。大学では経営について学んだ後にオーダーメイドの靴も作る会社に就職し、経理を担当。
「ずっとマッサージの世界に興味はありましたが、大学で学んだことを生かしたくて就職しました。仕事を3年続けたら、マッサージの世界へ進もうという目標を掲げて、週末には整体やリフレクソロジーなどの学校で勉強を続けていました」
しかし3年が過ぎても経理部に後輩が入って来ないという状況に陥り、ついには「後1年で会社を辞めるので、引き継ぎできる人を入れてください」と直談判。
そんなある日、新聞で見つけたのが「ロミロミ スクール生募集」という広告でした。今でこそ認知されるようになった「ロミロミ」ですが、当時初めてこの言葉を知った岡田さんは、最初は興味本位でスクールに申し込んだものの、次第にロミロミ、そしてハワイとのつながりを得ていくようになったのです。
お客様の体調などに応じて、施術の仕方を変えるなど、個人のお店だからこそ出来る細やかなサービスを心がけている
まるで合宿のようなロミロミ漬けの日々
最初に通ったロミロミのスクールには30人以上が参加。しかし岡田さんのように独立を考えている人はごくわずかで、趣味として学びたい人ばかりだったと言います。結果、誰かに施術できるほどのレベルに到達できないまま受講期間は終了。どうしたものかと悩んでいる間に会社の退職日を迎えたのでした。
同じようにロミロミスクールの生徒で独立を考えていた女性が、ある日ネイティブハワイアンの先生が日本の会社と契約してスクールを開催するためにアシスタントの研修生を募集していることを知り、岡田さんも一緒にどうかと声をかけてきました。そしてハワイでアンティ・マーガレットさんの弟子であるノエラエ・ベネットさんのアシスタントに付き、ロミロミに関するさまざまなことを学んでいきました。
「ハワイでは、朝から晩まで先生であるノエラエ・ベネットとともに過ごしてました。先生からは『ロミロミができます』だけなら必要ない。『ロミロミを教えられます」と言えるようになることがゴールだと言われました。そのため午前に学んだことを、午後には先生のクラスで教えるという繰り返しの日々でした。人生で一番猛勉強をした!と言えるほどでした」
ハワイには日本と同じように八百万の神がいると伝えられています。ロミロミ漬けの日々を3カ月過ごした岡田さんは、次第に豊かな自然にはさまざまなエネルギー=マナがあり、自然に感謝し、今ある生活に感謝することの大切さを理解していくようになりました。
ハワイでロミロミの授業をしている岡田さんと生徒たち
店を持たないというスタイルとは
日本に帰国後、岡田さんは大阪でロミロミのセラピストとして働くようになりました。施術するだけではなく、講師としても活躍。生徒のレベルはさまざまな中で、1人ひとりと対峙することで自身のレベル向上につながっていると言います。
「私は先生から『セラピストとして長く続けるためには姿勢が重要』だと教わりました。姿勢、足のスタンスなど細かなところまで指導します。たまに、自分の楽なやり方で進めてしまう生徒もいましたが、結局は身体に不調を感じて、姿勢の必要性に気が付くんです」
実際に岡田さんが施術している様子を見ていると、姿勢だけではなく、手の伸ばし方や足の開き方などまるで新体操を見ているようです。
その後リゾートホテルへの出店が決まったのを機に、岡田さんは斑尾へ引っ越し、独立してからは長野と埼玉などを拠点にセラピストとして活動しています。
「昔から旅が好きなんです。だから開業する時も自分の店を持つというスタイルではなく、マッサージを施術できる拠点をいろんな場所で持とうと考えました」
マッサージ店の多くは店を構えて、いつでもお客様を受け入れるスタイルが一般的です。それでもわざわざ岡田さんの店を選ぶ理由は何でしょう。
「ロミロミの技術レベルも大事ですが、マッサージは他人に肌を触ってもらうこともあり相性の良し悪しに大きく左右されると思うんです。来てくださる方の多くは、私とおしゃべりするのを楽しみにしているように感じています」
幼いころは、自分の大きな手が嫌いだったと話す岡田さんですが、今はこの大きな手があるからこそ誰かの心と身体を癒すお手伝いが出来てうれしいと笑顔で話します。ロミロミとの出合いが、岡田さんの人生をより豊かにしているようです。
シェアオフィスtorinocoも岡田さんの拠点の1つ。古民家の落ち着いた空間がさらにリラックスさせる
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会える場所 | ハワイアン・ロミロミ noriko 長野市権堂町2300 パブリックスペースOPEN2階torinoco 電話 090-6184-1467 ホームページ http://ameblo.jp/lomilomi-life/ メール neparinori@gmail.com |
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