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No.057

髙橋

宣行さん

有限会社かーいんてりあ高橋代表取締役

常に新しい発想で挑戦
世界に一台のキャンピングカー

文・写真 Chieko Iwashima

世界初、プリウスのキャンピングカー。誰も考えなかったこの車を発案したのが、長野市真島町にある「かーいんてりあ高橋」の代表・髙橋宣行さんです。

髙橋さんが2012年の東京オートサロンにプリウスベースの「リラックスキャビン」を出展したときは、その斬新さに誰もが驚きました。

「すごいね、よく考えたねって言ってくれる人もいれば、せっかくのプリウスになんでこんなことしたんだって言う人もいて賛否両論。でも、売れるとか売れないってことより、こういうものを一番最初に世の中に出すことが大事だと思ったんです」

日頃、若い世代の車離れを感じていた髙橋さん。働き盛りの世代にこそ、休日に車で移動して遊ぶ楽しみを知ってもらいたい。そのために、より経済的で、普段使いもできるハイブリットカーのキャンピングカーを作りたいと思っていました。

「これからのキャンピングカーの文化を考えたときに、もっと独自のものを作らないと伸びないと思いました。1800㏄のプリウスが発売になったときに、その形を見て、これならいけると思いました」

業界の話題をさらった「プリウス リラックスキャビン」

キャンピングカーというと、シャワーやトイレなどが設置されているものを思い浮かべますが、道の駅やコンビニなどが多い日本では寝る設備だけが整っていれば充分、という人がほとんど。髙橋さんは家族4~5名が足を伸ばして寝られ、普通乗用車のように街乗りにも使える一台を目指して2年がかりで開発。FRP(強化繊維プラスチック)のシェルを取り付け、広い上段ベッドを作りました。ボディーは一切カットせずにリヤハッチを取り外しただけなので強度も損なわれていません。プラグインハイブリットカーのプリウスであれば車自体が発電機なので燃料さえ入っていればいくらでも電気を作ってくれます。

「自分は近未来の発想としてすごくいいと思っています。実際、燃費も良くて使い勝手のいい車ですよ」

髙橋さんは、このプリウスのキャンピングカーのみならず、これまでにも常に業界の先端を行く発想を展開してきました。

「誰も考えないことを全部自分で考えて、試行錯誤するところは昔から変わってないですね」

髙橋さんが起業したのは1983年。24歳のときでした。

「その前は中古車を再生する会社に勤めて、イスを作ったりしていました。当時はエアロパーツやウイングなどが付いた見た目の派手なバニングカーが流行っていて、内装をめちゃくちゃにいじってある車を純正に復元したりしていました。これができるなら新しい車も一から作れるのではと思いました」

今でこそ当たり前に知られているキャンピングカーも、今から30年前は一般的ではありませんでした。

「欧米からの輸入のキャンピングカーはありましたが、日本に合った物を作りたいと思いました。安全性とか機能性を一つひとつクリアしながら、全部独学で作りました」

長野県の陸運局にキャンピングカーを持ち込んだときは、前例がなかったためナンバーを登録するまでに4カ月もかかりました。

事業が軌道に乗ると、ロサンゼルスにも事務所を構え、そこから10年くらいは頻繁にアメリカへ通っていました。

「アメリカのカスタムショーもよく見に行って、影響を受けました。車の中にプールがあるとか、めちゃくちゃなものもあって技術的には何でもできるんだなって思いました。それを作っている日本人の職人もいて、そういう人たちにはかなり感化されました。だからよっぽど荒唐無稽なものを除けば、仕事していてダメだとかできないとか思ったことがないんです」

最初はプリウスのミニカーに粘土をくっつけながら考えていた。一番苦労したのはボディの接合部分

かーいんてりあ高橋の強みは自社一貫生産。木工、電装、縫製と各作業に技術を持った人たちがいて、お客さんの希望に細かく対応できます。

「お客さんの求めることは人それぞれ。要求に応えるなかで技術が磨かれてきました。お客さんが世界に一台のオリジナルの車を喜んでくれて、長く乗ってくれることが一番うれしいです」

一番人気はハイエースベースの「リラックスワゴン」。現在は定番化している3ナンバーのキャンピングカーですが、業界では初めて商品化したものでした。10人乗りのステーションワゴンを使うことで8ナンバーより改造する部分が少なく価格も抑えられ、一見、キャンピングカーらしくないのが特徴です。8年前の発売から現在までに1000台が売れました。

「どうして3ナンバーのキャンピングカーが作れるのかと当初は驚かれました。決してそれまでのキャンピングカー市場を荒らしたのではなく、新しいユーザーを開拓したと思っています」

髙橋さんはボランティアでキャンピングカー文化の普及に努める日本RV(レクリエーション・ビークルの略。ここではキャンピングカーのこと)協会の理事も務め、ユーザーがよりキャンピングカーを楽しめるようにさまざまな活動をしてきました。近年は、RVパークを広めるために全国を飛び回っています。

さまざまなワンオフ改造やオリジナル車両、特殊車両の製作も得意

RVパークとは、キャンピングカーのための有料スペース。道の駅などの駐車場の一角にAC電源供給設備やゴミ処理システムなどを整え、安心で快適なキャンピングカー泊を守るものです。2012年に山口県萩市に第1号が完成し、現在全国に25カ所できました。

「これも日本では前例がなかったのでなかなか認められなくて苦労してきましたが、ようやく広まってきました。ユーザーが休息や宿泊がしやすくなって、もっと出かけるようになれば地域活性化にもつながります。長野県内にもたくさん作りたいと思っています」

お客さんが何を求めているのか、いつも一生懸命考えながら動いている髙橋さん。きっとこれからも新しい発想で私たちを驚かせ、楽しませてくれることでしょう。

「自分が思った方向性が正しいかは分からないけれど、信じてやっています。会社を安定させて、社員の皆さんが幸せになることが一番大事なことですが、あとは、死ぬまでに新しい商品をもう2つ3つ開発したいですね」

ほとんどのRVパークが入浴施設の近くにある。ユーザーのマナー向上のためにも一役買っている

(2014/07/23掲載)

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長野市真島町真島1551‐1
電話 026‐285‐6390
ホームページ http://car-taka.com/
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