No.413
永坂
麻希子さん
DOG CAFE『Sunny Terrace』店主兼トリマー
善光寺仁王門から徒歩1分のドッグカフェ。トリマーが営む、愛犬のためのヘルスケアを語らう場
文・写真 小林 隆史
「長野市は、屋内で犬と一緒に過ごせる場所が少ない」。そんな愛犬家の声を耳にしたこと、ありませんか?飼い主と犬が一緒に過ごす時間を思い「犬を連れて気軽に集まれる所をつくりたかった」と語るのは、『Sunny Terrace』の店主でトリマーの永坂麻希子さん。2018年11月に、かねてから夢に描いてきたドッグカフェを、元歯科医院をリノベーションしたコミュニティスペース『西の門ホワイトハウス』の1Fにオープンさせました。
▲善光寺仁王門から西へ徒歩1分ほどにある『Sunny Terrace』は、『西の門ホワイトハウス』の1F。元歯科医院をリノベーションした3Fの建物には、デザイナー事務所や善光寺びんずる市事務局などのオフィスも入っている
トリミング、犬のための栄養学などを学んできた永坂さんの夢のスタート
店内の黒板には、カフェオレやスープなどと並んでドッグメニュー。愛犬といっしょにくつろげるように、所々にリードフック。添加物を控えたドッグフードや犬用のかわいい衣服も販売されている『Sunny Terrace』は、トリマー歴約15年の永坂さんにとって、夢のスタートでした。
永坂さんは2008年から、長野市伊勢宮でトリミングルーム『Sunny Garden』を営んでいます。「トリミング」と聞けば、犬の美容師と思う人も多いかもしれませんが、実は犬の健康状態をきちんと診てあげることができる仕事でもあると、永坂さんは言います。
「トリミングをしていると、犬の毛並みや皮膚の状態から、体調がわかるんです。犬の健康状態がよくない場合に、お医者さんに薬を処方してもらうこともひとつですが、体調に合わせて、食生活を見直してあげると改善することもあります。人と同じで、食べ物から摂る栄養は、健康を左右するものですからね。
ただ一方で、犬の食を見直した色々な本が出回るようになり、加工物ではなく、人と同じような食事を与えるといいというような情報も、最近では目にするようになりました。これは実は、犬と人では違う部分もあり、注意が必要なんです。
こういったことは、今までに犬の栄養学を学んできたことから私なりにお伝えしたり、犬について豊富な知識をもった飼い主から聞いたりすることが、とても大切だと思っています。だから、犬の健康づくりのことを語り合ったり、犬を通じて人同士が仲良くなったりする、ドッグカフェという場をずっとやってみたかったんです」
健康に大きく影響する犬の食生活。人であれば、有機野菜を使ったカフェやレストランを今ではよく見かけるようになり、健康を気遣った食事に関する情報も幅広く知ることができるようになりましたが、犬の世界ではまだわからないことも多いそう。衣服においても、犬種によっては必要不可欠なものになりつつあると永坂さんは言います。変化していく犬の暮らしに寄り添ったドッグカフェ『Sunny terrace』で、新しい情報を交換できるのは、愛犬家にとって嬉しい場所と言えます。
「四季折々の風景が広がる、自然豊かな信州。森の地形を生かした公園や季節ごとの愉しみを味わえる場所があり、都市部に比べたら、犬を飼いやすい環境と言えます。しかし、犬を連れてのお出かけも、雨や寒さによって、左右されてしまうものですよね。その上、長野駅周辺や市街地には、駅ビルや居心地のいいお店に愛犬といっしょに入れるお店や施設屋内が、あまりなくて困っているという声も、聞いたことがあります。そんな人たちが気軽に立ち寄れるお店にできたら、私も色々なわんちゃんに会えるので嬉しいです」
犬に携わる仕事がしたいという夢をあきらめず30代から始めたトリミングの仕事
2008年にトリミングルーム『Sunny Garden』をオープンさせ、2018年にドッグカフェ『Sunny Terrace』をスタートさせた永坂さん。出身は長野市(旧・鬼無里村)で、高校生の頃には、学校帰りに桜枝町のパン屋『太平堂』にも通い、善光寺周辺には長く慣れ親しんできました。そんな永坂さんが長野を拠点に、犬に携わる仕事をしようと準備を始めたのは、30代を迎えてからでした。「心のどこかで、犬に寄り添う仕事がしたいとずっと思っていたんです」と当時を振り返り、穏やかな笑顔を見せます。
「会社員時代は、仕事として長野の自然に携わる機会も多くあったので、とても楽しかったんです。だけど30代を前に、配属先が変わって、オフィスでパソコン仕事をすることになりそうだったんです。そんなタイミングで、やっぱりやりたいことをやってみたいなと思い返すようになり、ずっと思い描いていたトリミングの仕事を始めることにしたんです。
最初は学校にも通い、勉強の毎日。卒業後は修業。だけど3年くらい経ったら、だんだん友だちにトリミングを頼まれるようにもなり、自分でお店を始めることにしたんです。そして10年が経って、ドッグサロンをオープン。振り返ってみれば、犬への愛着があったから、続けられたんだなあと思いますね。あきらめなくてよかったです」
オープンしたばかりの『Sunny Terrace』では、いつか犬を飼ってみたいと相談する若い人や常連のご近所さん、犬の情報交換をしに来る人などが集まっていました。永坂さんの犬への愛着や思い入れが伝わり、いつかこの場所から、永坂さんのように犬に携わる仕事をしてみたいと、夢を見る人が生まれていくのかもしれませんね。
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会える場所 | ドッグカフェ『Sunny Terrace』 長野市長野西之門町500-1 西の門ホワイトハウス 1F 電話 ホームページ https://www.instagram.com/dogcafesunnyterrace/?hl=ja 毎週火曜定休 |
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