長野市地域おこし協力隊はながのシティプロモーションの一環です

「柳井さんの移住記録」の記事一覧

冬支度が進む。

2015年12月10日 | 記事カテゴリ:柳井さんの移住記録 |

先日、柳井さんご夫妻は、ご近所さんに野沢菜の漬け方を教わって来たそうです。それなりに大きな容器を持って行ったのに、「そんな小さいの持って来たのかい?」と言われ、大きな容器を貸してもらい15キロほど漬けて持って帰ってきたそうです。

コンシェルジュは何もしていないばかりか、別件と重なり、取材すら行けず。

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※下の写真はイメージです。別のご近所さんからいただいたそう。他の土地の人は驚きますが、長野に住んでいると、野沢菜漬けとリンゴは大量にいただくのです。

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コンシェルジュどころか、レポーターにもなれずにいる安斎を慮ってか、江利子さんから「味噌を仕込みますので、いらっしゃいませんか?」とメールをいただきました。

柳井さん宅では、これまで毎年2月に味噌の仕込みをしてきましたが、今年は3月には引っ越すつもりでいたため、後回しにしていたとのこと。豆と麹の米は自家栽培のものです。
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仕込みの間だけは、いつも一緒の愛犬・モモタも隔離されます。

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震災のとき、米と味噌、漬物、塩、そして火があればどうにかなると思ったと言う柳井さん。囲炉裏の薪も、家の中の廃材やはぜかけ用の古い木などを割って、着々と調達していました。

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だれが言ったか、長野のまちなかの人は昔、娘を里山に嫁がせたがったとのこと。食べるに困らないからだそうです。柳井さんの暮らしを見ていると、何となくわかる気がします。

十数年ぶりに、囲炉裏に火がともる。

2015年12月 4日 | 記事カテゴリ:柳井さんの移住記録 |

こんにちは。こちら長野市中条です。
地元の人間でも、テンション上げないとやっていけない季節がやって来ました。

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柳井さん宅にお邪魔したところ、室内の気温が2度。
移住希望者の皆さん、甘くないですよ、中山間地は。
と、言いたいところですが、柳井さん夫妻は相変わらずなんだか楽しげです。

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今日は、ついに囲炉裏に薪をくべるということで、声をかけていただきました。
懸案だった自在鉤をつるす綱ですが、鉄用のはさみでも切れなかったそうです。長年、燻されると固くなるようで、心配なさそうとのこと。

灰をくださった小林さんに教えてもらったのですが、囲炉裏の中をすべて灰で埋める必要はないのだそうです。すり鉢状に土で固め、真ん中と表面だけに灰を入れるだけでいいらしい。なるほど、そうですよね。土よりもしっかりさせたいということで、使っていない七輪を砕き、周囲を珪藻土で固めました。

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着火させるための藁がないので、家の2階にあったカヤをくべます。が、湿気ているのか、なかなか火がつきません。やっとついたものの今度は薪に燃え移りません。すると、勇さんはおもむろに空気を送り込む筒を取り出し、見事に薪が燃え始めました。

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生活力というか、いや、もはや生命力というべきか。
薪は、廃材などを割って調達したそうです。
今後は、敷地内の木を切って薪にする予定ですが、「まだどこまでが、うちの敷地かわかってないんですよねー(笑)」だそうです。

ともあれ、十数年空き家だった囲炉裏に火がともりました。
パチパチと焚き木が弾ける音が鳴り、古民家らしい風情が増しました。

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10馬力の除雪機を譲ってもらう。

2015年11月16日 | 記事カテゴリ:柳井さんの移住記録 |

柳井さん宅は、公道から母屋に至るまで、距離にして200mほど、急坂の私道を登らなければなりません。高低差も目測で30mくらいあるでしょうか。そのため、以前から雪の心配をしていました。中条地区は結構な量の雪が降ります。それだけの距離を雪かきしなければ出かけられないというのは大変です。

柳井さんが、そんな事情を
近くに住む方に話してみたところ、すぐさま地元の人に尋ね回ってくださったようで、次の日には「不要な除雪機を見つけたよ」と連絡が来て、譲っていただけることに。

そして、この週末、機械がやって来ました!
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なんと10馬力!(何馬力からがすごいのか、安斎にはわかりませんが、結構な迫力です)
一発でエンジンもかかり、動作も問題はなさそうです。
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「いやー、言ってみるもんですね。こっちに来てから、会う人、会う人、いい人ばかりですよ」と柳井さん。

ですよね。僕も移住組ですが、長野に来て12年、閉鎖的だと感じたことなんてほとんどないです。しかし、それにしても、野菜や果物はたくさんもらいますが、10馬力のものをもらったことはなかったです。

帰りがけ、江利子さんが「奈良井線を通って帰ってみてください。この辺で一番きれいに北アルプスが見えるスポットだそうです」と教えてくださいました。これも近くの人に教えてもらったとのこと。
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(曇天で残念でしたが、輪郭はくっきりと確認できました。また行きます)

どんどん地域に溶け込んでいて、うれしい限りなのですが、コンシェルジュの仕事としてはこれでいいのかという焦りもあります(今のところ、囲炉裏の灰を見つけただけという...)。

出来る男は見るところが違う(囲炉裏にまつわるエトセトラ)。

2015年11月11日 | 記事カテゴリ:柳井さんの移住記録 |

日に日に寒さが増してきました。
柳井さん宅の囲炉裏の修復も早く取り掛からなければいけません。

と、実は、焦っているのは安斎だけで、柳井さんはなんだか毎日のどかに暮らしています。しかし、とにもかくにも、私の方は仕事ですから、まずは修復のアドバイスをしてくださる方を連れていかなければなりません。
さまざまな人の顔が浮かびましたが、ナガラボでも紹介した小田切電設の小田切隆一さんに現地を見てもらうことにしました。(小田切さんのナガラボ記事はこちら

小田切さんは、電気工事が本業ですが、仕事の範囲を限定せず、大工仕事や左官仕事なども手掛けています。どのみち、台所回りの電気工事が必要になるので、そのついでに色々とアドバイスが受けられないかと考えたのです。

「今の時代、技術屋さんの専門分野が狭くなりすぎていて、仕事の領域を限定しない"何でも屋"が必要だと思ったんです。例えるなら、"専門医よりかかりつけ医"。とりあえずあの人に相談してみようという存在ですね」と、小田切さんは話します。

古民家にも関心が高いので、お忙しいなか快く現地を見に来てくれました。

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小田切さんの見る目はやはり違いました。
私も柳井さんも、これまで下ばかり見ていたのですが、小田切さんは囲炉裏を覗いて「このままでも灰を入れれば使えないことはないと思いますが」と言ったあと、天井を見上げ、「あそこは取り換えないと」とひと言。
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あそことは、自在鉤を吊り下げている棒の根元です(これ↓)。
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何らかの縄で固定してあるのですが、当然、劣化して切れたら危険です。
ましてや棒自体が長く重いので、なおさら。
やっぱり来ていただいてよかったです。
そのうち、柳井さんが埃だらけになりながら屋根裏に入ってどうにかするそうです。

そして、小田切さんの方も柳井さん宅を見学して実に楽しそうでした。

「現代の日本人は建物のあり方を見直さなければいけない時期に来ていると思うんですが、何百年続いた暮らし方にヒントがあるのではないかと思っています。だから昔の建物の知恵を読み取るのが好きですね」と、小田切さん。

頼りになる相談相手になってくれそうです。
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そして安斎もやっとこさコンシェルジュっぽいことをしたような気がします。
(囲炉裏まだそのまんまですが)

そう言えば、このブログで柳井さん宅を築300年と書いてきましたが、建物の状況などから総合的に推測すると、どうも江戸後期の築とみられるとのことです。ということは150から200年くらいでしょうか。お詫びして訂正いたします。まあ、いずれにせよ古いです。

やっぱり長野は色んな意味で懐が広かった。

2015年10月26日 | 記事カテゴリ:柳井さんの移住記録 |

先日、住民自治協議会の小林事務局長に「中古の農機具を譲ってくださる人はいないですか」と聞いてみたところ、「この人のもとを訪ねてみてはどうか」と紹介されたのが、中条に住む筒井幸彦さん。

「どんな機械でも直しちゃう人だから、壊れたの見つけて持って行ったらどうかね。それとも筒井さんのところに壊れた機械が集まってくるかもしれないし。とりあえず聞いてみたらいいわ」

ということで、行ってきました、筒井さん宅。

結局、その日、農機具は入手できなかったんですが、柳井さんは大満足。
というのも、筒井さんのガレージには、柳井さんが大好きな古い道具や機械が所狭しと並んでいたのです。
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自己紹介もそこそこに、チェーンソー談義に花を咲かせる勇さんと筒井さん。
メーカーどころか、型番ごとの特徴が飛び交い、勇さんの目はらんらんと輝く一方、機械音痴の安斎は途中から遠い目をしておりました。

続いて脱穀機談義。
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さらには発電機談義。
どうも勇さんにとって、ここはディズニーランドのような存在のようです。

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加えて、筒井さんは野菜だけでなく雑穀や豆類の栽培もしているそうで、柳井さんご夫妻とも熱心に中条での栽培のコツなどを質問していました。

筒井さんは中条に移住して約20年の元警察官。出身は長野県の下伊那地方です。
現役の警察官時代から、古い機械、特にバイクや自動車などを収集してきました。
中でも発動機に詳しく、「NAGANO発動機遺産保存研究会」の事務局を務めています。
機械修理の腕前は地元に知れ渡っているようで、「部品がなくなっちゃったような農機具も持ち込まれて来る」のだそう。

柳井さんが必要とするバインダーやトラクターは手持ちがありませんでしたが、「壊れて、使わないようなものなら、この辺にはたくさんあるはずだよ」とのこと。

よーし、それでは、近いうちに壊れた農機具探しに出かけてみることにします。

と、農機具探しはほんの一歩の前進といったところでしたが、まったく予想をしていなかった方向への一歩が用意されていました。

現在、筒井さんがメンバーのとりまとめをしている、「なかちゃん」という中条地区の生活支援グループがあります。
地域のお年寄りが自分でできなくなってしまった畑仕事や草刈り、住宅の補修などの仕事を、地域の人たちが請け負うという団体です。
お互いに遠慮が出ないようにと、参加者にはきちんと時給が支払われます。
そんなグループに、筒井さんが柳井さんを誘ってくださいました。
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「まずは地域に溶け込むことだよ」と筒井さん。
何もないところに溶け込むのは大変ですが、でもこうして仕事というきっかけがあれば、意識せずとも交流が生まれそうです。

なんだか色々と希望が膨らむ筒井さん宅訪問となりました。
「なかちゃん」の活動についてはまたレポートしたいと思います。

しかし、長野は色んな人がいるなあと、あらためて実感。
ナガラボやってても、知らない人は山ほどいます。
この企画のおかげでまた新しい長野に触れているような気がします。

追記
日本の古い自動車についてテレビでコメンテーターを務めていたことなど、筒井さんのエピソードは枚挙にいとまがないため、本文ではだいぶ割愛したのですが、帰ってから筒井さんの名前をインターネットで検索してみたら、山葡萄のカゴの作り手として紹介されている記事がたくさん出てきて、またびっくり。ネタが多すぎます。

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