No.210
西田
武博さん
マルコメ株式会社 製造管理部課長
味噌もロックも愛する男
文・写真 Yuuki Niitsu
味噌汁×ロック
「この話を頂いた時には、興奮しましたね。まさかあの『味噌汁’s』が弊社の工場内で演奏するなんて。当日は興奮をしながらも、立場上、平静を装うのが大変でしたよ」
毎日400~500トンの味噌を作っている製造工場。その大きな機械音に負けず劣らず声高に話すのは、マルコメ株式会社の製造管理部課長、西田武博さんです。
実は、マルコメでは『嫁さんはおいしい味噌汁作れる人と決めてるんだ』と歌う、謎のロックバンド「味噌汁’s(みそしるず)」(所属:EMI RECORDS)とコラボレーション。2014年9月から取り組んでいた「”新しい味噌汁”共同開発プロジェクト」により生まれた即席味噌汁『味噌汁’s監修 ロックを聴かせた味噌汁』を作り、今年2月より数量限定で発売しました。また、プロジェクト第2弾としてCMを制作することになり、その撮影場所としてマルコメの本社工場が選ばれたのです。
西田さんの担当する製造管理部。この中で18時間に及ぶ撮影が行われた
若者に味噌汁を!
西田さんは生まれも育ちも長野市。関西の大学の農学部卒業後は、故郷で食に携わる仕事に就きたいと考えるようになります。
「長野市に対する愛情は人一倍強かったですね。それに食に携わりたいと思っていたので、自然に近所のマルコメが頭に浮かんできました」
卒業後、平成4年に入社してから、本社中央研究所で商品開発を担当、3年間のアメリカカリフォルニア州の工場駐在を経て、長野市の本社に戻り、製造管理部に配属になります。西田さんは熟成管理を担当する部署の責任者で、いわば味噌作りの要となる人です。
「とにかく私たちは、全国の多くの方に味噌をお届けするのが任務です。そして味噌を通じ和食を世界へ発信する。最近は洋食化されて、特に若者が味噌汁を飲まなくなったというのを聞くと本当に寂しいですね。だから、今回のこの企画は非常に意義のあるものだと思います」
4トンの味噌が入るというタンク。毎日400~500トンの味噌が作られる
世界初の味噌工場で生まれた音
CM撮影当日は、年間約10万トンの味噌が生産される工場内で、「音」にこだわるためにメンバーが実際に演奏して生録音しました。総勢30名を超える制作スタッフのもと、早朝5時30分から始まり深夜23時30分までの長丁場の撮影だったといいます。
「地下の密室状の施設のため、残響が長かったのが印象的でした。あの音響は初めての感覚ですね」
その場にいた誰もがしびれたという、世界初の『味噌工場で生まれた音源』が西田さんの目の前で収録されました。
また商品を発売するにあたり、ファンとの交流の機会にもなるような場所を作りたいという思いから、マルコメは期間限定で東京都渋谷区に『ロックを聴かせた味噌カフェ』をオープンしました。
「ロック好きな若者が大勢集まり、味噌汁を買って行ってくれたと聞いています。閉店時間にも最後のお客様の集合写真を撮影したのですが、撮る直前までに皆さんで味噌汁’sの楽曲を合唱したりしていて、一体感もあり、非常に楽しんでいただけたそうです。これを機会に少しでも若者が味噌汁を飲んでくれれば嬉しいですね」
連日、行列が出来るほどの大盛況。これを機に多くの若者が味噌汁を飲んでもらえればと願う
音楽の話になればなるほどテンションが高くなる西田さん。もしやと思い質問してみたところ、落ち着いた雰囲気から逸脱したノリノリな答えが返ってきました。
「実は、3年半くらい前からドラムを始めたんです。昨年の11月に5人組のバンドに加入したんです。しかも初ライブが2月に決まっています」
プライベートと仕事は完全に分けているという西田さん。勤務中は衛生上、終始マスクと帽子を被っていましたが、それらを脱いだ瞬間、西田さんはロックな男に様変わりします。
西田さんが架け橋となり、若者がロックを刻んだあとの空腹に、信州の味噌汁が注がれることを期待したいと思います。
ファンが残していったメッセージ。期間限定ではあったが、味噌汁'sの楽曲を合唱したり、一体感もあり、非常に楽しめるイベントだった
人気投稿
- 高野洋一さん うどん たかの店主...
- 玉井里香さん インスタグラマー、SNS運用コンサルティング「タビビヨリ...
- 三井昭さん・好子さん 三井昭商店...
- 星 博仁さん・琴美さん 「中華蕎麦 ほし乃」「麺道 麒麟児」...
- 眞田幸俊さん 慶応義塾大学理工学部電子工学科教授...
会える場所 | マルコメ株式会社 長野市安茂里883 電話 026-226-0165(代表) ホームページ http://www.marukome.co.jp/ 0120-85-5420(お客様相談室) |
---|