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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.209

上條

千佳さん

フラワーデザイナー/Studio ROSE

花は、思いを伝える媒体

文・写真 Chieko Iwashima

イメージした形を花で表現

長野市若里に教室をかまえるフラワーデザイナーの上條千佳さん。これまでに海外での個展開催や数々のコンテスト入賞など文字通り華々しい経歴の持ち主です。現在は店舗を持たずフリーで活動し、少人数制のフラワーレッスンのほか、ギフトの花、結婚式の会場装花やウエディングブーケなども手掛けています。

レッスンは、資格コースと趣味向けの2本立て。お花のレッスンというと、先生の見本と同じように作っていくものというイメージがありましたが、上條さんが一番大切にしているのは、一人ひとりの作りたいイメージを表現することだといいます。

「こちらがよかれと思ったものがその人の美的感覚に合うか合わないかは人それぞれ違います。3本、4本と花を挿していってもらうと、この人はどういうものを仕上げたいのか、方向性が見えてくるので、そのイメージが出来上がるようにアドバイスしています」

生徒さんは20代~70代まで幅広く、ここへ来て花に触れて気持ちをリセットする場所になっている人が多いといいます。

「資格取得や趣味など通い始めた動機はさまざまですが、みなさんに自分のスイッチを切り替えて『明日からまた頑張ろう!』と思ってもらえる場所になっている気がします。花の力って、何かあるんでしょうね。私も、毎日花に触れることで、常に気持ちをリセットできているのかな。日々、フラットな気持ちで迎えることができているように思います」

いろんなことに一喜一憂しない、と穏やかに笑う上條さんですが、そう思えるようになったのはここ数年のこと。これまでには、さまざまな葛藤がありました。

価値観が多様化しているブライダルシーンで上條さんの仕事を求める声が増えている

きっかけは母へのプレゼント

松本市出身の上條さん。お花の世界に足を踏み入れることになったのは、お母さんへプレゼントした花がきっかけだったといいます。

「母の誕生日プレゼントに作ってもらったアレンジメントがイメージにぴったりで、とっても喜んでもらえたんです。何もないところからイメージして作り上げたものが、人に感動を与えるってすごいなって思いました。私も作ってみたい、という軽い気持ちでそのお花屋さんに習いに通い始めたんです」

そのとき、一般企業のOLだった上條さんは趣味の一つとして習い始め、インストラクターの資格も取得。結婚退職後、しばらくお花屋さんで働いていましたが、旦那さんの転勤で長野市に引っ越してきてからは、友人や近所の人にお花を教えたりしていました。

1回のレッスンは1人~6人までと少人数制。クリスマスなどシーズンレッスンの参加者はトータルで80名に上る人気

次第に、もっとちゃんと花の仕事をしたいという思いが芽生えていった上條さん。ある日偶然目にした、とある花の協会の求人に応募し、長野支部の講師として採用されました。次第に頭角を現していった上條さんは、東京や海外のレッスンの講師を担当するなど活躍の場が広がっていきました。

「その協会にいたときは、自分は大きな組織の中で大きな仕事をしているんだという自負や驕り、優越感のようなものを感じていたようにも思います。その反面、一つひとつのプロジェクトをどんなに真剣にどんなに一生懸命に取り組んでも、なんとなくしっくりこない違和感も感じていました」

書類と数字の処理に追われることもあり、2人の子どもの子育てもしながらの日々は簡単なものではありませんでした。気が付けば9年。責任感の強さでなんとかやってこられたといいます。

「悩みに悩んだ結果『そのときにすべきことは真面目に全力でぶつかってこられた。自分の心に嘘や後悔はない』という答えが出せたので、組織の一線を退いて、フリーで活動しようと決意できました」

そして3年前に独立。自分がやりたいと思うことだけに集中できるようになりました。一人ひとりのお客さんや生徒さんとじっくり接するうちに、自分のやりがいはここにあることに気が付いたといいます。

「レッスンのあとに、あー楽しかった!という何気ない言葉や笑顔が、この仕事を継続させてくれている理由です。お客さんの顔が見えなかったら続けられなかったと思います」

「いろんな大きな仕事をまかせてもらえて、あの頃の経験が今の自分の自信になっているのですごく感謝しています。あの9年間がなければ、頭でっかちで、感情に振り回される作品しか作れなかったと思う。そして、とても小さな、でも、とても大切にしなくてはならないことが、実は目の前にあるんだということに気付かず、見逃してしまっていたと思います。大変だった分、自分の財産となっていますね」

「Studio ROSE」とは、まだ協会に入る前、プリザーブドフラワーを広めるために一人で動き始めたときに付けた名前

気持ちを伝える花の力

今後は、ブライダルシーンにもさらに力を入れていきたいという上條さん。

「私が一番やりたいことは、一人ひとりが叶えたいイメージを形にするということ。レッスンでも結婚式でも、何か一から作り出せたらいいなって思っています」

“させられた結婚式”ではなく”自分たちがしたかった結婚式”を作るお手伝いができたらうれしい、と目を輝かせます。

「以前、結婚式をお手伝いさせてもらったときにも花だけでなく天井のディスプレイから希望を聞いて手掛けました。『こういうことをしたい』という要望に、全部相談に乗りながらやっていけたらいいなと思っています」

店舗を持っていないことでスケジュールが組みやすく、打ち合わせにもとことん時間をかけている

そして、ブライダルはもちろん、普段のギフトでも上條さんが大切にしているのは気持ちを伝える媒体として花があるということです。

「人が誰かにお花を渡すときは、感謝の気持ちだったり、祝福の気持ちだったり、いろんな気持ちがこもっているもの。どんな人に、何のためにあげるのかを聞いて間違いのないようにしています。せっかくの思いが台無しになってしまってはいけない。そのメッセージをちゃんと伝えられるための作り手でありたいと思います」

言葉以上に気持ちを伝えてくれる花の力。上條さんが手がけた花束の先に、たくさんの笑顔の花が咲いていることを感じました。

一番好きな花は?の問いに、「ラナンキュラス!」と即答

(2015/03/10掲載)

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長野市若里1‐11‐3
電話 090‐6498‐8324
ホームページ http://www.studio-rose.net/
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