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No.203

夕美さん

ティースタイリスト 紅茶とイギリスの暮らしの教室Cozy&Rosy主宰

「スーツや靴を仕立てるように」
紅茶の調合室がオープン

文・写真 Takashi Anzai

シェアショップ+アトリエ「WANDERLUST」オープン

3月3日、長野市東町の旧倉庫にシェアショップとアトリエ「WANDERLUST(ワンダラスト)」がオープンします。紅茶、生花、青果の各店舗、そしてイラストレーターのアトリエが同居するこのスペースは、4人の個性あふれる事業主が共同で運営します。

そのうちの1人、ティースタイリストの原夕美さんは「Cozy&Rosy紅茶調合室」として、顧客一人ひとりとの対話をもとに最適な茶葉を提供するサービスを開始します。

「紅茶は、ワインと同じように、合わせるもので全然違ってきますし、さまざまなものと引き立て合えるものなんです。日ごろから、特徴が異なる紅茶が豊富にあることや、美味しさや楽しみ方が、まだワインやコーヒーほど浸透していないと感じていて、それがとてももったいないことだと思っていました」

原さんは2007年から長野市神楽橋で、紅茶教室を開いてきました。県内外から生徒が集まる教室での活動は充実しているものの、もう少し幅広い人たちに紅茶の魅力を伝えたくなったといいます。

キーワードは「ビスポーク・ティー」。ビスポークとは、英国のテーラーで生まれた、打ち合わせ式の注文スタイル、いわゆる和製英語の「オーダーメイド」のことです。顧客と対話しながらスーツや靴を仕立てるように、茶葉を提供したいとの思いを形にしました。

インタビューの際に出していただいた紅茶は、リラックスできるようにと、シンプルで渋みが少なく、ほんのり甘みがあるもの

本質的な豊かさを感じる国

原さんが紅茶に魅了されていったきっかけは、イギリス製のティー・カップのプレゼントでした。英米文学科に進学するため上京する原さんに、地元に残る親友が贈ったものです。

「それがとてもきれいで、物語を感じるような素敵なものだったんです。これで紅茶を飲みたいと思って上京したら、デパートにも喫茶店にも、紅茶の種類がたくさんあって、楽しくて楽しくて仕方がないといった感じでしたね」

イギリスの文学を学び、紅茶にも目覚めた原さんは、当然の流れで学生時代から何度も英国に渡ります。

そして、2002年には”紅茶留学”を果たし、4人の師匠のもとで学びます。

WANDERLUSTのメンバー、(左から)flumina-flumiraの込山さん、原さん、スケッチジャーナリストの真子さん、Farmers Kitchen東町の君島さん

「日本茶の学校がないのと同じで、イギリスに紅茶の学校があるわけではないんです。でも、プロの方がいらっしゃったり、紅茶のソサエティがあったりするので、そこで英国のお菓子やお料理なども含めた、暮らし周りのことを習得してきました」

その後も毎年、英国に渡り、現地の生活から学び続けています。

「私がイギリス暮らしの中で感じる、温かくて心地よい安心感は、日常の中にあるものばかり。どんなに豪華で高価なものより、本質的な豊かさと、幸せを感じるんです。イギリスで実際に体験している生の暮らしが、私の得意分野であり、Cozy&Rosyらしさなのだと思います。私のこの素朴な価値観を、素直に表現していけたらと思っています」

2月15日に行われたプレ・オープン。旧・倉庫をリノベーションしたシェアショップには多くの人が訪れた

もっと気軽に紅茶を

現在、紅茶教室だけでなく、カフェやレストランなど飲食店へのアドバイス業務も行っている原さん。英国の良さを取り入れながら、信州らしい紅茶の楽しみ方を提案していきたいと考えています。

「信州は果物も豊富です。フレッシュなものや加工品までさまざまなものがありますので、信州ならではのアレンジ・ティーのアイデアも出していけたらと考えています。それと、私はティーセットを持って外に出てピクニック・ティーをするのも好きですね。これもまた、都会とは異なる信州ならではの楽しみ方ではないかと思います」

一杯あたりに必要な分量と蒸らすべき時間は、茶葉によって違うので、気軽にお店の人に聞いてほしいと話す

WANDERLUSTは旧倉庫をリノベーションした建物の1階に入居しています。ここに入居した理由の一つは、紅茶のイメージを変えるためということもあるそうです。

「紅茶に対して、敷居が高いとか、おしゃれをして行かなければというイメージを持っている人も少なくありません。それを払拭したくて、あえてこの場所で発信してみたいと思いました。『元・倉庫』ならではの空間に、今のロンドンのテイストを添えて演出しながら、もっと気軽に美味しい紅茶を飲めるお手伝いをしていきたいです」

この日のインタビューでいただいた紅茶は、ほんのりと甘い香りがしました。控えめな模様が施されたカップには紅茶のブラウンが映え、ワクワクした気持ちにさせられました。英国の暮らしには本質的な豊かさが感じられると原さんは話します。紅茶の香りに鼻をくすぐられながら、なるほどと心から頷いたのでした。

「紅茶はさまざまなものと引き立て合えるもの」と原さん

(2015/03/02掲載)

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会える場所 WANDERLUST
長野市東町146-3
電話
ホームページ https://www.facebook.com/wanderlust.japan

Cozy & Rosy
長野市神楽橋51
電話090-2225-7474
URL www.cozyrosy.com

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