No.181
北村
きよみさん
ハピネスマネーアドバイザー/日本ファイナンシャルプランナーズ協会公認AFP
お金との上手な付き合い方を知り
人生をもっと自由に楽しむ
文・写真 Chieko Iwashima
お金と上手に付き合うためのライフデザイナー
北村きよみさんは、FP(ファイナンシャルプランナー)として主に子育て中のお母さんを対象とした家計の相談業務を中心に、保険のコンサルタント業も務めるお金のプロフェッショナルです。
「相談内容は”なんとなく不安”という人が多いです。現在のお金の収支をよく分かっていない人が意外と多いんです。なんとなく毎月赤字になっているとか、とりあえず毎月2万くらい貯金はしているけれど、これでいいのか不安だとか」
まさに自分のことだと、ドキッとしました。一応、家計簿はつけていますが、それが節約につながっているかどうかは自信がありません。
「自分がすでに入っている公的保険について知らない人が意外と多いんですよね。健康保険や雇用保険、国民年金や厚生年金とか。制度自体あまり知らないでいる人は、それを知るだけでも大きく違うと思います」
恥ずかしながら私も、ほぼ何も分かっていません。
「保険というのは生活を安心させるための道具なので、まずはライフプランを立てて、生活スタイルの不安をなくすことから始めないといけないと思うんです」
私は取材後、その日のうちに家計相談の予約をしました。
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知らないままだと損!
北村さんがFPの資格を取得したきっかけは、子どもの学資保険への加入を考えたときのことでした。
「たまたまFPの方が無料診断をしてくれる保険会社があって、お願いした担当の人がすごくいい人だったんです。その人は、保険の仕組みとかを分かりやすく説明してくれて、今まで知らなかった内容に衝撃を受けました。それってみんな知らなくちゃいけないことなんじゃないの?知らなかった私は損をしている!と思って、資格を取りたいと思ったんです」
以前は東京にある大手電機メーカーで設計をし、長野では好きなゴルフ場に勤めたりしていたという北村さん。FPは未開拓の分野でしたが、2人目の子どもを出産後、子育てをしながらFP2級を取得しました。
「3月の資格試験に向けて、1月から子どもがお昼寝をしている時間と夜寝ている時間を使って猛勉強。なんとか一発で合格できました。もともと数学が好きなので向いている資格だったと思います」
資格を生かすために保険会社と保険の乗合代理店に所属した後、2013年の2月から松本にある代理店に移動しました。事務所は松本ですが、オフィス長が女性なことと、他にも女性のコンサルタントがいて、仕事のことを相談しやすい環境のおかげで、長野での活動も無理なく続けることができています。
「確かに私は保険屋ではあるんですが、今は、人生設計をしっかり考えることができる働き方ができるようになりました。ライフプランなくして保険を設計することはできません。私がやりたいのは”ライフプランを設計する仕事”。保険屋というくくりだと、どうしても一歩退かれてしまうけれど、保険は人生を安心で幸せに暮らすための1つの道具。相談者自身に大切さに気がついてもらいたいので、あえて強くすすめたくはないんです」
北村さんが考案した子ども向けのお小遣い帳。今年は「家計簿を卒業できる家計簿」を作ることが目標。「家計簿をつけなくても仕組みさえわかれば簡単に家計を管理することができます」
自分の軸でお金の使い方を明確に
北村さんは個人相談を受ける傍ら、2014年4月から「ReRuCo(リルコ)」という子どもの将来を考える家計塾を立ち上げました。これは、子育て中のお母さんたちが教育費、住宅資金、保険などお金について気軽に学べる場です。少人数のグループ(3~6名)で申し込むことができるので、費用が分割できるという利点もあります。
ReRuCoは、『Reconsider(再考・見直す)』、『Ruler(ものさし・基準)』、『Core(核)』の頭文字をとった言葉。家族が大切にしている『核』から『基準』をつくり、家計を『見直す』コツを伝えたい、という思いが込められています。
「自分の家計にとって何が大事か、軸がきちんと分かるとお金に関して縛られることがないというか、いちいち心配しないで済みます。例えば、豪華なランチを食べた後に『またやっちゃったな』と後悔する。それってせっかくおいしいものを食べたのにつまらないじゃないですか。『ReRuCo』にも込めた願いなんですが、自分の物差しで核になるものを見つけてもらいたいんです」
知ることで、人生が広がる
北村さんには、はっきりとした目標が3つあります。
「今後の目標は、3本柱です。1つは、『主婦総FP3級取得』。3級は、あまり計算などはなくて、知識を問う資格なので、その知識があるだけでも人生だいぶ違うと思います。主婦に限らず、長野市民総FP3級取得、と言いたいところですが(笑)」
「もう1つは、お金を出して、お金の相談をすることがもっと普通のことになるといいと思っています。家を建てるときに設計士に頼んで設計してもらうように、FPにお金を払って人生設計をしてもらうようなことが当然というふうになったらいいと思います」
「あとは、学校教育にお金の教育を組み込むこと。子どもたちが小・中・高とステップアップしながら、お金の勉強をしっかりしていったら、ニートや非正規雇用の問題も減ると思っているんです。お金の現実を知ってもらいつつ、可能性にあふれている世代なので、先のことを考えて動いていってもらいたいと思っています」
須坂市立墨坂中学校の2年生に向けたお金の講座。さまざまなセミナーでの講演実績も多数
その第一歩として、2014年12月末には、中学2年生に向けてお金の講座を行いました。公立と私立とではどれくらい学費に差があるのか。1人暮らしをするために毎月仕送りをしてもらうとどれだけ家計に負担がかかるのかなど、私も学生時代に知っておくべきことだったと思う内容がもりだくさんでした。生徒の皆さんも、自分が学ぶ意味や、親の思いを考えるきっかけになったのではないかと思います。
人生の設計図はFPと考えるということが特別なことでなくなり、学校でもきちんとお金の使い方を学ぶ機会が増えたりすれば、解決する問題は多いのかもしれません。「お金がない」「不景気だ」と愚痴をこぼす前に、まだやれることがあるんだと背筋が伸びる思いがしました。
北村さんらしい軽快なトークに生徒たちも身を乗り出すようにして聞き入る
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