長野市西後町のセントラルスクエア前に9月、コワーキングスペースCREEKSがオープンしました。コワーキングスペースとは、個々に仕事を持つ人が共同で利用する仕事場のことです。

一級建築士で代表の古後理栄さんと、同じく一級建築士の広瀬毅さん、そしてデザイナー・アートディレクターの関谷まゆみさんの3人が共同で経営しています。

3人は市内のシェアオフィスに事務所を構えています。シェアオフィスだからこそ生まれるプロジェクトや人脈に価値を感じてはいたものの、それよりさらにオープンな場をつくりたかったといいます。

「シェアオフィスだと、固定したメンバーの中だけで終始してしまいがちです。もうちょっと流動的な交流が出来る場所ができないかなと思っていました。planned happen stance＝計画された偶然という言葉がありますが、何が起こるか分からないけれども、ここに来たら面白いことが起こりそうだと感じてもらえる場所になれればいいですね」（広瀬さん）

CREEKSが入居するビルは元々、10年前に広瀬さんがリノベーションした物件です。その2階が空くことになり浮かんだのが今回のプロジェクト。長野駅とオフィス街、県庁からの距離、そしてセントラルスクエアという大きな駐車場が目の前という立地を考えたとき、コワーキングスペースとして最適な場所だと判断しました。

CREEKSにはコワーキングスペースとしての機能のほかに、イベントスペースとしての機能もあります。ビジネス知識だけでなく、生涯学習としての教養を身につけてもらえる機会をつくりだしていこうという考えです。

9月15日に行われたトークイベント「博士と珈琲」は、言語学、心理学、臨床心理学それぞれの博士が、それぞれの研究分野からの視点でコーヒーについて真剣に語り、好評を博しました。

「女性と若者の起業支援、地方からの発信、社会的起業の三つが、今後ここでやっていくイベントの大きなテーマだと思っています」（古後さん）

10月7日から毎週火曜日、4回にわたって開かれる「ネットショップの始め方」では、ライター、カメラマン、デザイナーらが講師を務めて実践的な講義を行います。また、10月11日には、東京から特色あるコワーキングスペースの代表3人を招いて、「働き方を選ぶ」と題したトークセッションを開きます。

「こういう場所をやっていると、いろんな方が来てくれて、どんどん繋がっていく感じがありますね。次に企画しているのは某局アナウンサーと信大の言語学の先生の対談。題して『変態ことば対決』。固有名詞を使ってはいけないアナウンサーに、固有名詞だらけの原稿を渡して、即興でニュース原稿に変換してもらおうかとか色々と考えています」（関谷さん）

CREEKSでは常駐コーディネーターを置く予定です。

「コワーキングスペースは常駐するコーディネーターさんがいなければ機能しずらい場所です。ここを訪れる人に、情報を提供したり、人と人を繋げることを献身的にできるような人がいなければなりません」（関谷さん）

「計算すればするほど儲かりそうにないんです（笑）。だけど、こういう場所を計画することで、たくさんの新しい出会いがあるだろうし、きっと何か起こるだろうというワクワク感があります。自分で仕掛けなければ何も起こりませんから」（広瀬さん）

「長野では、自分が東京にいたときにはまずできなかったような働き方と暮らし方をしていて、そこに価値があると思っています。移住したいという声も多く聞きます。そういう移住者がまず足がかりにできる場所にもしたいですね」（古後さん）

CREEKSは、1日1,000円での利用も可能です。古後さんが言うような、長野で何かを始めようとしている人が足がかりとして訪れてもよし、出張で利用してもよし、自分の人脈を広げようとしているビジネスマンにも、活用方法によっては大きな転機が生まれるかもしれません。CREEKSは「小川」の複数型。3人の表情を見ていると、たくさんの水脈が合わさる場所になりそうな予感がしました。