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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.388

青柳

真優美さん

肩書き募集中

芝居・絵・言葉。日々実験する24歳

文・写真 ナカノヒトミ

長野市を拠点にお芝居をする青柳真優美さんは飯綱町出身、長野市在住の24歳。
 
今まで立った舞台は長野市の「ネオンホール」や「古道具そらしま」、上田市の「犀の角」などなど。
劇場に限らず人の集まる場を舞台にお芝居を続けています。
 
 
 
「私の肩書きって一体なんでしょうか…(笑)?」
 
 
本来こちらが尋ねる質問を投げかけてきた青柳さん。
 
肩書きに悩むってどういうこと?
 
どうして演じているの?
 
 
聞きたいことが次から次へと溢れてしまう青柳さんにお話を伺いました。

芝居の原点は自分が苦しみ、そして救われた「言葉」

2016年に長野市在住の映像作家・和田はる菜さんとの合作、一人芝居「七転び寝起き」。 作・演出・出演は青柳さん、映像は和田さんが務めた。場所は「古道具そらしま」。

現在、長野市の「ひふみよクレープ」でアルバイトをしながらお芝居を行う青柳さん。
 
お芝居を始める原点は小学生の頃に抱いた「なるべくいい子でいなくては!」という思考から。自分の本当の気持ちに嘘をつくことが多かったことが、芝居向きではないかと思ったきっかけだったのではないかと振り返ります。
 
しかし、人前に出て表現することに憧れていたものの、その夢を人に話すことが恥ずかしかったそう。
 
 
「高校卒業後、東京でお芝居の専門学校に入学しましたが、東京暮らしが自分に合わなかったり、色んなもやもやが募ったりで、1年生の途中でやめちゃったんです。最初はすごく後悔しました。自分が演技を学びたいから専門学校に行ったはずなのになぜ続けられないんだろうって」
 
 
その後、長野県に戻ってきた青柳さんは、長野市で一人暮らしを始めます。
 
バイトをしながらネオンホールの舞台に立つようになりました。台本をもらい役を演じたこともあれば、脚本から主演、演出までを自分でつくりあげることもあるそう。

趣味は散歩。善光寺門前周辺はもちろん、門前から若里公園まで自転車で行くこともあるそう。 青柳さんの豊かな発想力は、日々の散歩から育まれているのかもしれません。

「自分で脚本を書く時は、ほとんどがノンフィクション。自分の経験したことを膨らませて書いています。自分の日記をみせている感覚に近いからとても恥ずかしいですが、意図的にそういう選択をしています。そういう意味では他の方から役をいただくときは、役を演じるので舞台に立ちやすいかもしれません。」
 
 
 
劇場での芝居をメインで行っていた青柳さんは、演技の幅を広げるため、今年4月からふたたび東京へ週1の演技レッスンに通い始めました。
 
「レッスンでは演技の引き出しをつくるため、映像の演技について学んでいます。劇場で演じる時にOKだった作法が映像では通用しないことがあって新鮮なんです!
東京のレッスンに通う時、演技の先生に『あなたはどうして芝居をしたいのかもう一度よく考えろ』と言われたことがありました。今まで自分は何で苦しんできたかと考えた時に、誰かに言われた『言葉』や自分が言えなかった『言葉』が思い浮かびました。
逆に、自分が何で救われてきたのかなと考えたら、同じく『言葉』だなって。
だからきっと今私は、生身で言葉を扱うお芝居をやっているんだろうなと思います 」

表現方法である芝居と絵

青柳さんがお芝居と共に表現方法としてつかっているのが「絵」です。

「絵は、高校生の時、体調をくずし学校に通えなくなった時期に描きはじめました。言葉で表現できない気持ちを発散する場所がなく、絵に描いてみたらそこからハマりだして。高校三年間で書き溜めた絵がたくさんあるんです」
 
 
絵に言葉を添えて不定期発行し、知人に配布される「わたし新聞」は、青柳さんの好きなものや人におすすめしたいものがクスッと笑える言葉と絵でカラフルに表現されています。
 
 
「最近は、ひとつ上の階に引っ越してきた女の子に名刺を頼まれたり、美容師である知人からはお客様に渡すための『またきてねシール』を頼まれたりと好きな絵が仕事にもなってきています。他にも謝る時に渡すための『ごめんねシール』の制作や車に絵を描く仕事、画像を渡されて『くせのある画像の怖さを消し、ポップに変換したシール』などなどユニークな依頼も増えてきました(笑)」

映像作家の和田さんと共にデザインフェスタにも出店予定。

最後に、青柳さんに今後の抱負を伺いました。
 
 
「お芝居も絵も言葉も、表現方法や豊かさが滞ったり縮まったりしないよう、たくさん散歩して、本を読んで、想像をして、言葉と感情の奥行きを増やしていきたいですね」
 
 
 
「枠にとらわれない生き方」と表現したらありきたりかもしれませんが、決して飾らず、泥臭く。青柳さんは自身が苦しみ、救われた「言葉」を、様々な表現方法を用いて実験をしているように感じました。
 
 
「肩書き」にとらわれない青柳さんの活動に、これからのわたしたちが目指すべき、未来の働き方を見た気がしました。

(2017/10/24掲載)

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